アカ
2024-12-24 13:25:10
2062文字
Public ヴァンアニ
 

クリスマスの思い出

クリスマスが好きになるヴァンの話。クリスマスだし、なんか書こうという感じで書きました!

「ヴァンさん、もう少し右に置いて下さい。」
「わかった、ここか?」
脚立に乗りながら、ヴァンはクリスマスツリーに
飾り付けをしていた。
「いい感じです。」
アニエスに指示をしてもらい、完成したクリスマスツリーを見ながら2人は満足気な顔をした。
「しっかし立派なツリーだな。」
「私が生まれてから家族で楽しく祝いたいって
想いから父が買ったらしいんです。」
「そいつはまた親バカのロイさんぽいな。」
アニエスの父親はヴァンから見て筋金入りの
親バカだった。ヴァンが家族の一員として
迎え入れられても「家族としては認めよう。だが、
お義父さん呼びは私を倒してからだ!」なんて
言ってくるからである。そしてヴァンはまだロイに
勝ったことが一度もない。いつになったら、
お義父さん呼び出来るだろうかとヴァンは苦笑い
しながら、クリスマスツリーを見つめた。
「ふふそうですね。親バカのお父さんらしいって
思います。そして、このクリスマスツリーには
思い出がたくさん詰まっているんです。」
「どんな思い出なんだ?」
ヴァンはあまり他人に踏み込まない。自分はあまりして欲しくないし、それを他人にするのは違うと思っているから。でも、このときのヴァンはアニエス
の思い出を純粋に知りたいと思った。
「そうですね例えばこのクマの人形。」
そうアニエスが言って触った人形は修理したあとが
付いていた。
「私が我儘を言って欲しがったんです。父は私の我儘を聞いてくれてー。母はそんな父に対して「まったく、アニエスには甘いんだから」なんて言って。私は買ってもらったことが嬉しくて、走って転んで人形を割ってしまったんです。」
アニエスは当時を懐かしむように嬉しそうに
笑いながら話していた。
「壊れた人形を見て泣いてしまった私のために父が一生懸命直してくれて。家族の思い出が詰まっているんです。」
そうか。」
そう言って笑うアニエスにヴァンは少し羨ましいと
思った。クリスマスというイベントに縁がない
自分は家族といった思い出もない。孤児院で祝った
ことはある。けど、どこか疎外感を感じたのだ。
孤児院の子どもたちは様々な理由があって孤児院に
いたが、ヴァンは自分とは違うと感じていた。
捨てられた自分とは。だから、孤児院で
クリスマスを祝っていても、みんなと同じように
楽しめなかった。どこか寂しそうにしている
ヴァンに気が付いたアニエスはヴァンの手を握っていた。
「アニエス?」
「私だけがクリスマスの思い出を語るのはフェア
じゃないですよね?よかったら、ヴァンさんの
思い出も聞かせて下さい。」
面白い話なんかねーぞ。」
「私が知りたいんです。ヴァンさんが楽しかった
こと。そして辛かったこと。私に話して
下さい。」
そういうアニエスを見てヴァンは敵わないなと
思いながらクリスマスの思い出を語ることにした。
ルネとエレインがサプライズでクリスマスを
祝ってくれたこと。これは素直に嬉しかったぜ。」
「ふふ。驚くヴァンさんが容易に
想像出来そうです。」
逆に辛かったのはー。自分が周りとは違う存在
だって突き付けられる場所だな。」
ヴァンは当時を思い出し、切なそうに笑いながら
話した。
クリスマスって家族で祝うもんだろ?
俺は家族ってものが存在しない。思い出がない。
だから、家族でなにをして過ごしたとか何が欲しい
とかなかったし、そういう場所で俺はみんなとは
違うってことをイヤというほど突き付けられた。」
ヴァンさん。」
「クリスマスプレゼントに何が欲しいかって
アークライド院長に聞かれたときー。家族が
欲しいって答えようとして、そんなこと言っても
困らせるだけだって思って「ない」って咄嗟に
ウソを付いたことだってある。アークライド院長
には見抜かれていて、抱きしめられたが。」
アニエスを見ると、切なそうな顔をしてヴァンを
見ていた。ヴァンは語り過ぎたと思い、誤魔化す
ことにした。
なんてー。」
アニエスはヴァンを抱きしめていた。
「誤魔化さなくても大丈夫ですよ。全部本当の
ことなんでしょ?」
ああ。」
ヴァンさんは辛い思いをしたけどー。
私が寂しい思いなんてさせませんから。私が
寂しさを埋めるくらいの楽しいクリスマスを
プレゼントするから。だから、大丈夫です。」
そうアニエスに言われたときに、ヴァンの心に
住み着いていた泣いている子どものヴァンが
泣き止んだ。
アニエス、ごめんな。」
「え?」
そう言ってヴァンはアニエスに優しくキスをした。
くちびるを離すとアニエスは顔を真っ赤にして
ヴァンに抗議した。
「ず、ずるいです!!」
「俺がズルい男なのは、知っているだろ?」
「そうですけどそうですけどうぅ〜。」
そんなアニエスを見ながら、ヴァンは笑った。
ーメリークリスマス。クリスマスが嫌いだった
ヴァンは本当の意味でクリスマスが好きになれた
気がした。