匣舟
2025-08-17 18:27:45
5023文字
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禁欲を偽装

ワードパレットリクエストで頂きました伊乱です。夏休みに委員会の当番で登校してきた乱が伊によって食べられちゃったという話です。ちょっといかがわしいところもあるので、ダメな方は回れ右をしてください。
リクエストくださってありがとうございました🫶

 炎天下の中、乱太郎はひとり忍術学園までの道のりを額から出る汗を拭いながら歩いている。乱太郎が通っている忍術学園は夏休みの真っ最中であるというのになぜ、乱太郎が忍術学園に向かっているのか。
 それは、乱太郎が所属している保健委員会が関わっている。乱太郎の所属する保健委員会では、毎年夏休みに当番制で学園へ集まり、委員会の顧問である新野と委員長である善法寺伊作と共に薬の調合をしたり、包帯や湿布の補充をしたりと様々な雑務をするのだ。
 夏休みといえど上級生になると忍務をしたり、学園の警備をしなければいけなくなり実家に帰ることができない上級生もいると聞いたことがある。特に最高学年である六年生は就職活動や忍務に忙しいため、常に忍術学園にいるらしいということも。
 そんな夏休み期間でも忍務を遂行している彼らが怪我をしてくるということもあるし、怪我をしてきたのに手当をする人が誰もいないなどという事態は保健委員会としては避けたいものである。
 そのため、保健委員会では夏休み期間中も当番制で学園に集まり、雑務や怪我の手当をするのだ。乱太郎は、今日と明日が当番の日であるのでこうして忍術学園に向かっているのである。
「それにしても、暑いなあ。」
 乱太郎はまだ日が昇りきっていないというのに、その暑さにすでに参っていた。額からは汗が滝のように流れ落ち、着ている服は汗でぐっしょりと湿っている。学園に着いたら私服から 忍装束に着替えようっと!と思いながら、乱太郎は再び前を向いて学園への道を歩き始めた。
「着いたーっ!」
 やっとのことで乱太郎が忍術学園の門をくぐった頃には日が昇り始めており、朝の清涼な風が吹いていた。
「おや?乱太郎くんじゃないか〜。おかえり〜!」
 学園に入るといつものようにヘムヘムに連れられた事務員である小松田が入門票を持って立っていた。
「ただいま戻りました!」
 乱太郎は元気よく返事をするとサインをして足早に着替えるために自室へと向かった。小松田に手を振りながら忍術学園の中へと入り、自分たちがいつも使っている一年生長屋へと駆ける。
 いつもならそこ!走らない!と乱太郎の担任である土井に怒られているところであるが今、学園内には学園警備と学園長の護衛のための最低限の教師と忍務や乱太郎のように委員会があったりするなにかしら用事がある生徒しかおらず、土井も乱太郎の親友であるきり丸と一緒に家へと帰っているため、廊下も走りたい放題だった。
「ただいまーっ。」
 そう言いながら自室の戸を開けると部屋には当然、乱太郎以外誰もおらず、外で元気よく鳴いている蝉の声しか聞こえなかった。
 乱太郎は自室につくなり手早く私服を脱ぎ捨てて、持ってきた忍装束へと袖を通していく。その間にも汗が身体を伝っていくのを感じ、手ぬぐいで汗を拭いながら着替えていく。
「ふぅ。」
 乱太郎は着替え終わった後も外の陽炎を眺めながらしばらくぼーっとしていたが、これから伊作先輩や新野先生が待つ保健室へと行かなければいけない!とはっ!と気づき慌てて立ち上がると医務室の方へ走っていった。
「失礼します。」
 医務室へ行くと中では既に伊作が包帯や薬の在庫を確認していたようでこちらを見て手を振っていた。
「乱太郎暑いのにお疲れ様。今日と明日はよろしくね。」
 乱太郎に笑顔を向けると伊作は手を休める間もなくまた棚から薬草やら何やらを取り出して帳面に書き込んでいる。
「はい!宜しくお願いします!」
「じゃあ早速だけどこの箱に入った薬草を分類ごとに仕分けしてくれるかい?」
「わかりました!」
