血飛沫、成らぬ、糸屑を落とし続ける人形の体を腕に抱いてマップを散策する。恐怖に襲われ、立ち上がれない程に成った布の肢体は、ぐったりとこちらに本意では無いだろうに身を任せて居る。
釦の目が、虚ろだがそれでもこちらを剥いた。
「放って置けば失血死だ。わざわざ吊るか?」
「いいえ。」
フードの人形は益々怪訝な顔をする。
留まること無く溢れ続ける糸屑は、なのに地面に痕を遺したそばから消えてゆく。どこへ。
マップにゲームの痕跡として遺るのは、こんな演繹なんかじゃ無くて、もっと、本当の。
「……吊る気も無いってか」
「はい。」
とっくに抵抗を諦めて居た男に気付かれて仕舞ったようだ。
哀れなサバイバーをロケットチェアで荘園に戻して仕舞っては、みすみす成果を失うようなものでは無いか。
楽しい狩りをした後は、自分が狩った獲物で楽しみたい。そうだろう。
けれど仕様はルールに忠実で、参加者の身方では決して無い。
だから。
最期の時が近付き、そこで立ち止まって腕の中を見下ろす。人形もこちらを見て居た。
「じゃあな。」
そしてその時はやって来た、弛緩した肢体が生者より重たいように、ずしりと重さを増した体は、確かに人形では無く一人の男のもののようだったのに。それも一瞬で。
「じゃあ、また。」
どうして消えて仕舞うのだろう。
綿の一欠片さえ落ちて無い。
最後の獲物も居無く成って仕舞ったその場で、虚ろを抱いて暫く佇んだ。
けれどその時間も長くは与えられ無い。
その演繹は終わったのだから。
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