望月 鏡翠
2025-08-06 22:16:59
959文字
Public 日課
 

#1804 「ユニーク」「単語」「群民」

#毎日最低800文字のSSを書く


 時代は新たな魔女狩りの時代に突入した。以前は容貌や立ち居振る舞い、社会生活から孤立しているなどの特徴で魔女と断じられた。その中には言いがかりや、美しいものに対する嫉妬、醜いものに対する嫌悪、特定の民族を貶めようとする悪意などが含まれていたのだが、その辺りの歴史の話は今は別の話だ。
 現代の魔女は、その姿を表さない。
 実にユニークな方法で魔法を行使する。単語をつなげて呪文を折りなし、魔法陣を設置する。魔女狩りはそれを発動する前に見つけ、被害者を事前に防ぐのが仕事だった。
 しかし魔女たちは、インターネット上に魔法を設置するようになったのだ。現代の大抵たちは、高度なハッカーである。発信元を解らないようにして、一目につきやすいサイトや広告に魔法を仕込んでおくのだ。
 魔女狩りもインターネットの全てを監視するのは難しい。何より今までのノウハウが全く通用しない界隈に入り込んだので、対策を練り直し新人教育をするところから始めなければならなかったのだ。
 魔女は巧みに群民を惑わし、信者を増やしていった。一人でも味方を捕まえれば、そいつに次の魔法を仕込ませれば良い。
 魔法は魔女しか扱うことができない。しかし、発動に必要な下準備である呪文と画像を仕込むだけならば、誰でもできるのだ。なすすべがなかった。
 拡大する魔女の被害に危機感を覚えた魔女狩りは、ついに問題解決のために斬新な手段を打ち出した。
 魔女を仲間に加えたのである。
 運よく捕まえることができた魔女に、協力をするなら罪を減じることができると打診する。魔女の手口やよく使う手法、その対策を魔女本人に開発させるのだ。
 魔法の被害を防ぐことを目的とした場合のみ、魔法の行使を許可し身柄と生活の安全を保証する。
 ホワイトハッカーならぬ、ホワイトウィッチの登場である。そこから魔女と魔女狩りの関係は一変した。魔女狩りは魔女を狩るのではなく捕まえた魔女を管理する役割へと変化し、仮と戦いは魔女の役割となった。生活が保証されることがわかると、自らの意思でホワイトウィッチになりたいと申し出るものも増えていった。
 こうしたまだ罪を犯していない幼い魔女たちへの啓蒙と勧誘を目的として設立されたのが魔法少女部隊であり、娯楽としてもお茶の間を賑わせている。