 乱太郎は元気に挨拶すると伊作の座っている机の隣に腰掛けて作業を開始する。いつもなら保健室に駐在している保健委員会の顧問である新野は急患が出たため外出しており、今日はふたりで当番ということだった。
 早速、床に置かれていた大きな木箱の中に入っている大量の薬草を袋に入れたりしながら手際良く作業を進めていく。その横では伊作が何か作業をしているようだ。乱太郎はせっせと薬草の選別をしていきながらその姿をちらっと見る。何やら薬研を使ったりすり鉢のようなものを使って何かを作っているみたいだった。
 二人とも無言でひたすらに作業を続けているとふと視線を感じて乱太郎が顔を上げると目の前には微笑みながら乱太郎を見ている伊作がいた。
 その目はいつもの優しげな表情ではなくどこか熱っぽいような気がするのはきっと気の所為ではないはずだ。
「あの……どうかしました?」
 乱太郎が恐る恐る尋ねると彼は首を横に振ってニコッと笑った。しかしその瞳からは未だ熱が消えたわけではないようで心臓がドキリとしたのが分かった。
「ううん。なんでもないよ。……そうだ。もうそろそろいい時間だし休憩にしようか。僕お茶入れてくるから乱太郎はちょっとだけ待ってて。」
「はーい!」
 乱太郎が大きな声で返事をすると伊作は嬉しそうにクスクス笑いながら自分の頭を撫でて部屋を出て行った。そんな伊作に対して乱太郎はなんだか少し照れ臭くなってきて頬をぽりぽり掻いているといつのまにか伊作が湯呑とお盆を持ちながら帰ってきた。
「はいどうぞ。」
 渡された湯呑の中身を見てみると冷たい麦茶が入っていたので有難くいただくことにする。ゴクリと一口飲むだけで喉の乾きが癒されていく感覚があり生き返る気持ちになった。
 冷たい麦茶に感動しながら一気に飲み干す。その様子を見ていた伊作が面白そうに笑うのを見て恥ずかしくなり思わず俯いてしまった。
 そんな様子すら愛おしいというように自分を見つめてくるものだから余計に恥ずかしくなってしまい耳まで赤くなるのを感じる。
(うぅ〜穴があったら入りたい〜っ!)
 そんなことを考えながらチラッと横を盗み見たが相変わらず蕩けるような笑みを浮かべており胸が高鳴る。それを誤魔化すように手元にある湯呑を取ろうとするものの空になっていてそれすらできず悶々としていると突然手を握られてしまった。
ねぇ、乱太郎。僕の方を向いて?」
っ!」
 久しぶりに僕だけのかわいい、かわいい恋人に会えたのに、僕のこと見てくれないなんて悲しいな?という声が聞こえてきたので、なんだか可哀想になってきて顔を上げるといつの間にか目と鼻の先に伊作の顔があり、思わず息の仕方を忘れてしまうほどだった。
「っ。」
「あ、やっとこっち向いてくれた。」
 伊作の顔があまりにも近くでに驚いて後退ろうとしたけれど、手を掴まれていたので後退できず逆に引き寄せられてしまいじわじわと伊作との距離が縮まってしまう乱太郎。
 どうしようと悩みながら顔を上げると、ぱちり。と伊作と乱太郎の瞳が連なってしまう。そのままゆっくりと近づいてくる伊作の端正な顔に釘付けになってしまった。
 逃げなきゃ。なんて思っているのに、乱太郎の顔は動かない。そして逃げることもできずに、ふたりの唇同士が触れ合ってしまった。
「んっ。」
 チュッ、チュッという音とともに何度も口付けされ舌を絡まされて、酸素不足で頭がクラクラしてきたところで漸く解放された時にはすっかり骨抜きになってしまっていて、伊作の胸の中に抱かれながらされるがままに体を預けてしまっていた。
「ひうっ!」
久しぶりだから敏感になってるのかな?かわいい。」
 すると不意に汗がじわりと滲んでいる首筋を舐められてビクッと反応してしまう。そんな些細な動きですら敏感に感じ取られてしまい執拗以上に責め立てられてしまい力が抜けてしまう。
 しかし、作業も終わっていないし、場所が場所なので流石にこれ以上続けるのはまずいと思ったのか最後に軽く触れるだけの口付けをした後ゆっくりと離れていった。
 乱太郎がホッとしたのも束の間、今度は伊作に後ろから抱きしめられてしまい身動きが取れなくなってしまう。
 しかも先程よりも密着度が高い状態で抱きつかれているため余計に落ち着かない気持ちになってしまう。
