三毛田
2025-08-28 22:16:42
1084文字
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98 098. もう少しだけ

98日目
君といたいんだ

 いけないとわかっている。離れなくてはいけないとわかっている。
 でも、もう少しだけ。
 あと少しなんだと、言い訳をしながら顔を近づける。
「ぐふえぇ」
「何をするつもりだ」
「ちゅ〜したかったのに」
 ぐいっと強めに押され、ちょっとだけ痛む頬を抑えて不貞腐れると、呆れた顔。
「何故わざわざ俺が寝ている時に、迫る」
「起きてる時だと拒絶されるからだよ。決まってるだろ」
「だからといって、人の寝込みを襲うな」
「じゃあ、今キスしてよ」
……すれば、納得するのか」
「多分」
「多分とはなんだ」
 またため息をつかれた。悲しい。
「大人しくしていろ」
 と言われたので、動かずにいれば。
 体温の低い指が、顎にかけられ。少しそこをくすぐるように撫でた後、くいっと持ち上げられ。
 端整な顔が近づいてきて、唇が重ねられた。
「わぁ……
 嬉しくて、唇が思っていたより柔らかくて感動してそんな声を漏らしてしまう。
「嫌だったのなら、嫌だと言え」
「逆逆! 嬉しすぎて、丹恒の顔があまりにも綺麗で……今のは、感嘆の声だよ」
 そう説明すれば、照れたようにプイっとそっぽを向いて。
 耳が赤いのは、きっと指摘してはいけないものだ。
「もう一回。いい? ぐえぇ」
 おねだりしてみるも、またぐいっと顔を押されてしまう。
 俺が悲鳴を上げると、満足そうに頷く。酷い。
「お前のせいで、寝直すこともできない」
「寝ようとしてたんだ」
「今日はまだ眠かった」
「珍しい」
 寝かせようかな。と思って肩に手を伸ばすけど、ペイっと払われて。
 なんか、今日はいつもより塩対応だ。
「丹恒先生、一緒に寝ない?」
「もう寝ない。眠気がどこかに行った」
 少々不満そうというか、拗ねているような声色だ。可愛い。
 でも、ここでそれを口にしたら部屋を追い出されてしまうのでお口チャック。
「もうちょっと丹恒と一緒に居たいんだ。いいか?」
……好きにしろ」
 俺を一瞥し、それからアーカイブの端末を操作する。
 それを椅子に座って眺めるのが好き。
 丹恒の真剣な横顔が、真摯な姿勢が。
 俺の恋心をくすぐる。
「見ていても面白くないだろう」
「ううん。丹恒の、作業してる姿が好きだから、いくらでも見ていられるから」
「そうか。好きにしろ」
「はーい」
 今日も好きにしろと言う許可をもらえたので、彼の作業を見守り。
「お腹空いた」
「俺の分も、頼む」
「はーい」
 かれこれ二システム時間はずっと作業していた丹恒も、流石にお腹が空いたようで。
 俺に頼んできた。
 さて、何を貰おうか。