三毛田
2025-08-15 22:46:48
1082文字
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85 085. すきとおる

85日目
君の一部も欲しい

……
「そんなに見つめられても、どうにも出来ないぞ」
 サラリと、黒髪が肩を流れ落ち。
 透き通った角。それから尻尾。
 普段の姿よりも、神秘性が増しているのはそれらのおかげか。それとも、それらのせいなのか。
 透き通るような、不純物のない恋心なんかとっくにない。
 あるのは、邪な翼を孕んだドロっとした恋心だけ。
「穹?」
「いただきます」
 丹恒の角を掴み、一度ティッシュで軽く拭ってから口へと持っていく。
「こ、こらっ。そんなもの舐めても味はしないっ」
 根元から先端にかけ、ゆっくりと舌を這わす。
 確かに丹恒の言う通り、味はしないけれどほんのりと冷たくて。
 もう片方の角も、同じように口へと運ぶ。
「き、穹っ」
 角を舐めながら、透き通っている尻尾も撫でると焦ったような声。
「も、やめてくれ……
「ん。丹恒、可愛い」
 大きい棒付きキャンディーを舐めるように、角を舐め。
「でっ」
 そしたら、尻尾の先端で思い切り横っ面を叩かれた。
「た、丹恒先生痛いって~」
「俺はやめろと言ったっ」
 尻尾をぎゅっと抱きしめ、涙目でこちらを睨んでくる。
 しばらく俺を睨んだ後、タオルを持って浴室へ消えていく。
 これは当分風呂から出てこないだろうな。
 言い訳だけさせてもらうと、飴みたいで本当に美味しそうに見えたんだ。
 きっと、他の人だとそんなことは一切思わないんだろうけど。
「丹恒が好きだから、なんだよなぁ」
 欲から発生した、ドロドロと醜い感情。
 頭のてっぺんから爪先まで、すべてが美味しそうに見える。
 そんな現象。
……
「あ。出てきた。だから、痛いって」
 ちょっと湿っているタオルで背中を叩かれた。少し重くなってるから、地味に痛いのだ。これが。
「お前は、俺のことを何だと思っている」
 未だに顔が赤い。
「丹恒は、どういう返答を望んでる?」
 逆に問いかければ、タオルを両手で握りしめてこちらを見るだけ。
 何となく答えはわかる。〝親友〟って答えて欲しいんだろう。
 俺だって、欲を抱く前なら素直にそう答えていた。
 けれど、今は駄目だ。丹恒でも飲月でも、彼が彼である限り、そういう欲を抱いてしまう。
 そして、それを我慢できずに向けてしまうから。
「なあ、丹恒。うぐっ」
 距離を詰めると、タオルを顔に押し付けてきて。
 何とか隙を見て顔を観察すれば、真っ赤になっており。
「親友……以外に、お前は、何があるんだ」
「体のあちこちを触りたい欲。更に言うと、エッチなこともしたい」
「えっ」
 びっくりしたようで、呆然と。