三毛田
2025-08-14 14:50:49
1075文字
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84 084. 光のように

84日目
俺たちを照らす

 光を宿した瞳。
 そう例えたとしても、間違いではないだろう。
 光と聞いて、思い浮かぶ色がそれだから。
 それに、彼自身も陽だまりのように優しく柔らかな光のような存在で。俺や三月たちを照らしてくれる。
「時々穹が眩しい」
「無垢でもあるからだろう」
 今の彼は記憶がない、まっさらな状態。
 そこに、好奇心が前面に出れば眩しく映る。
「黙っていたり、ゴミ箱に変な執着を持たなければ元々顔がいいんだからモテモテだろうに」
「そんなことになれば、列車に戻ってこなくなるんじゃ?」
「そんなこと……
 ない。と、強く言い切れないのは、まだまだ俺たちが穹を知っていないから。知り尽くしていないから。
「でもでも! あの子、ウチや丹恒のこと好きだもん! そんなことにはならないってば!!」
「そうだと、嬉しいな」
「なになに? 何の話?」
 扉からひょっこり顔を覗かせた彼は、こちらへとやってきて。柔らかな銀糸は、かすかにどころかかなり濡れている。
「また髪の毛を乾かさずに来たな」
「床に水滴垂らしてると、パムに怒られるからね?」
「丹恒先生、乾かして!」
「仕方ないな。座れ」
「はーい」
 穹を座らせてからそっと頭へ手を乗せ、雲吟を発動。
 ふわりと髪から水分が消えていく。
「はい」
「ありがとう」
 三月がブラシを渡してくれたので、優しく髪を整えていき。
「これでよし。なんだ」
「丹恒もなのも優しいなぁって」
「ウチらの事、好きになっちゃった?」
 三月がニコニコと笑いながら、声をかければ。
「二人のこと好きだぞ? もちろん、姫子も、パムも、ヨウおじちゃんも! シャラップのことはまだよくわかってないから、好きって言えないけど。でも、列車のみんなのことは、好きだから」
 ニッコリ。
 そう表現するのが正しい笑顔を、彼は俺たちに向けてくる。
「うわ……眩しい……
「まるで光のようだな……
 その笑顔が眩しくて、思わず二人揃って手で顔を隠す。
「どうしたんだよ。俺、悪いことしたか?」
 こちらの信条など知る由もなく。そっと視線から隠れるようなしぐさをした俺たちに、彼は不満そうに唇を曲げ。
 それすらも眩しい。
「お前は何も悪いことはしていない」
「なら」
「あんたの笑顔が眩しくて、ちょっとクラッとしただけ」
「俺の笑顔が眩しい? なんで?」
 そうやって疑問に思う表情も、眩しいのはすごい。
 きっと、俺にはない素養。
「なんじゃなんじゃ。お前たち、喧嘩でもしたのか?」
「違うよ。パムはどうしたんだ?」
「今日のおやつじゃ」