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三毛田
2025-08-22 22:18:57
1074文字
Public
1000字4
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92 092. 色づく世界
92日目
君のおかげで
色のない世界は、ああいうものだったのだろう。
羅浮にいた頃は、冷たい底に居た頃は。
色はあってないようなもの。冷たく暗い、日の光とは縁のない場所。
外に出ても、世界はあの色一色といっても過言ではなく。
列車に乗っても、変わらない。
そうだったのに。
たった一人と出会ったことで、世界は鮮やかに変わった。
「穹、三月。走ると転ぶぞ」
「大丈夫!」
「わっ」
足を止めてこちらを振り返る三月に対し、自分の足に足を引っかけて転ぶ穹。
言わんこっちゃない。と、彼の腕を引いて立ち上がらせる。
「たんこ~。ありがとう」
「痛むか?」
「大丈夫。今は」
「後々響くことがあるからな。もし痛みが出てきたら、早めにいうように。軽い治療なら俺でも可能だからな」
「ありがとう!」
ニコニコと俺を見てくる。そんな姿に、仕方ない奴だ。という思いが。
「丹恒、ウチより優しいよね」
「何がだ」
屋台で飲み物と食べ物を買いあさっている背中を見ていると、三月がふとそんなことを。
「違う言い方をすると、ウチに対してより態度が優しいなって。柔らかいってことかな?」
誰に? と問おうとして、彼女の視線は先程から俺が見っ守っている背中へ。
「
……
」
あまり否定できないので、押し黙る。
気にかけるようになったのは、俺の世界に色を付けてくれた。
他の人からしたら、くだらないと思われるかもしれないきっかけ。
それでも、俺にとっては一大事でもあり。
「それで?」
「ウチにももうちょっとだけ優しくしてくれたら嬉しい!」
「なるほど。お前がきちんとしてくれたら、優しくできるかもしれないな」
「何の話だ? こっちはなの。こっちは丹恒。飲み物は、甘いのと甘くないの!」
「ありがとう、穹! 丹恒は、穹には優しいのにウチには優しくないから文句言ってた」
さっそく手渡されたものを口へと運び、美味し~! と笑顔になる。
先程己が告げたことなど、忘れたかのように。
「丹恒が俺に優しい?」
と、訝しげにこちらを見て。本人にわかりやすいように優しくした覚えはないから、きっとそんな表情。
「美味いな。選ぶセンスがいい」
「もっと褒めてくれたっていいんだぜ~」
「調子に乗ると、その後ろくなことにならないからやめた方がいいよ』
ドヤ顔をしている彼へ、飲み物を吸いつつ呆れた顔。
「それは、なのの経験則?」
「違います!!」
穹は答え合わせをするかのように、俺を見てくる。ので、一度頷いておく。
「そっかぁ」
「むきー! 穹に哀れまれるとムカつく!!」
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