syanpon
2025-08-07 22:47:41
1064文字
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フォークドーナツドーナッツ

現パロ
オトスバ



 皿にに乗せたドーナツの一つはオットーの手によって二つに割られてしまった。「あー!」と濁点混じりの絶叫が右から聞こえ、耳が少しキーンとなる。

「ばかばかばかばか!何ですぐ割るんだよ!」
「ええ……食べるためじゃないですか?」
「この並びに意味があったの!上から見た見た目に!くっそ〜綺麗に割りやがって」

 恨めしそうにオットーの顔を見た後にスバルは割れていない方のドーナツを二つに割った。オットーの目がじとりと細まる。

「あんたも割ってるじゃないですか」
「もう一個割られたらおしまいなんだよ。あーあ、お祝いごとなのに」

 ぶちぶちと文句を言いながらそれでもドーナツに罪はないためスバルは片方のそれをオットーの口に押し込んだ。オットーは人の口、しかも恋人の口に入れるならもっとなんか、こう、ムードとか大きさとかあるだろうと思ったがその言葉は前は口腔内の水分とともに持っていかれてしまう。

 唐突に「家行っていい?」とLINEが来たかと思えば二つだけ入ったドーナツの袋を下げてやってきた恋人は今日はいつも以上に意味不明だ。
もごもごと咀嚼しているとスバルが声をかけてくる。

「なぁ、今日何の日か知ってる?」
「六月は国民の祝日はありませんが」
……

 ずい、とスバルがスマホの画面を向けてくる。いわゆるカップルアプリというものらしい。そこには可愛らしくデコレーションされた「付き合って100日!」の文字が踊っていた。
 オットーはもう半分のドーナツを口に含んだ。物理的に口を塞がなければきっと「え、フォークとドーナツ2つで100は回りくどすぎません?」と言っていた気がするのだ。

 画面を見た瞬間ドーナツを頬張った恋人の奇行にスバルが若干引いた目を向けている。その顔を手で制してついでにちょっと待ってろという意味合いも込めてオットーは席をたった。

「はい、ナツキさん」

 スバルの目の前に小さな箱が二つ置かれる。移動中にドーナツは気合いで飲み込んだ。

「え、なにこれ」
「100日記念、僕が覚えてないわけがないでしょう?」

 スバルの目の前で箱を一つ開けてやる。安いとは言えないがめちゃくちゃ高いとは言えないペアリングが蛍光灯の光を受けてきらりと光った。

「え、え」
「あぁ、あとこれもそろそろ渡そうと思ってたんです」

 指輪を2つ箱から出して並べ、その一番左にオットーはもう一つのプレゼントを並べてやる。

「合鍵リングリング……うーん、ちょっと語感悪いですね」なんていって笑いながら。