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しゃどやま
2025-08-12 21:11:27
1364文字
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【宗戴?】姑(猫と戴)
ショートヘアの戴天VS猫 (猫の柄捏造)
「高塔本家
……
粗相のないようにしなければいけませんね」
スーツ姿の戴天は、本家の使用人に案内され、客室へ通される。座布団に座らず、下座に正座する。鞄と手土産の風呂敷を隣に置き、主人を待った。
高塔絶空。当主であり社長。万一があってはならない。叢雲さんの父上であるとはいえ、上司であり、敬うべき存在です。気を引き締めてまいりましょう。
戴天は集中する。暗記した受け答え、提出する書類の順番を思い返していた時だった。
ざり、と小さく畳を踏む音がする。戴天は素早く身体を向けた。
「この度は
――
え?」
眼の前に居たのは、絶空ではなかった。人でもない。
大きな三毛猫だった。
戴天から見ると大きく見えているが、普通の大きさの三毛猫だった。ふんわりと柔らかい白い毛皮をベースに、茶と黒の斑がある。黄緑の目をじろりと戴天に向けて、尻尾の先端をゆるりと揺らした。
戴天は思考停止する。叢雲から猫への惚気話を聞いたことはあった。雨竜といっしょに寝ていたとか、寝言を言っていたとか、舌を出していただとか。けれど動物を可愛がる思考のない戴天からすると「そうなんですね」としか言いようのないエピソードだった。
猫が目を細める。ゆっくりと、威光を見せつけるように歩いてくる。瞳孔は細く、人間ではないと強く伝えていた。
「えっ、その
……
」
戴天は、手土産を抱きしめる。この中にはモナカが入っていて、猫にイタズラされていいものではない。猫がモナカを食べるかは、戴天にはわからなかった。
「これは
……
」
猫がずんずんと歩みを進める。なぜかまっすぐ戴天に向かって、得意げに。戴天は慌てて鞄を立て、猫と自分の間にバリケードを築いた。戴天の背中に、感情のわからない汗が浮いた。
猫は鞄に頬を擦り付ける。ニヤニヤと笑っているようにも見えた。躊躇なく、ウナギのようにぬるりと柔らかい身体を曲げて、正座している戴天の膝に足をかける。小さな足に、体重をかけてきた。
「そ、それは
……
」
戴天は硬直する。振りほどきたい。そっと押せば諦めるだろうか? 声を上げて脅かせば
――
いや、本家の猫だ。立場は上なのか? 上であったとしてもこのような無法を許してもいいのだろうか?
混乱する戴天の膝に、猫が乗り上げる。戴天の顔を覗き込み、猫はピンクの鼻を近づけた。
「っ!」
戴天は思わず顔を引く。モナカを抱えたまま背後に倒れ込み、畳に短い金髪が触れた。
猫は諦めない。膝から戴天の腹に移動し、そのまま戴天を見下ろす。口元から小さい牙が見えていた。
「あ、ああ
……
っ」
戴天は死を覚悟する。身動きも取れず、拒めず、このまま猫に
――
「何をしているんだ?」
「
……
叢雲さん
……
」
廊下から叢雲が部屋を覗き込む。猫に乗られている戴天を見つけると、チッチッと舌を鳴らした。猫は渋々といった態度で戴天から降り、叢雲の方に歩み寄る。そのまま廊下を抜け、庭の方へ消えていった。
仰向けのままの戴天は、呆然と叢雲を見上げる。叢雲は吹き出したように笑った。
「あれがうちの猫だ」
戴天の横にかがみ込み、見下ろして笑む。弟を見るような、慈しむ表情。
「お前に似ているんじゃないか?」
「
……
どこがですか
……
」
からかう叢雲に、戴天は細い声の反論をする。
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