usagipai
2025-08-20 01:02:41
433文字
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ジュピひの


夜の神殿の回廊。
静けさに包まれた空気のなか、月明かりだけが床を淡く照らしていた。

アニェラがふと立ち止まり、後ろを歩くひのでを見上げる。
その瞳には、どこか確かめるような揺らぎがあった。

「ひのでは……もし、ぼくが連れ去ったら、ついて来てくれたの?」

あまりに唐突な問いに、ひのでは顔をしかめる。
「お前な……堂々と誘拐発言すんなよ」

それでもアニェラは退かず、一歩踏み込んでくる。
「で……どうなの? ……ねぇ」

ひのでは息を呑み、視線を逸らした。
しばし沈黙が流れ、やがてぽつりと。

「どうだろうな……わかんねぇけど……あいつだったから」

「ジュピターさまだったから?」

月明かりの下、ひのでの頬がわずかに熱を帯びる。
「ッッ〜!!」
舌打ちが響く。
(チッ……これじゃ、あいつだったから誘拐されたみてぇじゃねぇか……

そんな彼の反応に、アニェラは胸があったかくなる
まるで子供のように、純粋にその答えを嬉しく思っているかのように。