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2025-08-03 14:20:10
3691文字
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本ロド
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きみの温かさを知る
クリスマスに開催された企画 #2022RDメリクリホーリーナイト に提出させて頂いた作品②。
お付き合いして5年目くらいの本ロド。
「ただいま
……
」
ロナルドが沈みきった声で帰宅を告げたのは12月25日午前0時20分だった。
「おかえりロナルドくん、お疲れ様」
「おー
……
」
ドラルクの声に返事をしながらメビヤツに帽子を預けると、ロナルドはそのまま扉に背を付けてずるずると座り込んだ。
「お店には連絡しておいたからね」
「ん
……
」
「君が予め万が一の事を考えてお店に伝えておいてくれたお陰で話が早かったよ、ありがとね」
「ん
……
」
本当であれば、今晩ロナルドとドラルクはレストランで食事をしている筈だった。
吸血鬼用の食事と人間用の食事を両方、それもドラルクのようにほとんど固形物を食べない吸血鬼でも食べられるくらいのサイズを用意しているそのレストランはかなり人気で、ロナルドは年が明けてからすぐに予約を入れていた。
予約は20時。
そんなに遠くはない店だが、この時期のドラルクの死ぬ頻度を考えて19時30分には事務所を出る予定だった。
着替えを済ませ、そわそわしながら事務所でメビヤツを磨いていたロナルドのスマホに着信が来たのが19時25分。
ちょうど出掛ける準備を終わらせたドラルクも事務所に来たところだった。
「
……
誰からだい?」
「
……
ショット」
恐らく応援要請だと思われるその電話に出てしまえば、確実にレストランは間に合わない。
いつもならすぐに電話に出るロナルドも、さすがに中々電話に出ることができなかった。
「
…………
」
電話に出るか出ないか迷っている内に一度着信が途切れる。
しかしまたすぐにかかってきた。
「出たまえよ」
「!でも、」
「もし電話に出ずにレストランに行ったとして、君は心から食事を楽しめると言えるかい?」
「そ、れは、」
「そわそわ何かを気にされながら一緒に食事をする私の身にもなってみろ。一緒にいるのに君が私以外の事を考えるなんて絶対に嫌だぞ」
「ドラ公
……
」
ドラルクの言葉にようやく気持ちの固まったロナルドは画面をタップして電話に出る。
「悪い、出るの遅くなった、
……
うん、うん、わかった、着替えたらすぐ行く」
終話ボタンを押すと、ロナルドはドラルクの所にいき抱きしめた。
「ごめん、行ってくる」
「いってらっしゃい。お店には私から連絡しておくから、君は何も気にせず行っておいで」
「ん、ありがとな、ドラ公」
「どういたしまして。怪我には気を付けて」
「ああ」
短いキスを交わすと、ロナルドは居住スペースに戻りすぐに退治人服に着替えて現場に向かった。
その背中を見送ったドラルクは店の番号を調べるとキャンセルのための電話を掛け始めた。
「お忙しいところ恐れ入ります、本日20時に予約しておりました木下ですが、」
キャンセルの電話を終えて居住スペースに戻ると、愛する使い魔が心配そうにドラルクを見つめていた。
「ヌヌヌヌヌヌ、ヌイヌーヌ?(ドラルク様、大丈夫?)」
「大丈夫だよ、ありがとうジョン」
ドラルクはジョンを抱き上げると、その小さな額にそっと口付ける。
「キャンセルの電話も済んだし、何か作ろうかジョン」
「ヌー!」
ジョンをカウンターに乗せると、ドラルクは冷蔵庫の扉を開く。
「明日揚げる予定だった唐揚げ用の肉を早めに漬けておいて正解だったな。さすが私」
調味液と一緒にフリーザーバッグに入れて漬けていた鶏肉を取り出すと、ドラルクはジョンに声をかける。
「ジョン、ある程度冷たいのが取れてからでいいから少し鶏肉を揉んでおいてくれないかい?」
「ヌー?」
「手で揉むのが難しければ踏んでもいい。ただし力加減には気を付ける事、いいかい?」
「ヌーイ!」
唐揚げ用の肉をジョンに任せ、ドラルクはサラダ作りに取り掛かった。
レタスにミニトマト、色味を足すのにカラーピーマンもスライスしてボウルに入れる。
サラダが入ったボウルを冷蔵庫に入れたら次はミネストローネに使う野菜たちの下拵えだ。
玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、キャベツを細かく切り、セロリは忘れずにミキサーに掛けて粉砕する。
ベーコンを切れば材料の準備はオーケー。
深めの鍋にオリーブオイルを熱し、順番に材料を炒めていく。