「ねぇ、乱太郎。」
 背後からかけられた声にドキリと心臓が跳ね上がるのを感じつつ平静を装い答えることにする。
「なっ……なんですか伊作先輩?」
 伊作先輩が耳元で囁くように言うものだからつい変な声が出てしまい慌てて口を押さえるもクスリと笑われてしまった。そしてそのまま伊作の吐息が耳にかかりピクピクッと肩を震わせてしまい更に羞恥心が煽られてしまう。
「本当はここで食べちゃいたいんだけど、ここは人が来るだろうから。」
 だから、今日はまだ我慢しておくね。代わりにあとでいっぱい可愛がってあげるから。と耳元でそう囁かれた瞬間ゾクゾクとしたものが背筋を駆け上がり一気に体温が上昇していくのが分かる。
大丈夫だよ乱太郎。ちゃんと夜までは手を出さずに居てあげるから。だから今は良い子にしていてね?」
「っ……。」
「いい子にしていないとすぐ襲っちゃうから。」
ぅ。」
 じゃあ作業に戻ろうか?と伊作は自分の腕の中で真っ赤になりながら小さく震えている乱太郎を見て満足そうな笑みを浮かべるとポンポンと頭を撫でる。乱太郎はそれにさえもびくっと反応してしまい、さらに身体を固くさせることとなった。
「あはは!ほんとにかわいいんだから。」
 そんな乱太郎を見て可愛いと褒めたあと再び仕事を再開する伊作であったが、途中でまた甘い空気に流されそうになる場面もあり、なかなか捗らない様子であった。
「お疲れ様。」
「お疲れ様でした。」
 それでもなんとか全ての作業を終わらせることができた時にはすっかり疲労困憊となっていた乱太郎であったが同時にやり切った達成感もありなんとも言えない充足感を得ることができていたのだった。
「おばちゃん!ごちそうさまでしたーっ!」
 その後、作業を終えて食堂に行くと、運良くおばちゃんがいた日だったので夜ご飯を作ってもらい美味しかったなあ。と思いながら部屋に戻ろうとした時のことであった。
「きゃっ!」
 廊下の角を曲がろうとしたところで急に腕を引かれ勢い余ってバランスを崩し倒れそうになるも後ろから支えられることで事なきを得たが、一体誰なのかと振り返るとそこには満面の笑みを浮かべた伊作がいた。
「い、伊作せんぱいっ。」
乱太郎のこと待ってたのに来ないから僕から来ちゃった。」
 にこ。と笑った伊作を見たその瞬間、嫌な予感がしたが逃げようにもいつの間にか回された腕によって捕まえられており身動きが取れない状況になっていたので大人しく従うしかない。
 そのまま伊作に手を引かれて彼の部屋に連れ込まれるとバタンッという音と共に障子が閉められてしまう。そしてそのまま乱太郎を敷かれていた布団の上へ押し倒すと覆い被さってきた。
「伊作先輩……。あのっ……!」
 乱太郎が起き上がって抵抗しようとしたが既に遅く両手を拘束されてしまい組み敷かれてしまい、完全に逃げ場を失ってしまった形になってしまった。
「乱太郎。」
「ちょっ……待ってくださぃ……!」
「またない。」
「ま、まっ……んぅ、」
 静止の言葉を言い終わる前に強引に唇を奪われてしまい呼吸することすら許されなくなる。苦しいと思いながらも必死に鼻で息継ぎしているうちに徐々に意識が朦朧としてきて思考能力が低下してしまう。
「んぅふっ、」
 一度口を離されお互いの唾液が糸を引く光景に興奮を覚えながら、荒くなった息を整えようと深呼吸している隙に再び口付けされてしまい抵抗できなくなってしまう。
「っん、」
 次第に激しくなる口吸いに戸惑いながらも受け入れていくうちに段々と快楽に溺れていき何も考えられなくなっていった。そんな乱太郎の様子を楽しそうに見ていた伊作は一旦口を離してぺろっと自身の口端についた唾液を舐めとると妖艶な笑みを浮かべながら言った。
ふふっ、今日は誰もいないから……。」
 乱太郎のかわいい声がずっと聞けるんだね?嬉しいなぁ。という言葉とともに再び口付けられてしまい、何も考えられなくなってしまうほどに翻弄されてしまった。そしてそのまま伊作に組み伏せられてしまい乱太郎の声にならない声だけが部屋に響き渡っていたのだった。

ワード:炎天・じわじわ・逃げる