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2025-08-03 14:18:47
3767文字
Public 本ロド
 

いつまでも君と

クリスマスに開催されたロナドラクリスマス企画 #2022RDメリクリホーリーナイト に提出させて頂いた作品③です。
お付き合いして初めてのクリスマスを迎える本ロド。

吐く息が白くなる12月も中旬に差し掛かったある日。
ロナルドは事務所の机に座り、パソコンを見ながら悩んでいた。
「(やばい……ドラ公に渡すプレゼント全然思い付かねぇ……)」
ドラルクと付き合い始めて初めてのクリスマス。
何か特別な、心に残るものを贈りたい。
しかしいくらネットの海を彷徨ってもこれ!といった決め手になるものはなくロナルドは困り果てていた。
「(クリスマスまであと2週間……くそ……何がいいのか全然わからん……)」
頭を抱えながらも画面をスクロールしていると、ロナルドの目にある広告が飛び込んでくる。
「!これだ……!!」
広告に飛び付いたロナルドはすぐに行動を起こした。
当日のプランを練るのと並行してギルドのメンバーに頼み込んで24日と25日に休みを取り、ジョンにも24日の夕食以降のドラルクの時間を貰う許可を取った。

そして迎えた12月24日。
にっぴきでドラルク特製クリスマスディナーを食べ、片付けを終えたところでドラルクがジョンを抱き上げる。
「それじゃあ出掛けてくるね、ジョン」
「ヌン!」
先に事務所に出ていたロナルドは、ドラルクとジョンのやり取りを聞きながら落ち着かない気持ちでメビヤツを撫でていた。
「お待たせロナルドくん」
「お、おう」
「それじゃあ行こうか」
「!」
ドラルクはするりとロナルドの腕に自分の腕を絡ませるとそのまま歩き始めた。
クリスマスイブのせいか外はいつもより人が多く、特にカップルが目立っていた。
「相変わらず人が多いねぇシンヨコは」
「そ、そうだな」
「心なしかいつもよりカップルが多い気がするな……まぁ私達もそうだしね」
そう言いながらわざとらしく寄り添い上目遣いでロナルドを見上げるドラルク。
「オ"ッ」
「ンッフフw君ゴリラからオットセイにでもなったのかい?」
ドラルクはいちいち面白いロナルドの反応を楽しみながらロナルドと人混みを歩いていた。
「それで、今日はどこに連れて行ってくれるのかね?」
「あー、着けばわかる」
「ふーん?まぁ今回は君に任せると決めたからね、これ以上は聞かないであげよう」
そんな風に何気ない会話をしながら歩いていると、ロナルドは段々人の少ない路地の奥に入って行く。
すれ違うのが人ではなく猫の方が多い事に気付いたドラルクが道があっているのか少し不安になった頃、ロナルドの足が止まった。
「ここは……?」
薄暗い路地に、こじんまりとしたシアターが現れた。
「個人でやってるプライベートシアターみたいなとこだよ」
「へぇ、よくこんなところ見つけたな」
「たまたまネットで見つけた」
「ふうん」
ロナルドに促されて中に入ると、そこには10人程が座れる座席と小さくも何かを観るには十分な大きさのスクリーンがあった。
一番観やすい席に案内され、ドラルクは皺にならないようにマントを脱いで隣の座席に置いた。
「寒くないか?」
「大丈夫だよ。古いように見えたが案外空調はしっかりしてるんだな」
「ん、ならよかった」
ドラルクに室温の確認をするとロナルドも上着を脱いで隣の座席に置いた。
そして一度深呼吸をすると、ロナルドはドラルクの方に体を向けた。
「ドラルク」
「、何かね」
ロナルドの表情から真剣な空気を感じたドラルクは、いつものおちゃらけた雰囲気を封印し真面目な顔で返事をする。
「その、俺はお前みたいに料理ができる訳じゃないし、お前が喜ぶようなものもわからない。それでもお前に喜んでほしくて、考えて、調べて、ここを一晩借りることにした」
「一晩借りる……?」
「そうだ。今から夜明けまで、移動時間も考えて約7時間半、お前の観たいクソ映画の上映会をする。それが俺からお前へのクリスマスプレゼントだ」
「クソ映画上映会……??」
「お、おう、一応お前が好きでよくネットフィリップスとかで観てるやつのDVD買ったからその中から選べよ」
ロナルドはそう言ってカバンの中から10枚程のDVDを取り出す。
ドラルクはしばらくポカンとしてそのDVD達を見つめ、やがて盛大に吹き出し体が砂になるほど笑い出す。
「あっはっはっはっは!!!最っ高だよロナルドくん!!!」
「うぇ!?お、おお!?」
「ンッフフフフwwwwそうかそうか君は私に一緒にクソ映画を観る時間をプレゼントしてくれた訳だな!確かにクソ映画を映画館で観る機会なんて中々ないし一度大画面で観てみたかったから嬉しいよ!ありがとうロナルドくん!」
ドラルクは笑いながらロナルドに抱きつき、抱きつかれたロナルドは恋人からの突然のハグに驚き真っ赤になって固まっていた。
「よし!どれから観る?私のおすすめは、」

