ortensia
2025-08-21 15:43:23
504文字
Public 傭リ
 

虫取り少年傭が(!???)カブトムシじゃ無くてムカデを育てる話(!!?????)

リは喋らないシュレディンガーのリ(???)

 飼育ケースの無機質な冷たい底には温かい腐葉土を、そして枝や草で殺風景さを消す。
 気に入ってくれるだろうか。
 そうして胸を高鳴らせながら整えた愛の巣に、あいつを囲った。
 だからあいつは確かにこの中に居る。おれが手づから誂えた虫籠の中に。
 なのに。
 ナワーブは何も居無い飼育ケースを世話している。
 周りからはそんなふうに言われて居た。周りの同じ歳くらいの子供達が、カブトムシやクワガタムシ、チョウの幼虫やらを好んで育てて居る中、おれが愛したのはムカデだった。
 確かにあいつを囲ったのだ。
 何も居無いなんてことは無い。
 あの光沢の有るフシが幾つも連なって宝飾品のような体が土の影から冷たく輝いて居るのを、この手に、この籠に捕らえたのだ。もうおれのものだ。
 だからここに居無いなんてことは無い。そんなことは。
 飼育ケースの蓋を小さく開けて、慎重に「餌」を落とす。
 そうすれば、ほら。宝石が蠢いて繊細な足運びでその身を目の前に表してくれる。だから、ほら、あいつはここに居るのだ。
 なのにそれでも周りからは言われる。
 ナワーブは何も居無い飼育ケースに自分の血を垂らして世話をしている。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。