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ぽふむん
2025-08-30 22:19:18
1448文字
Public
ワンドロ
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消せない記憶 思い出せ無い記憶
#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「宿題」「線香花火」
転生if
しのぶちゃんに前世の記憶ありですが、童磨くん不在。
鬼殺隊軸の人達とも鬼だった人とも誰とも巡り会うことなく高校生になったしのぶちゃんです。
死んで、心臓の動きは止まってもしばらくは耳は聞こえていて病院を出た棺の中でも聴いているという話ありますよね。
回想する間もなく伊之助が踏みつけたから走馬灯やお迎え現象らしき描写があれですけど
細くピンク色の、こよりのようなものにロウソクから引火する
火がついた
パチパチと可愛らしく火花が散るが、 次第に音は小さくなりオレンジ色の火球が灯る。
ジジ
……
ジジジ
火の玉がぶら下がる。
この火球は“あの時”とそっくりで大好きだ。
「根暗な花火が好きねぇ、優等生様は」
背後から少女の嫌味が聞こえる。
そして
ひゅー
……
ぱぁん
打ち上げ花火の音と、男女の笑い声がさんざめく。
しのぶはその賑やかな声を尻目に線香花火に夢中だ。
この集団は好きではない。
出来れば輪には入りたくない。
姉の同級生だから。同年代と少しは遊びなさいと親が言うから。
だから参加しているだけ。
姉を始め、打ち上げ花火に興じている男女は、まだ学校の宿題を全然終わらせていないという。
課題提出日はとうに過ぎたというのに少しも悪びれず、慌てる素振りもないから驚かされる。
宿題なんて夏休みの入ってすぐから取り掛かり、早くて7月中。遅くてもお盆入り前には終わらせておくものなのではないだろうか。
そうすれば、課題提出日には余裕で間に合うのに。
高校が違えば頭のレベルが違う。
集まる人間の質が違う。
こういうことかと嫌気がさす。
大体、学校へは勉強をしに行くところ。
住んでいる地域も中学とは桁違いに距離が離れている。なのに、こうして夜に男女が集まるということもおかしいと思う。
でも、そんなことを思うのは「優等生様」の考え方らしい。
深いため息をつきながら、しのぶはいかに線香花火の火の玉を長持ちさせるかを思案していた。
なんで、今生はこんな姉を持ったのだろう。
しのぶには、前世のものと思われる記憶がある。
前世も姉がいた
……
カナエと言った。
優しくていい姉だった。
しのぶほど薬学の知識に長けては居なかったが
……
器量よしで
……
現代に育っていたら、カナエ姉さんもあんな女だったのだろうか。
自分一人が現代に馴染めていないのだろうか。
前世の記憶なんかがあるからこんなに苦しいのだろうか。
普通、遅くとも九歳くらいまでには消えてしまうらしく、語らなくなるという。
なのに、しのぶには消えない記憶が残っている。
「現世」を生きるには不要な情報だというのに、どうして消えないのだろう。
こんな異様な事、誰にも相談できない。
だから苦しい。
悲願が成就し、なんの未練も残っていなかったはず。
なのに
……
あの時言いたかった事が、相手に伝わらなかったであろうことが最後の未練として残ってしまったのだろうか。
そんなに大事な事だったのだろうか。
何を言ったのか。それだけがどうしても思い出せない。
他のことはしっかりおぼえていると言うのに。
その時だ
「とっととくたばれクソ野郎」
男の大声とともに線香花火の火球が強引に叩き落とされ、踏みつけられた。
「あっ」
しのぶは小さく悲鳴をあげた。
男たちの笑い声がする。
あの時と同じだ。
───あの時、私はなんと言った?「馬鹿野郎」という言葉は出ても「クソ野郎」という語彙はない娘だった───
───「地獄に落ちろ」とは言えても「くたばれ」という語彙が出る育ちではなかったはず───
罵倒語という物は、普段から口にしていなければ咄嗟にはでないもの。
(あの時の私
……
あの人に何と声をかけた?)
思い出せない。
もう鬼ではなく人だった。
生涯をかけ憎んだのは「鬼」
あの「人」には
……
なんと答えた?
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