三毛田
2025-08-17 21:46:10
1074文字
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87 087. 蕾の開く音

87日目
君と二人で観察

「丹恒、丹恒。みてみて!」
 道端に咲く花を見ていると、ゆっくり蕾が花開いていく。
 一歩先をゆく丹恒を呼び止め、一緒に完全に開くのを待つ。
 静かに動き出し、ゆっくりしているのに、開いていく過程で音が聞こえてくるようで。
「こうやって開いていくんだな」
 丹恒も、感心したように俺の隣に膝をついて花を観察している。
 その横顔は、研究者のそれに変わっており。
 そんな顔も格好いいなと思いつつ、俺が隣にいるのだから構って欲しいという我儘も同時に抱いてしまう。
 いや。
 誘ったのは俺なのだから、そんなことを思ってはいけない。
 手帳のようなものを取り出し、懸命にスケッチしている。
 邪魔をしてはいけないと、立ち上がってちょっとだけ距離を取り。
 そこで、丹恒の様子を観察する。
「はっ。す、すまない。穹、夢中になっていた」
「大丈夫。まだ時間に余裕はあるからさ」
「だが」
「まだ見ていたいなら、いいよ。でも、飲み物とか飲まないと。買ってくるから待ってて」
「わかった」
「ちゃんとここに居ろよ」
「ああ」
 俺が見ていていいと告げると、早速新しいページに切り替えてメモを。
 丹恒が楽しそうでよかった。最近、ちょっと沈み気味だったから。
「丹恒。おーい」
 戻ってきて声をかけるけれど、反応はいまいち。
「わっ」
 頬に飲み物を当てると、冷たかったようで悲鳴を上げてこちらを振り返る。
「ほら、休憩」
「そうだな」
 スケッチを終え、それをポケットにしまうと俺から飲み物を受け取り。
「ん。酸味が強いな。だが、さっぱりしている」
「本当だ」
「お前は飲んでいなかったのか」
「丹恒と一緒に飲もうと思ってさ」
 縁石に腰を掛け、一口飲んで目を丸くしたら呆れた表情を向けられた。
「満足した?」
「そうだな。今日は、満足した」
「じゃあ、飲み終えたら目的地に」
「ああ」
 飲み終えた器を、ゴミ箱へ入れて丹恒の腕を引いて進む。
 依頼内容を聞き、それを終えて。今度は、買い物。
「うーん……
「何を悩んでいる」
「なのへのお土産。おすすめされたものより、こっちのほうがいいかなって」
「俺もセンスがあるとは思っていない。が、三月ならば、お前が選んだものであれば喜ぶだろう」
「じゃあ、二つ買っていって選んでもらうかな」
「それなら、パムにも似合うものにした方がいい」
「お揃いにしたら、二人とも喜んでくれるかな?」
「多分な」
 そうだとしたら、違うものがいいだろう。
 姫子とヨウおじちゃんには、また別のもの。
「丹恒にはこれだな!」