匣舟
2025-08-17 23:12:47
6345文字
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魅せてあげる

ワードパレットリクエストで頂きました久々乱・勘乱です。どちらも表記があったのでどうせなら2人出そうということでこうなりました。
五いのふたりとさくらんぼを食べる話です。
ちょっといかがわしいところもあるので、ダメな方は回れ右をしてください。
夏かどうかはちょっと怪しいですが、リクエストくださってありがとうございました🫶

 放課後、いつも一緒にいるきり丸としんベヱが委員会でいないからどうしようかなぁ〜。絵でも描こうかなあ。なんて考えながら自室を目指していたときのこと。
 食堂を通り過ぎようとした時にどうしようかねぇ。というおばちゃんの困っている声が聞こえたので、乱太郎は食堂に立ち寄った。
「おばちゃん、どうかしたの?」
「ああ、乱太郎くん。それがね。」
 いつも使ってる井戸が壊れちゃったみたいで。どうしようか迷ってたの。と困り気味のおばちゃんに、それなら今日確か用具委員会が活動していたので食満先輩を呼んできますね!と乱太郎は用具委員会が活動してるであろう武器・防具などが置いてある倉庫に足を向けたのである。
多分これで直ったかと思います。」
……まあ、凄いわね。直ってるわ。」
 倉庫にいた用具委員会委員長である食満留三郎に事情を話すと、快く引き受けてくれて直ぐに修理道具を持って食堂へと来てくれた。そして留三郎は瞬く間に井戸の修理をしてくれたのである。
「ありがとうございます、食満先輩。」
「用具委員会として当然のことをしたまでだ。気にすんな。」
 乱太郎の頭をわしゃわしゃと撫でながら去っていった留三郎の背を見つめているとどこかへ行っていたおばちゃんが戻ってきて、あれ、もう食満くん行っちゃったかしら?と後ろから声がかかる。
はい、まだ委員会があるから。と。」
それなら後で私が持っていきましょうかね。はい、これ。乱太郎くんに。」
 おばちゃんから貰ったのは、中皿にたくさん乗ったさくらんぼだった。こ、こんなにたくさん!?と戸惑っていると、甘酸っぱくて美味しいの。さっきのお礼としてもらってね。私は食満くんに届けてくるわね。と言い残しておばちゃんは去っていってしまった。
 ひとりぽつんと食堂に残された乱太郎は思案した。うーん、私ひとりだと多いなあ。せっかく貰ったんだし今日中に全部食べたほうがよさそうだし。それにこの量だし腐っちゃったら嫌だなあ。となると誰かと一緒に食べるしかない……!と結論に至った乱太郎は誰と一緒に食べようかなあ。と自室に向かいながら考えた。
 きり丸もしんベヱも今日は委員会だから遅くなるだろうし、同じは組の子も皆用事があって忙しいだろうし、もうひとりで食べるしかないのかな。と考えていた時だった。
「あれ?乱太郎じゃないか。」
「本当だ。」
 前から自分の名前を呼ぶ聞き覚えのあるふたりの声がして顔を上げるとそこには五年い組の久々知兵助と尾浜勘右衛門が揃って歩いてきていた。
「久々知先輩に尾浜先輩!こんにちは!」
 ぺこりと元気に挨拶をしてその場に立ち止まると二人はゆっくり近づいてきた。
乱太郎は元気だなぁ。」
「こんにちは。あ!ところで乱太郎。俺が昨日買ったお団子が結構あるんだけどよかったら一緒に食べない?」
「お団子ですか?」
 本来ならば、喜んで!!とは言いたいところだが自分だってひとりでは食べきれないほどのさくらんぼを持っている。
 流石にふたつは多いし、夜ご飯を食べられなくなりそうだな。と思っているとそのさくらんぼの入ったお皿を勘右衛門に奪われてしまった。
……それはさくらんぼ?」
「はい!さくらんぼです。おばちゃんからさっき貰ったんですけど、私だけじゃ食べきれなくて。」