それからの7時間半は怒涛だった。
ドラルクが選んだクソ映画で時に笑い、時に驚き、時に虚無り、最後の映画を観終わる頃にはドラルクは笑い疲れて砂になりかけていた。
「いやー楽しかった!最高のプレゼントだったよロナルドくん!」
「おう……それならよかったぜ……
自分で提案したとはいえ怒涛のクソ映画上映会を終えたロナルドもまた、色んな意味で疲れ果てていた。
「んふふ、それじゃあ帰ろうか、私達の家に」
……おう」
マントを着たドラルクは笑顔でロナルドに手を伸ばす。
ロナルドは伸ばされた手を掴むと、恋人繋ぎにして上着のポケットに入れる。
「温かい手だねぇ」
……お前の手が冷たいからちょうどいいだろ」
「ふふ、そうだね」
人通りの少なくなった夜明け前の新横浜を、2つの影が寄り添って歩いていた。

それから30年程経ったある年のクリスマス。
今年はジョンが使い魔たちのクリスマス会に参加することになり、久しぶりにロナルドとドラルクは2人きりのクリスマスを過ごしていた。
昔に比べたら塩分や糖質が控えめになったヘルシーなクリスマスディナーを終え、ロナルドはワインを、ドラルクも珍しくブラッドワインを開け、静かで穏やかな時間を過ごしていた。
「ここ最近、クリスマスの呼び出しなくなったね」
「最近は若いやつらが頑張ってくれてるからな」
「ふふ、おじさんはもう引退かい?」
「ばーか、まだまだバリバリ現役だっつの」
「だろうね。君には最高に畏怖くて最高にキュートな私が付いているからな」
「おうおう、これからも頼りにしてるぜハニー」
そんな風に軽口を叩きながらも、アルコールの回った2人の雰囲気は段々甘くなっていく。
軽く触れるだけのキスが段々深くなり、ロナルドがドラルクを抱き寄せるのと同時にドラルクの腕がロナルドの首に絡む。
それを合図にロナルドがドラルクを抱き上げ、寝室になった予備室へと向かう。
ダブルベッドにドラルクをそっと下ろすも、ドラルクの腕がロナルドから離れることはなかった。
軽く笑ったロナルドが再度ドラルクに口付け、互いに服を脱がせていく。
「愛してるぜ、ドラルク」
「ん……私も愛してる、ロナルドくん」

数時間後、ドラルクは体に残る少しの倦怠感と慣れない肌触りに目を覚ました。
「ろなるどくん……?」
「悪ぃ、起こしたか?」
「ん……へいき……
ドラルクがゆっくり起き上がると、肩から何かが落ちた。
……?」
拾い上げると、それは大判のストールだった。
「ロナルドくん、これ、」
「ん、俺からのクリスマスプレゼント。今使ってるやつだいぶ古くなってきたろ?」
ドラルクの手からストールを取ると、ロナルドがその細い肩にそっとかける。
「温かい、それに肌触りがすごく気持ちいい」
「おう、カシミヤだからな」
「ふふ、ありがとうロナルドくん」
「どういたしまして」
嬉しそうにストールごと自分を抱きしめるドラルクが愛おしくて、ロナルドはドラルクの肩を抱き寄せるとそっと唇に口付ける。
「うふふ、それにしてもイイ男に育ったものだねぇ」
「おう、先生がよかったからな」
ドラルクはロナルドに寄り添いくすくす笑いながら話し始める。
「覚えてるかい?君が付き合い始めた最初の年にくれたプレゼント」
「当たり前だろ。すっげー悩んだからな」
「ふふ、楽しかったなぁ、7時間半ぶっ通しのクソ映画上映会」
「まぁなぁ……
楽しそうに思い出すドラルクとは対称的に、ロナルドは苦笑しながら当時を思い出す。
「またやる?」
「いやもう無理だろ……体力が持たん」
「えっちする体力はあるのに?」
「おま、それとこれとは別だろ!?」
「ンッフフww冗談だよ」
「相変わらずお前の冗談は冗談に聞こえねえ……
「うふふ、でも好きだろう?」
「おう、ベタ惚れだわ」
「おや熱烈だ」
笑い疲れたのか、ドラルクはロナルドに体を預けると小さく欠伸をする。
「もう少し休むか?ジョンが帰ってくるまでまだ時間あるぞ」
「ん……そうさせてもらうよ」
ドラルクの返事に、ロナルドはそっとドラルクの体を寝かせると自分も隣に寝転び布団と先程のストールを肩までかける。
「ありがと、」
「おう、俺ももうちょい寝るわ」
「ん……おやすみ、ロナルドくん、」
「おやすみドラルク、愛してるぜ」
「ふふ……わたしもあいしてるよ」
ロナルドはそっとドラルクの額に口付けるとその細い体を抱きしめ、2人はまどろみに身を任せた。