三毛田
2025-08-10 22:15:00
1069文字
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80 080. 書きかけのラブレター

80日目
君へのラブレター


 碧のインクで書き始めた、ラブレター。書きかけを見られそうになり、送る相手の意識をそらしたことで何とかその場を乗り切り。
「出来た!」
 あれから数日かけて、ゆっくり丁寧に。愛を込めたラブレターが書き上がった。
 封筒の宛名も、同じインクで書いていく。
 そして封筒を手にして部屋を出て、深呼吸してから、丹恒の部屋のドアをノックする。
「開いている。穹か?」
「そうです。失礼します」
「ああ」
 ドアを開けて、室内へ。読書でもしていたのか、机の上には、本が山積みに。
「それ、全部読むのか?」
「こっちの山は読んだもの。こっちはこれから読む」
 よく見れば、二つ山があった。
 連休だからと、図書館の貸出上限マックスまで借りてきたのだろう。
「ちゃんとご飯は食べるんだぞ」
「あまりカロリーは消費していないから、お前たちよりは少なめに擁してもらえっている」
「ちゃんと動かないと、体に悪いと思うんだけど」
「そうだろうか」
「ずっと座りっぱなしもよくないって聞いてる」
「そうか。お前が来たから、今からは気分転換だ。ところで、何の用だ」
「これ、受け取ってくださいっ」
 頭を下げながら、ラブレターの封筒を差し出す。
 受け取った後、裏表どちらも眺め。それから。
「開けていいのか」
「開けていいです。丹恒に開けてもらわないと、意味がないから」
「なるほど」
 碧のハートのシールを丁寧に剥がし、封筒を開けて。
 便箋を取り出し、目を通していく。
 凄いドキドキと心臓がうるさい。
 耳に熱が集まるほど、緊張と羞恥が。
……
 読み進めていく丹恒を盗み見ると、段々と頬が赤く染まっていって。
「ぇ」
「お前が、俺のことを好きだという気持ちは、その……ものすごく伝わってきた」
 便箋を折り畳み、封筒に戻し。それから、引き出しにそっとしまう。
 その反応は、どうとればいいのだろうか。
「嫌だった?」
「嫌ならば、このラブレターをお前につき返している」
「そ、そっか」
 嫌でないのであれば、それは嬉しい。
「前提として、俺とお前は交際をしている」
「はい」
「それなのに、なぜ今更ラブレターを?」
「書きたかったから。お前への気持ちを、きちんと言葉にしたかったから」
 しっかりと丹恒の目を見ながら告げると、彼は驚いたのか数回瞬き。
 でも、嬉しそうに笑みを浮かべ。
「ありがとう。俺も、書いた方がいいか」
「ううん。それは強要しない。でも、丹恒が書きたいって思ったなら書いてくれたら嬉しい。俺も、丹恒みたいに大切にしたい」