いい感じになったところで水と調味料、そしてトマトソースを入れて沸騰するまで使った調理器具を片付ける。
沸騰したら弱火にし、アクを取りながら野菜が柔らかくなるまで煮込む。
「そろそろいいかな?」
「ヌン!」
「ありがとうジョン、君の方ももう良さそうだね」
ミネストローネの火を止め、ジョンにお願いしていたフリーザーバッグを受け取ると再び冷蔵庫にしまう。
ちらりと時計を見ると、すでに21時を回っていた。
「間に合うかわからないけど、ケーキも作ってみるか
……
ジョン、手伝ってくれるかい?」
「ヌン!!」
元々ロナルドとドラルクが2人で出掛ける予定だったため、ケーキを作るのは明日の予定だった。
しかし出掛ける予定がなくなったため、ケーキ作りを前倒しすることにした。
スポンジを焼き、ジョンと生クリームを泡立て、スライスした果物やいちごをトッピングする。
仕上げに砂糖でできたサンタとトナカイを乗せればドラルクとジョン特製のクリスマスケーキの完成だ。
「この短時間でここまでの料理が作れてしまうなんてさすが私達だな!」
「ヌン!」
その後全ての後片付けを終えて時計を見ると、23時を過ぎていた。
ロナルドからの連絡はまだない。
「ロナルドくん遅いねぇジョン」
「ヌー
……
」
そう話しながら待つこと約1時間。
日付が変わって少ししたところで、ロナルドからようやく『終わった。これから帰る』と連絡が来た。
「ジョン、ロナルドくん帰ってくるって」
「ヌー!」
ドラルクはすぐに唐揚げの準備に取り掛かった。
風呂と迷ったが、ここまで遅くなったのならまずは食事だろう。
冷蔵庫からフリーザーバッグを取り出すと、適温になった油の中に次々と投入する。
フリーザーバッグの中身が半分程になった頃、ようやくロナルドが帰宅したのだった。
そして冒頭に至る。
「ご飯できてるよ。手洗いうがいをしたら着替えて食べよう」
「
…………
」
「ジョンも沢山手伝ってくれたよ。デザートにはケーキもあるぞ」
「
…………
」
ドラルクが話し掛けても沈みきったロナルドの気持ちは中々上がらず、俯いたまま動かなかった。
そんなロナルドを見て、ドラルクはそっとロナルドを抱きしめる。
「よしよし、よく頑張ったねロナルドくん」
「
…………
」
「怪我なく無事に帰ってきてくれて嬉しいよ」
「
…………
」
ドラルクの優しい言葉と頭を撫でる優しい手に、ロナルドの心がじんわりと温かくなっていく。
「レストランは残念だったけど、君が話をしておいてくれたお陰で来年のクリスマスに予約できたよ」
「!ほんとか
……
?」
予想外の言葉にロナルドが顔を上げ、驚いた顔でドラルクを見上げる。
「本当だよ。だから来年こそ、一緒に行こうじゃないか」
「
……
うん」
ロナルドはドラルクにぎゅっと抱き着く。
「さぁ!ご飯にするぞロナルドくん。早くしないとせっかくの唐揚げが冷めてしまう」
「!今日唐揚げなのか?」
「そうとも。頑張った君へのご褒美だよ」
「
……
すげー嬉しい」
にへ、とようやく笑顔を見せたロナルドの額にドラルクはそっと口付けると、そっと耳元に唇を寄せる。
「食べたら一緒にお風呂に入ろう」
「!?」
驚いてドラルクを見上げるロナルドに、ドラルクは小さな声で続ける。
「2人で過ごせなかったのがショックだったのは君だけじゃないんだからな」
「っ、ドラ公っ!」
頬を赤くしながらそう話すドラルクが愛おしくて、ロナルドはドラルクをぎゅっと抱きしめる。
「ごめん、俺、自分ばっかり辛かったと思って、お前だって楽しみにしてくれてたのに、」
「いいんだよ。迷っている君の背中を押したのは私なんだから」
「でも、」
「恋人として私を想ってくれる君ももちろん愛しているけれど、退治人として誇りを持っている君も、私は愛しているんだよ」
「ドラ公
……
」
「楽しみが来年に伸びたと思えばいいさ」
「
……
そうだな」
ドラルクの言葉に、ロナルドはホッとしたように笑みを浮かべる。
ロナルドにいつもの笑顔が戻ったところで、ドラルクは立ち上がる。
「さぁ!行こうロナルドくん、ジョンがお腹を空かせて待っているし、せっかくの唐揚げが冷めてしまう」
ドラルクはそう言いながらロナルドに手を差し伸べる。
ロナルドは差し伸べられた細すぎる恋人の手を取ると、立ち上がりそのままドラルクを抱きしめた。
「ありがとうドラ公、ただいま」
「ふふ、どういたしまして、おかえりロナルドくん」
2人はそっとキスを交わすと、ジョンの待つ居住スペースへ向かった。
その後、ジョンも手伝ったドラルク特製クリスマスディナーを存分に堪能したロナルドは、ドラルクと一緒にお風呂に入り、遮光カーテンの引かれた予備室で26日の昼過ぎまでゆっくりとドラルクと恋人としての甘い時間を過ごしたのだった。
ハッピーエンヌ♡
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