三毛田
2025-08-31 21:41:46
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1 001. 揺れ動く気持ち

1日目
好きだと告げたい

……
「どうした」
「丹恒のそれって、趣味?」
「習慣のようなものだ。過去、読書以外に、することがなかった時期があったからな」
 紙と紙がこすれる音。めくる音。
 静かな部屋には、それらと時折機械の動く音も響き。
 キスしたい。本音を言えば、それよりももっと激しいこともしたい。
 でも、出来ない。資格もないんだ。
 だって、俺と彼は親友なだけだから。
 好きだと伝えたことはない。伝えてはいけないと、脳が警鐘を鳴らすから。
「好きなことってないのか?」
「特にない」
「ふうん」
「用がないなら、自室へ戻れ」
……静かにしてるから、まだいてもいいか」
「好きにしろ」
 こちらに視線を向けることなく、そう一言。
 それでも、俺がここにいることを許してくれるようになったのが、ちょっとだけ嬉しい。
 前だったら、問答無用で追い出されていただろうから。
 アーカイブの端末を起動し、読みやすいものを探す。
 時々、知らない言語で書かれているものがあって。気づいたら、夢中で翻訳されたものと見比べながら読んでいた。
「んん……
 ずっと画面を見つめていたからか、目に違和感。
「擦ると、悪化するからやめろ。眼精疲労に多少の効果がある目薬がある。点してやるから、寝転がれ」
 ため息とともに、自分の太腿を叩く。
 それは、もしかして。
 膝枕というやつでは!?
 ドキドキしながら、どうしようか迷っていると。
「早くしろ」
「はい」
 ちょっと冷たい言葉が。慌てて寝転がると、
「目を閉じるなよ」
 と言われた。
 一滴、二滴。
 目薬が落ちてきて、冷たくてぎゅっと目を閉じてしまう。
「ちょっと押さえるが、痛かったら俺の腕を叩け」
 顔に手が近づいてくる気配。ちょっとギュッと目をつぶると、目頭の方を押さえつけられる感覚。
「もう片方にも点すから、目を開けろ」
 ちょっと沁みて涙が出そうになるのを堪えつつ、もう一回目を開ける。
「ぎゃぁ……
「こら、逃げるな」
 顎を掴まれて、その後指している途中の瞼を無理矢理こじ開けられる。そして、またちょっと強めに目元を押さえられた。
「これでよし。数回瞼の中で目を動かせ」
 ティッシュで目元や目尻を優しく拭かれ。その後ポンポンと頭をそっと撫でられる。
 こうやって優しくされると、ますます好きな気持ちが募っていく。
 気を緩めると、好きだと口にしてしまいそうだ。
「ホットアイマスクで目元を温め、ゆっくり休め」
「はぁい」
「もう少し寝転がっていろ」
「う、うん」
 それはつまり、膝枕継続ということ。