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2025-08-03 13:36:00
4281文字
Public 本ロド
 

ドラ誕2024

付き合って20年後のロドです
転化に関する話題が出てくるので苦手な方は閲覧をご遠慮下さい

「ドラルク……お前が好きだ」
ロナルドくんにそう告白されたのは出会った次の年の春。
その告白を私が受け入れ、初めての誕生日は少しすれ違いもあったけど結果的にはにっぴきで過ごすことができた。
あれから二十年。
今月末には私の誕生日がある。
さて、今年のロナルドくんは何をプレゼントしてくれるのかな?
お手並み拝見と行こうじゃないか。

**

ハロウィンが終わり、街中がクリスマスに向けて動き始めた十一月初旬。
月末にはドラルクの誕生日が待っている。
付き合い始めた頃はどうにかして喜んでもらおうと試行錯誤し毎年どたばたしていたロナルドだったが、数年前からは素直にドラルクに欲しいものを聞くようになっていた。
「ドラルク」
「ん?」
「お前今月誕生日だろ。今年のプレゼントは何がいい?」
「もうそんな時期か」
夕食も風呂も済ませ、あとは寝るだけといったリラックスタイム。
ロナルドはそうだなぁと考え込むドラルクの髪の毛を指で遊びながら答えを待っていた。
「そうだ!」
少し考えた後、ドラルクはそういってロナルドの方を向いた。
「お、何か思いついたか?」
「ああ、今年は君に任せよう」
「は?」
ドラルクの言った言葉の真意がわからず、ロナルドは首を傾げる。
「当ててみてよ、私の欲しいもの」
「当てる?」
「そう。私たちも今年で付き合って二十年くらいだろう?そろそろ私の欲しいものくらいわかってくれないと」
……なるほど」
説明されてドラルクの言葉の意味を理解したロナルドはそういって頷く。
「いいぜ、任せとけよ。俺がどんだけお前のことを好きで普段から見ているかわからせてやるよ」
大方クソゲーか高めの家電だと目星を付けたロナルドは軽い気持ちでドラルクからの挑戦を受け取った。
しかし。
「あ、先に言っておくがクソゲーとか家電とかじゃないからな」
「は!?先に言えや!!!!」
後出しの情報にキレるロナルドを見てドラルクは高らかに笑う。
「ヒョーホホホ!!!君を試すのに私がそんな簡単な問題出すわけないだろう!!」
「くそっ……!!」
「さて、この二十年でどれだけ私を理解したかなロナルドくん。ここはひとつ君がどれだけ私のことを理解しているか見せて頂こうじゃないか……誕生日、楽しみにしてるね♡」
ドラルクは当てが外れて少しの焦りの感じているロナルドに畏怖さを見せつけたあとに耳元で可愛らしく囁き、それは楽しそうに笑った。
こうしてロナルドのドラルクの誕生日プレゼントが探す日々が始まった。
毎日毎日ドラルクを観察し、時にはジョンに、時にはキンデメさんに、時には死のゲームやギルドの仲間に相談し、それでもわからずに詰まってしまい果てにはドラウスにまで相談しにわざわざ栃木の山奥まで手土産を持って出向いていた。
しかし中々これといった答えは見つからず、ドラルクの誕生日は刻一刻と近付いていた。
そうして迎えたドラルクの誕生日当日。
ドラルクたっての希望で誕生日当日の二十八日は事務所でにっぴきで過ごし、二十九日はギルドでパーティー、そして三十日に新横浜プリンスホテル最上階を貸し切って一族総出の誕生日パーティーといった予定になっていた。
(※ここからはマジロ語同時通訳でお送りします)
事務所ではロナルドとジョンによる飾り付けがされており、ダイニングテーブルには所狭しとドラルク特製の御馳走が並べられていた。
「おお……!今日もうまそうだなぁジョン!」
『ヌン!とってもおいしそうヌ!」
色とりどりの御馳走に目を輝かせるロナルドとジョン。
「おいしそうではなく、おいしいのだよ」
「わーってるよ!」
「ヌンヌン!」
「わかっているならよし」
料理が全て揃い、にっぴきの手にそれぞれお酒が入ったグラスが渡る。
「ドラルク、誕生日おめでとう!」
『おめでとうございますヌ!』
「ふふ、ありがとう、ふたりとも」
「「『乾杯!』」」
乾杯を合図にロナルドとジョンが目の前の御馳走を次々に平らげていく。
「うめー!!」
「ヌイシー!!」
