三毛田
2025-08-29 22:03:50
1063文字
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99 099. 切り取られた四角い空

99日目
君の姿も切り取りたい

 フレームに収めるように、指で作った四角から空を見上げる。
 俺の指で切り取られた空は、目の前に広がる景色のほんの一部。
 こういう時こそ、カメラに収めるのが一番なのだろう。俺もなのを真似して、写真を撮る練習でもしようか。
 でも、練習しても景色じゃなくてただ一人を撮るだろうことは想像に容易い。
「だって。その瞬間瞬間は、その時にしか撮れないから」
「何のことだ」
「丹恒。おかえり、買えたか?」
「ああ。お前が言っていた、おすすめのパンがラスト一つだった」
「確保したんだろ?」
「当たり前だ。少し貰っても?」
「お前に食べさせたくて話をしたから、好きなだけ食べろよ」
 そう告げれば、彼は少し嬉しそうに取り出して。そして俺は、手にしていた紙袋を受け取る。
 とある星にて、小休憩中の俺たち。
 列車の進路上にある星に寄りたいという人がいるらしく、今はその人を乗せる手続きのため数日ここに滞在している。
 そして、俺は美味しかったパンを丹恒にオススメしつつデート。
 付き合ってないからデートじゃない?
 そんなの、外野から見た感想だ。俺がデートと言ったら、デートなんだよ。
「このパン屋、意外とボリュームあるから気に入ったんだよ。離れるの惜しいな」
 一口サイズの、クリームチーズが入ったパンを口へ入れる。それから、ソーセージの入った固めのパンへ手を伸ばす。
「デザートの焼き菓子も、種類が豊富だったな。いただきます。ああ。確かに、美味い。人気商品なだけある」
「だろ? パムのご飯とはまた違った美味さだからさ」
 丹恒の感想に、俺も嬉しくなる。
 ソーセージのパンも、すごく美味しい。
「俺も行ってくるかな」
「まだあるぞ」
 と、袋を差し出してくるけど。
「デザート。今の時間は、なのとパムは留守番だからな。お土産だ」
「それなら、俺は飲み物でも見繕っておこう」
「頼んだ」
 デザートを買いに行くと告げると、自分もついてくると。でも、買うものがデザートだと告げれば飲み物を買ってくると返してくれて。
 丹恒と食べられる、甘さが控えめのものがあればいいなと思いながら、別れる。
 まだもそもそと食べている姿は非常に可愛い。口が小さいから、食べるのが遅いんだな。
 と思ったけれど、列車だとそうじゃないなと思い返す。
 つまり、美味しい物だったから、味わうように食べている可能性も。
 可愛い。可愛すぎるだろ。
 今すぐ引き返して、彼を抱きしめたい。
 でも、我慢してパン屋へと向かう。
「うん。空の青はいいな」