 それで誰かと一緒に食べようと思って探してたんです。と乱太郎が言うと、なるほどなあ。と納得しながら兵助は顎に手を当てて思案する。
「じゃあ、それなら一緒に食べないか?俺もいくら勘右衛門がいるからって買いすぎちゃってさ、数が多くて困ってたんだ。」
 確かに、勘右衛門の手に包まれている団子はゆうに二十個程はあると考える。それをふたりで食べるとなると中々骨が折れそうだ。
「一緒に?」
「そう。ちょうどこれから五年生長屋に行くんだ。だから、そこで一緒にお茶しない?」
 どう?と勘右衛門に首を傾げながら言われてしまえば断れないし何より自分にとっては大助かりな提案だったので是非お願いします!!と笑顔で答えたのだった。
それではいただきます。」
「はいどうぞ。召し上がれ〜。」
 五年い組のふたりにお茶会に誘われた乱太郎は、兵助と勘右衛門の部屋に移動し、机にお互い買ったり貰ったりしたものをお皿に出したりして準備をしていると段々とお腹が空いてきてしまって乱太郎は早く食べたくてそわそわしていた。それを察した勘右衛門はにこりと笑いながら召し上がれ〜。言ったのだった。
……おいしいです!」
「口に合ったみたいでよかったよ。」
 乱太郎はお団子を頬張りながら幸せそうな笑みを浮かべていた。隣に座る兵助は冷たいお茶を飲みながら乱太郎をかわいいなあ。と見守るように見つめており、目の前に座る勘右衛門はお団子ではなくさくらんぼを摘みながら食べていた。
「尾浜先輩、お団子も食べてくださいね!美味しいですよ!」
うん、ありがとう。さくらんぼも美味しいよ。」
 ぱくりと自分が手に持っている最後の一粒を食べ終えると勘右衛門はおいしい〜!と口角をあげて笑った。
 美味しいものを食べてる時の人の表情というのは皆柔らかく緩んでいて乱太郎の目の前にいる勘右衛門もかわいいなあ。と見つめていると、……そういえばさ。と不意に勘右衛門が思い出したように呟いた。なんでしょう?と首を傾げて続きを促すと彼は微笑む。
「乱太郎はさ、舌の上でさくらんぼの茎を結べたらキスが上手いって話聞いたことある?」
「えっ……そうなんですか!?」
 初耳である。まさかそんな噂があったとは……。へぇ〜と感心していると横から声がかかった。
「乱太郎は試したことある?」
「いえ、ないですね。」
「じゃあやってみたら?」
 えっ!?と思いながら顔を向けると目の前の席に座る勘右衛門と兵助がにこにことした笑みを携えてこちらを見ていた。
「えっと……あの……。」
「別に簡単なものだと思うけどね。ほら。」
 そう言って彼は自分が食べ終わったさくらんぼの茎を乱太郎の前に差し出してきた。えぇ、どうしよう。と思いつつも、受け取ってしまう自分がいるわけで……。恐る恐る手に取り茎部分を口の中に含んだ。
 そしてゆっくりと歯を立てて噛み千切らないよう慎重に絡め始める。しかし意外と難しい。しかもなかなかうまくいかなくて焦ってしまい余計に出来なくなってくる。すると不意に横から視線を感じた気がしたためそちらに目を向けると兵助がじっとこちらを見ていてドキッとする。
 慌てて顔を正面に戻すが視線が気になって気がそっちの方に逸れてしまっていた。なんで見てるんだろう。と思っていると、口の中でガリ。と音がした。
「あっ。」
 ついに集中できなくて茎を噛み切ってしまった乱太郎。やっぱり自分にはできないかあ。溜息をつくと、あーあ残念でした。と勘右衛門に笑われる。
「まぁ、初めてにしては上出来じゃない?」
 そう言いながら勘右衛門は再びさくらんぼを掴み取ると口の中に入れた。乱太郎もさくらんぼを食べながら、茎をまた口に含んで結べるか試していると、突然肩を叩かれ振り返ると兵助がにこ。と笑いながら乱太郎を見ていた。
「乱太郎、俺の見てて。」
……え?」
