sn🪼
2025-08-15 11:06:16
499文字
Public 🏒短いdgsr夢
 

宮森で過ごした2年間の話

csg

「だってなくなっちゃうのよ?」
 最初から越境入学しておいたらっていうお母さんの言い分はもっともだ。知らない先生、作り直しの友達、慣れない通学路、新しい制服……は、さすがに多目に見てくれるかな。
 一生のお願いを使うにはジキショーソーかもしれないけど、どうしても宮森に行きたくて。先輩を、見ていたくて。
 アイスホッケーの楽しさを私に教えてくれたのは一つ上の先輩だった。

「まあ、ここで頑張ってみるべや」
 春、先輩はそう言って笑った。
 夏が来て、秋が来て。先輩の隣にはいつも富士さんがいた。

 冬が来て、春が来て、夏が来て。
「もう応援来なくていいよ」が「来んな」になったのは秋と冬のあいだ。学校で会っても目を合わせてくれなくなったのも、そう。
 だから最後の試合はこっそり見に行った。学校じゅうのみんなが行くんだから私が行ってもきっとバレない。木を隠すには森の中って、そう思ってたのに。

「先輩!!」

 最初で最後の得点の瞬間、思わず大声で叫んじゃった私はバカだ。来んなって、言われてたのに。

 でも多分、多分だけど。
 先輩が照れくさそうに笑ったのは、見間違いじゃなかった。