syanpon
2025-08-07 22:36:42
1353文字
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いちゃいちゃ#とは

オトスバ
現パロ


「いちゃいちゃしてみたい」
「はあ」

 机をくっつけての昼休み、突然立ち上がり高らかにあげられたスバルの宣言にオットーは生返事で返した。
 目は口ほどに物を言う。またこの人はなんか言っている。が、恋人のよくわからない思いつきを聞いてやるのも恋人の役目のため、ちょいちょいとスバルを寄せ「いきなりどうしたんですか?」なんて言葉で探ってみることにした。

 呼び寄せられたスバルは立ち上がる前と同様にオットーの膝の上に座ると指をチクタク振り、自身が起こしたリズムに乗って体を揺らす。

「いや俺たち付き合ってるわけだけど、いちゃいちゃしてない気がして」
「いちゃいちゃ……
「いちゃいちゃ……って何度も言わせんな!」
「あんたが勝手に繰り返したんでしょ!」

 オットーの親指と人差し指がスバルの唇をぎゅむりとつまむ。それに抗議するようにスバルはオットーの胸元に後頭部を擦り付けた。唇から指を離してぺちり、と咎めるようにその額を叩いてやれば解放された口が再び言葉を紡ぐ。

「何すればいいと思う?」
「ええ……

 スバルの腕が器用にオットーの首に絡みつき、その頭を引き寄せる。オットーの細い灰色髪が重力に従って垂れ、スバルの頬に落ちた。

 ふわふわの髪と呆れを滲んだ吐息がスバルの頬をくすぐって撫ぜる。至近距離で見ても遠くで見つめてもこの男は変わらず美しい。まっさらな誰の手もつけられていない海を閉じ込めたような青と触れたら溶けてしまいそうなほどに細く光を通す薄墨色、毎日走り回っているというのに照れると桃色に色づくほどの肌の白。

 彼の全てを構成する色全てが淡いのにその存在感だけは失わせることがないままスバルの前にこの愛おしい男は存在している。

 ぼやけてしまうほどに近いのにその美しさがぶれてしまうことが許せない。よく見ようとして近すぎる距離をさらによせようとすれば鼻先にオットーの唇がちょんと当たった。

……こういうのとか、どうでしょうか」
「んー」

 お伺いを立ててくる男の頬にキスを送り返してやろうと思い唇を寄せたが慣れない体制で着地点が口の端になってしまう。

「む、失敗」
「どこにしようとしてたんですか」
「お前のほっぺた」

 ちゅ、ちゅとオットーの唇がスバルに降ってくる。

 しかも両頬に。

「あ! お前ばっかり!」
「ははは」

 スバルがオットーの膝の上でくるりと向きを変える。向き合う形になりオットーの頬を正面から挟むと二マリと笑う。

「これでマウントポジションをとった俺の優勢だな」
「はあ……

 にまにまと笑っているスバルが可愛かったので、オットーはえいとその細い腰と丸い後頭部を引き寄せて自分の腕の中に閉じ込めてやることにした。
 すん、と首筋に鼻を寄せると制汗剤か柔軟剤だろうか、シャボン玉の香りが鼻をくすぐる。

「動けないって! 卑怯だろ!」
「残念でした、昼休み終わるまでこうしててやりますよ!」

 いちゃいちゃしたかったのにこれではいつもの調子ではないか、スバルは自分の目的が達成されていないことに不満を覚えたが耳をくすぐる恋人の声があまりにも楽しそうだったため、今日はこの腕の中に甘んじて捕まってやろうと瞳を閉じた。