 乱太郎が手にしていた茎を奪い取った兵助は、それを口に含んだ。そしてコロコロと舌を動かしているのを眺めていると、出来たのか口から茎を手に向かって吐き出した。兵助の吐いた茎を見てみると、ちゃんと茎部分が交差されていて結ばれていたのだ。それを見てすごい。と呟くと彼はこちらを見て笑った。
「乱太郎も練習すればできるようになるよ。」
兵助上手すぎない?」
「いやいや。勘右衛門だってできるんじゃないのか?」
「どうだろうちょっとやってみよっか?」
 そう言いながら勘右衛門は兵助と同じように口の中にさくらんぼの茎を入れると器用に舌を使って操り始めた。しばらく無言になったあと見事なまでに綺麗な形に変わっている。それを見て乱太郎と兵助は勘右衛門に拍手を送った。
「やっぱり勘右衛門上手なんだな。」
「そういう兵助こそ凄かったぞ。乱太郎はどう?出来るようになった?」
 勘右衛門に問われて改めて自身の指先を見るが全然ダメである。全くといっていいほど形を変えられていない状態であった。むぅ……と拗ねていると優しく頭を撫でられる感覚を感じて顔を上げれば兵助と目が合う。
「焦らなくても大丈夫だよ、別にできなくてもいいんだしさ。」
「そうですよね。」
「まあ、乱太郎がどうしてもって言うなら、俺たちが手伝ってもいいんだけど?」
 勘右衛門からニヤリと笑いながらそう言われてどきりとする。どういう意味だろう。と思っていると勘右衛門は更に続けた。
「だって俺達結構上手いみたいだしさあ。」
「そうだね。乱太郎に教えてあげてもいいと思うけど。」
 兵助までもが乗り気なのか勘右衛門に同意してしまい、まさかの展開になりそうだと思っているうちにふたりの距離がどんどん近づいていくような気がして慌てて止めに入る。
「まっ、待ってください!」
「ん?どうしたんだ?」
「もしかして怖くなったの?」
 違います!と否定しつつも心臓はバクバク鳴っていて落ち着かない。これ以上近づいたら本当にまずいと思うほど緊張してしまう。
そう乱太郎が思っていると兵助と勘右衛門は目配せして小さく笑うと乱太郎に手を伸ばし同時に抱き寄せた。
「わっ!?ちょっ、ちょっと……!」
「ふふ、乱太郎かわいい〜。」
「せっかく俺たちが教えてあげるんだから静かにしないと。ね?」
ぅ。」
 そう言われてしまえば何も言えないではないか。大人しくされるがままになっていると勘右衛門が乱太郎の髪を撫でながら言った。
「俺がキスするの上手かどうか乱太郎が判定してくれる?」
 そう言って勘右衛門が乱太郎の唇に触れようとすると、兵助が自分の肩を掴みこちら側へと引っ張ってきたので驚いてしまう。
「勘右衛門ずるい。俺が先にするつもりだったのに。」
「早い者勝ちだってば〜。」
 二人のやりとりを見ていたらなんだか恥ずかしくなって顔を下に向ける。
乱太郎。」
 名前を呼ばれて顔を上げるとすぐそこにあった勘右衛門の整った顔。いきなり近づいてきた端正な顔に、呼吸の仕方を忘れていたら次の瞬間には触れるだけの口付けをされていた。
 突然のことで呆然としていると勘右衛門は離れていく。そして今度は反対側にいた兵助によって腕を引っ張られたと思うとまた同じように口付けられてしまう。
ん、っ、」
 急なことに混乱しているとさらに続けて唇を重ねてきて呼吸ができなくなって苦しくなる。しかしそんなことにも構わずに何度も繰り返されるそれに耐え切れず胸を押し返した。
っ、はあ……はあ……
 ようやくふたりから解放されて大きく深呼吸をする。そんな乱太郎の様子を見ていたふたりは楽しげに笑っていて何だか悔しい気持ちになる。
「乱太郎。どう?俺のキス。上手かった?」
「俺も乱太郎からの感想聞きたいな〜。どうだった?」
「そ、それは。」
「もしかして下手だったとか?」
「そんなことはないと思うけどな〜?俺はかなり上手い方だと思うんだけど。」
……っ。」
 よくわかりません。だって初めてだから。と乱太郎が言おうとした時、再びふたりから顔を近づけられ慌てて口を噤む。
