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ぐるさん
2025-08-17 11:08:55
2087文字
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8.17 ふみりかワンドロ【記念日】
ふみりかワンドロライ(@ fmrk_1draw)さんの2025.8.17 お題をお借りしました。
「理解、これあげる」
「これは
……
薔薇ですか?」
「うん」
ふみやさんが唐突に、一輪の白い薔薇の花を渡してきた。
「これが一番茎が真っ直ぐ伸びてて、左右対称で、何か理解っぽいな、って思ったから」
少し照れながら薔薇を指さすふみやさんと同じ所を見ると、確かにその薔薇は真っ直ぐ伸びた茎の頂上の真ん中に花が咲き、途中で生えた葉も左右同じ位置に、同じ大きさで並んでいる。
造花であればよくあるかもしれないが、生花でこれ程整っているのは珍しいかもしれない。
「まぁ、記念日って事で、よろしく」
「えっ」
ふみやさんは薔薇を眺める私にそう告げて、足早に去っていく。
後ろから見えた耳が赤くなっており、多分照れているのを誤魔化したいのだろう。
しかしここで、私にある疑問が浮かぶ。
「記念日って、何の?」
◇◇
ふみやさんとお付き合いを初めてから、私は今「恋愛」「恋人」「交際」に関する知見を広げる努力をしている。
何故なら、今までそうした事を避けてきたせいで、そうした事柄に関する知識が不足している点が否めないからだ。
ふみやさんはあんまり気にしていないようだが、年上としてエスコートされっぱなしは流石に気になる。その思いで色々調べている内に、ある情報を私は得た。
一般的な恋人達は、何かを初めて行った日を、〇〇記念日と称して祝うのだと。
その事を知って以来、私は自らの手帳に可能な限り記念日を記した。
初めてふみやさんと手を繋いだ日、初めてふみやさんとデートをした日、初めてふみやさんとキスをした日
……
沢山の記念日を手帳に記した。
だが、結局それらを祝う日は無かった。
と言うのも、ふみやさんはそうした事柄にあまり執着しない性質だったからだ。季節毎のイベントは割と気にするのに。
それに気がついてからは、あまり手帳に記念日を書かなくなった。代わりに、ふみやさんと居る今の時間を大切にしようと決めた。
だと言うのに、そのふみやさんが急に「記念日」を祝うなんてどういう風の吹き回し?しかも何の記念日か全然分からない!
自室にある机の引き出しから過去の手帳を引っ張り出して見返しても全然見つからない。
「うーん
……
?一体どこにあるんだ
……
?」
「何探してんの?」
「うわぁっ!!」
気づけば、ふみやさんが隣で一緒に手帳を覗き込んでいた。
「何してるんですか!?」
「理解の部屋の前通ったら、『うーんうーん』って唸る声が聞こえたから、調子悪いのかと思って見に来た」
「せめてノックしてから入りなさい!」
「した所でさっきの理解は気づかなかったと思うよ」
ああ言えばこう言う、とはまさにこの事だろう。
「で、結局何探してんの?」
「うっ
……
」
流石に面と向かって「今日って何の記念日ですか?」とは聞きづらい。
「ええっと
……
そのぉ
……
」
「?」
何となく目を逸らしながら次の言葉を探すも見つからない。ちゃんと見れてないから分からないけど、段々ふみやさんからの圧も強まっている気がする。
いよいよ駄目かもしれない
……
と思ったのも束の間、ふみやさんから以外な言葉が出た。
「あ、さっきの薔薇」
「
……
え?」
「飾ってくれたんだ」
「え、あ、はい
……
」
ふみやさんが指を差したのは、机の上にある一輪挿しと、そこに佇む先程の白い薔薇。
「付き合った記念にしてはささやかすぎるかなって思ったけど、喜んでもらえて良かった」
「ん!?ふみやさん今なんて!?」
聞き間違いでなければ、めちゃくちゃ重要な事を言われた気がする。
「何って、付き合った記念。俺とお前が、付き合い始めた日」
ふみやさんと私がお付き合いを始めた日
——
それはまさしく盲点だった。
『一般的な恋人達は、何かを初めて行った日を、〇〇記念日と称して祝う』
私は、ふみやさんと初めて行った事柄に着目していたせいで、一番最初を記し忘れてしまったのだ
……
!何たる不覚!
「俺もまぁ、去年言い忘れたし、理解も何も言わなかったから、そういうものかなって、思ってたけど、ふと思い出しちゃったからさ」
「
……
!」
ふみやさんは照れ臭そうにしながら、ふわりと微笑む。
「でも、あくまで俺がそうしたかっただけだから、別に理解に何かして欲しいとかって訳じゃないから。そこは安心して」
私を宥めようとするふみやさんの様子を見て、ふつふつとある感情が湧き上がる。
「いえ!そういう訳にはいきません!!」
「理解?」
「私達は、お、お付き合いをしている以上対等であるべきです!よって、来年のお祝いはこの草薙理解が担当致します!!」
「
……
マジで?」
「私は嘘はつきません」
「
……
そっか。それなら来年のお祝いは、理解に任せようかな」
「お任せ下さい!」
「で、その次は俺で、そのまた次は理解で
……
」
「ん?」
「楽しみだね、理解」
頬を染めながら私を引き寄せる手を握り返すと、優しい口付けが落とされた。
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