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望月 鏡翠
2025-08-08 10:06:54
965文字
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日課
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#1806 「ファラジ」「離島」「圧伏」
#毎日最低800文字のSSを書く
島には驚くべきことに最低限のインフラが揃っていた。きっと島流にあうのは我々が最初ではなかったのだ。権力者は遠い遠い昔から、邪魔になった連中を国から追い出していたのだ。
追い出されるだけで済むのは、ある意味ではとても平和な解決方法であるのかもしれない。後顧の憂を断つために処刑されてしまうことだって十分に考えられたのだ。
かつてここに流されて、生活の基盤を整えてくれていった人を、私は心の底でこっそりと同胞と呼んでいた。当時の彼らの憤りはきっと私たちとは違うのだろうが、私たちと同じく、国から追い出された仲間同士だ。
離島は真水を得にくいのだが、山の中腹の池から生活の拠点がある場所まで、水路が引いてある。敷設の様式がファラジと同じだ。昔は異国から来たものが同じ国民として暮らしていたのかもしれない。
今となっては懐かしい話だ。この国が港を閉ざしてもうしばらくになる。それを再び開くことが望みだったが、自分も今や閉じた港の外に追い出されてしまった。
悔しいが、追い出されてしまったものは仕方がない。武力を持って無理やり開かせるか交渉をするか、どちらかでしか港は開かない。島流にあった罪人はそのどちらも持ち合わせてはいなかったのだから。
考えようによっては、理不尽に締め付けてくる政府から自由になって心機一転ここで新しい生活を始めることができるのだ。不満を抱くような為政者もいないのだから、心穏やかなものだ。
島に流されたのは私だけではなく、他にも同胞が複数人いた。
支え合っていけば、まあなんとか生きていくことくらいはできるだろうという塩梅だった。
しばらくはそれで、寂しいなりに穏やかな生活を送っていた。
しかし生活のためのルールを定めようと言い始めたあたりから、皆少しずつおかしくなっていった。共同生活に規範が必要であることはいうまでもない。
しかしルールを守るためのルールができ、守らなかった者に対する罰ができ、締め付けは徐々に強くなっていった。それが気に入らないというものも出てきたが、力が強いものがそれを圧伏させて、管理体制が出来上がった。
どこにいっても、人は人でしかないらしい。
権力のない場所に流されたのに、私たちはまた自らの手で自分たちを締め付ける権力を作り出してしまったのだ。
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