「黙ってちゃわからないよ?乱太郎。」
「俺たちが上手いか下手か判断してくれないと。」
 そう言いながらふたりはそれぞれ乱太郎の頬を両手で挟み込んで固定してきた。そして勘右衛門の顔が近づいてきた!と思った時にはもう既に遅かったようで勘右衛門に口付けされてしまう。
っん、ふ、」
 先程よりも長く深いものになり抵抗しようと身体を捻るが力では敵わずされるがままになってしまう。唇を割って入ってきた舌に絡めとられ舌同士が擦れ合う感触に戸惑いながら必死に応えようとするもののすぐに限界が訪れた。
 酸欠により頭がクラクラし始めると勘右衛門から漸く解放される。荒い息遣いではあ、はあ。と呼吸を整えていると耳元に兵助と勘右衛門の熱い吐息がかかって身体がビクリと跳ね上がる。
どう?」
うまかった?」
ぅ、うまかったと、おもい、ますぅ。」
 呼吸を整えながらも素直に伝えると嬉しそうな表情を浮かべてくれる二人。どうやら正解だったらしい。良かった。と思ったのも束の間今度は反対方向からも覆い被さるようにして口を塞がれてしまった。
「んっ……ふぁ……
 兵助とのキスは勘右衛門のような激しいものではなく、ゆっくりとした動作でこちらの様子を見ながら行われる為余計に感じてしまいそうになる。角度を変えながら何度も繰り返される内に次第に思考が鈍っていくような気がする。
(なんか……変な気分っ。)
 頭がボーッとして何も考えられない。ただひたすら与えられる刺激に身を委ねることしかできないのだ。
「んっせんぱぁ、いっもう無理ぃ……、」
 涙目になりながら訴えるが聞き入れられることはなかった。それどころかもっと激しくなる一方で呼吸すらままならない状態になっていた。
 そんなとき、不意に肩を押されて強制的に引き剥がされることになる。そして見上げるとそこには勘右衛門の姿があり乱太郎を見下ろしていた。
「乱太郎。兵助とばかりしてるなんてズルいよ。」
「はぁっ、お、はませんぱ?」
「次は俺の番だからね。」
 そう言い終わる頃には既に次の行動に出ておりまたしても口付けを施される。今度は最初から深い口付けに加え右手で腰を撫で回しながら左手では服越しとはいえ胸元を探ってきたのだ。
「ちょっ!尾浜先輩待ってくださ……あぅっ!」
 強く揉まれたことで痛みを感じて悲鳴をあげると一旦動きを止めたもののそれでもなお手を止めることなく愛撫を続ける彼を見て諦めざるを得なかった。
「やっぱり、かわいいよ乱太郎。」
「うぅ……。」
 二人に交互に攻められてしまいどうしていいのか分からない状況に陥っていると不意に兵助から声をかけられた。
「乱太郎。」
 名前を呼ばれたので顔を上げると唇が重ねられる。触れるだけの軽いものであったが今はそれさえも刺激になり敏感になっている乱太郎にとって非常に堪らないものとなった。
「もっとしたい?」
 そう問いかけられるともう快楽に抗えなくなってきて、首を縦に振ってしまった乱太郎。そんな乱太郎をみて微笑んだふたりは、再び唇が重ねて乱太郎の口内を犯した。
「あふ……っあ、」
 どれくらい時間が経過したか分からない程長い時間続いた行為は、最後に兵助から舌先を吸われる事で終わりを告げたのだった。完全に力尽きたのかぐったりとしてしまった乱太郎を抱き抱えたまま勘右衛門は呟いた。
ごちそうさま。」
美味しかったよ、乱太郎。」
 力尽きて勘右衛門の腕の中で眠っている乱太郎を愛おしそうに見つめながら兵助は彼の頭を撫でる。
一方の勘右衛門もまた同様の眼差しを向けておりまるで恋人に向けるような甘い雰囲気を漂わせていた。
「起きたらどんな反応してくれるかな?」
「きっと照れてさくらんぼみたいに真っ赤になって可愛いだろうね。」
 そんな話をしながら二人は笑い合うとお互いの想い人を起こさないように静かにひとりずつ、乱太郎に額にキスをしたのだった。

ワード:さくらんぼ・呼ぶ・ごちそうさま