ずっとそばにいて

ザックス✕エアリス

※貴方はザクエアで『ずっとそばにいて』をお題にして140文字SSを書いてください。



 黄色い花が、風に揺れていた。教会の床に咲く花々は、天井の割れ目から射す光を受けて、小さく首を振っている。埃っぽい空気の中で、そこだけが静かで、透き通っていた。
 ギィ――と木の扉が軋み、静けさを揺らした。ザックスが顔を覗かせ、祭壇のそばに座るエアリスを見つける。
「お、昼寝タイム?」
 からかうように声をかけながら、足音を忍ばせて近づいていく。
「起きてるよ」
 ぴたり。まるで動きを読んでいたかのように、エアリスが先に声を出した。
「なんでバレるかな〜」
「ザックスが静かだと、逆に目立つんだもん」
「気配で分かるなんて、エアリス、ソルジャーの素質あるかもな!」
 エアリスはくすくすと笑い、横にスペースを作る。ザックスは花を踏まないよう注意しながら、その隣へ腰を下ろした。
「何してたの?」
「お花、数えてた」
「何本あった?」
「途中で眠くなっちゃった」
 エアリスは屈託のない笑みを浮かべ、ザックスに少しだけ寄りかかる。
 外の世界は今日も騒がしい。ソルジャーは忙しく、神羅は落ち着きがなく、ザックスがいつ呼び出されてもおかしくないのは分かっている。それでも、こうして来てくれる。
「ねぇ、ザックス」
「ん?」
「もしも、何もなかったら……ずっとここで、お花のお世話してられるかな」
「そしたら、俺が毎日、横で水やり係だな!」
……毎日そんなふうだったら、きっと楽しいね」
 花を見ながら、エアリスはふわりと微笑んだ。その穏やかな時間を思い描くと、自然に次の言葉がこぼれる。
「そしたら、私が“お疲れさま”って言って、ザックスが“ただいま”って言って……
「んで、エアリスが“おかえり”って言うの」
「そう。……それだけでいい」
 二人は顔を見合わせて笑った。叶うかどうかなんて、この際どうでもいい。ただ、そういう時間を夢見ていられることが、今は何より幸せだった。
「ねぇ」
「うん?」
「もうちょっとだけ、このままでいい?」
 エアリスはそっと彼の腕に触れる。ザックスは答えの代わりに、彼女の肩へ手をまわした。
……ああ、ずっとそばにいるよ」
 花の揺れる音が小さく響く。閉ざされた世界の中、教会だけが二人の願いを静かに受け止めていた。