アカ
2024-12-09 22:47:35
1731文字
Public 軌跡
 

たしかなモノ

夢と現実が分からなくて悩むリゼットさんとカトルくんの話。リゼットさんには幸せになって欲しい…。

ー夢を見た。すべてが夢だった夢を。
ヴァンたちの元で働いていることも。
ヴァンたちと一緒に映画を観て、一緒に
笑いあったこと。全部が夢だった。
叫びそうになったら目が覚めた。
「ハッハッ
自分の身体は作り物だ。しかし、汗をかいた
感覚がある。ー夢で見たのは現実?
それとも夢?自分は自己が曖昧だ。
だからこそ、夢と現実の境界線がハッキリと
しておらず、夢だとハッキリと否定できない。
機械の化け物に会ってから、リゼットは
悪夢を見ることが増えた。あの化け物を
見たときに思ったのだ。知らない存在の
はずなのに知っている。それはなぜか。
あの化け物が本当で今いる場所は
ウソかも知れない。そう考えたら、
怖くなり、泣き出しそうになった。
そう思っていたら扉をノックする音が
聞こえてきた。
「リゼットさん、起きている?」
「カトル様?今、開けます。」
扉を開けたら、カトルがいた。
そのことにリゼットはホッとした。
ーよかった、現実だ。
リゼットは無意識のうちにカトルに触れて
いた。紛れもない暖かさがあった。
ー夢じゃない、この温かさが夢のはずなんかない。
「リ、リゼットさん?」
触られたことにカトルは驚いており、
リゼットは謝罪した。
「申し訳ありません。」
「ぜ、全然大丈夫!ちょっと
びっくりしただけで。」
「それよりカトル様、何か用事があったの
でしょうか?」
「うん、あったんだけど
リゼットのどこか不安そうにしている顔を
見たカトルはある提案をすることにした。
「リゼットさん、よかったら外で星を見ない?」

カトルに誘われて星を見ることにした。
「綺麗。」
「でしょ?僕も悩んだときによく見るんだ。」
そのカトルの言葉にリゼットは驚いた。
「気のせいだったらいいんだ。ただ、リゼットさん
なんか悩んでいる気がしてさ。」
カトルには誤魔化せないと判断したリゼットは
カトルに話すことにした。
悪夢を見るのです。」
「悪夢?」
リゼットは頷くと話し始めた。今いる場所が
夢だったこと。そして、夢かわかる確かな
ものがリゼットにはないことを。
「リゼットさん。」
カトルの切なそうな顔を見たリゼットは
話すべきではなかったー。そう考えて
誤魔化そうとした。
「なんて冗談です。」
だがー。カトルはリゼットが誤魔化したことを
悟り、リゼットの手を取った。
「カトル様?」
「誤魔化さなくていいよ。
今の話、本当なんでしょ?」
「どうしてわかったのですか?」
リゼットさんのことをいつも見ていると
口を滑らせそうになり、照れながらカトルは
別の理由を上げた。
「仲間としていつも見ているから。
だから、わかったんだ。」
「カトル様。」
だれかが自分を見ていてくれていること。
それが嬉しくリゼットは微笑んだ。
「リゼットさんの恐怖をすべて取り除くことは
出来ないけどー。こうやって温もりを伝えて
あげることは僕には出来るって思うんだ。
リゼットさん。この温もりは嘘だって思う?」
リゼットは静かに涙を流しながら、言った。
「この温もりは嘘ではございません。
温かくて、カトル様がここにいるって
分かるから。」
「もしー。また不安になったら、僕を頼って。
リゼットさんに『本当』を何度でも伝えるよ。」
そうカトルに言われた瞬間、それまで我慢して
いた感情が溢れて涙が止まらなかった。
「カトル様はズルいです。」
「ええ!?ヴァンさんに似てきたのかな
そんなことはー。いや、でも今のセリフとか
ちょっとクサかったし!似てきているかも
アーロンさんにバレたら、絶対揶揄われる!」
感情がコロコロと変わるカトルを見て、
リゼットはクスリっと笑いながら言った。
「わたくしは恵まれています。周りに
わたくしをこんなに思ってくれる方が
いるのですから。」
リゼットは空を見上げた。気持ちが
晴れやかになったせいか空はいつもより
綺麗に見えた。
「空とはこんなに美しいものなのですね。
よかったらカトル様。詳しく教えて
頂けますか?」
「もちろん。あの星はね
リゼットとカトルは2人っきりの天体観測を
楽しんだ。