三毛田
2025-08-12 21:56:55
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82 082. 花ひらく

82日目
俺もいつかそうなるように

 花が開くような愛らしさ、美しさ。
 とか勝手に思っていたけれど、どうやら違うらしい。
 成果が現れる。ということだそう。
「才能が開花するとか、そういうこと?」
「その意味が近いだろう。急にどうした」
「お勉強中。カンパニーの系列? のネット通販で買ったお子様向けのお勉強ノートを解いてるんだけど、年齢が上がると、知らない言葉とか出てくるから、ネットの辞書で調べてたんだ」
「そしたら、想像していたものと違っていたと」
「うん。でも、楽しいから」
 そう。知らないことを知ることが出来るのは、楽しいのだ。俺の言葉に、丹恒は嬉しそうな笑みを薄く浮かべ。
 きっと、丹恒もそうなのかもしれない。
 彼と同じ気持ちを味わえたのだと、彼の思考に少しでも近づけたのだと思ったら、嬉しくなってきた。
「どうした。楽しそうだな」
「うん! 嬉しくなっちゃった」
「なるほど。俺に手伝えることはあるか」
「歴史の勉強と、読書感想文。おすすめの本があれば教えて欲しい」
「歴史は、星によって違う。誰かに見せるのか」
「一応ヨウおじちゃんが見てくれる」
「ならば、俺がアーカイブにまとめていないベロブルグの歴史がいいかもしれないな。お前は、あれからもちょくちょくあそこに行っていただろう?」
「まあな」
 地元の人たちに頼まれて、色々と依頼をこなして上へ下へあちこち奔走。
 嫌ってわけじゃないけど、一人だとちょっと寂しかったのは内緒。
「書き方がわからなかったら、俺が見て教えてやろう」
「お願いします」
「お前に紹介する本については、改めて探してみるから数日待て。何冊か選んでおく」
「じゃあ、ちょっとベロブルグまで行ってきます」
「気をつけろ。ブローニャたちによろしく」
「はーい」
 今日の勉強も一区切りついたので、とりあえず荷物をまとめて部屋へ持っていく。
 この後は、お土産として持っていくケーキを焼こうか。もちろん、パムに手伝ってもらうけど。
 俺が食べたい気持ちも、あるにはある。
 丹恒にも、ちょっとだけ食べてもらいたい気持ちも。
 パムに相談に行ったら、パウンドケーキがいいと。初心者にもおすすめだというので、早速作ってみた。
「どうですか、師匠」
「初めてにしては、悪くない。数をこなせば、みんなへのおやつとして提供できるじゃろう」
「お土産にするには?」
「あと数回作るのみ、じゃ」
「はーい」
 焼きたてを切り分けて、口へ運ぶ。
 うん。やっぱ丹恒にも食べてもらいたい。
「丹恒先生、おやついりますか?」