「ほらほらもっとゆっくり食べたまえよ、誰も取ったりしないんだから」
ものすごい勢いでなくなっていく料理にドラルクが笑いながらふたりを窘める。
「うめーもんはしょうがないよなあジョン!」
「ヌンヌン!」
「全く、君たちは変わらないなぁ」
口の周りを食べかすだらけにしながらそういって尚も口いっぱいに料理を頬張るふたりを見てドラルクは楽しそうに笑う。
こうして料理は早々に平らげられ、デザートのバースデーケーキも食べ終えたためロナルドとジョンで後片付けをしていた。
「料理もケーキも全部うまかったなージョン」
「ヌー!」
そういっておいしかった料理とケーキの余韻に浸りながら後片付けをするふたりを、ドラルクはダイニングテーブルに座ってドラウスから届いたブラッドワインを飲みながら幸せそうに眺めていた。
後片付けが終わった後はいよいよプレゼントを渡す時間だ。
プレゼントはまずジョンから渡す事になっており、ジョンはお祝いの言葉と共に紫色でラッピングされたプレゼントをドラルクに差し出した。
『ドラルク様、改めてお誕生日おめでとうございますヌ!』
「ありがとうジョン」
『ヌンからのプレゼントはこれです!』
「ありがとう、今開けてもいいかい?」
『もちろんです!』
プレゼントの中身は、ドラルクがいつもスーツを仕立てている竜の一族御用達のテーラーでも取り扱っている最高級の白手袋と肌触りの良いブランケットだった。
ブランケットは軽い素材で作られており、ドラルクが長時間使用しても疲れて死なないような仕様になっていた。
「これはこれは!ありがとう、さすが私のジョンだな」
「ヌン!」
ジョンからのプレゼントに頬ずりし、嬉しそうなドラルク。
そんな主人を見て、ジョンもまた嬉しそうに笑っていた。
……さて」
ドラルクの言葉と共に、ドラルクとジョンの視線がロナルドに注がれる。
「ロナルドくんは、何を用意してくれたのかな?」
にっこりと笑ってロナルドを見つめるドラルク。
……俺からは、これだ」
言葉と共にテーブルの上に置かれたのは、婚姻届と書かれた書類といかにもというビロードの小箱だった。
それを見たドラルクが期待通り、いやそれ以上のプレゼントに満足げに頷こうとしたとき、ロナルドはもう一枚書類を取り出した。
「あと、これも、」
そういってテーブルの上に置かれたのは、転化届と書かれた書類だった。
「え……?」
ドラルクの気持ちとしては指輪か婚姻届のどちらかを用意すれば上出来だと思っており両方用意してきたロナルドに大層満足していたのだが、続いて出てきた予想外すぎる転化届の登場にフリーズした。
「今までちゃんと話し合った事はなかったけど、俺はお前と、ドラルクとジョンと、一生一緒にいたい。もちろんメビヤツやキンデメや死のゲーム達とも」
告白された時と同じように真っ直ぐな瞳で、真っ直ぐな言葉で、ロナルドはドラルクに気持ちを伝えた。
……本当にいいの?」
君を吸血鬼にしていいの、とこれまで様々なことを考えてきたドラルクは複雑な表情でロナルドに問いかける。
「吸血鬼になるということは、半永久的に生きるという事だ。家族、友人、街の人たちみんなを見送る事になるんだぞ?君にはその覚悟があるのか!?」
……正直まだ何とも言えない。俺はまだ四十年かそこらしか生きてないし、親しい人を見送ったこともない」
「っ、ならなんで、!!」
自分の問いに対してのロナルドの答えに、ドラルクは混乱し声を荒げようとする。
しかしロナルドはそんなドラルクを尚も真っ直ぐに見つめる。
「でも、何があっても俺にはお前とジョンがいてくれるだろ?」
「!!」
「家族を見送るときも、友人を見送るときも、街の人たちや他の親しい人たちを見送るときも、お前とジョンとメビヤツたちがいてくれる。一人じゃない。それなら大丈夫だと思ったんだ」
そういってロナルドは穏やかに微笑んだ。
「ロナルドくん……
ドラルクは少し悩んだ末にはぁ、と溜息をつきながら肩の力を抜いて椅子の背に凭れ掛かった。
ロナルドはそんなドラルクを見て指輪の入った小箱を手に取るとドラルクの傍らに跪く。
「愛してる、ドラルク。俺と転化を前提に結婚してください」
指輪の小箱を開いて真っ直ぐドラルクを見てプロポーズをするロナルドに、ドラルクはいつの間にこんないい男になったんだか……という嬉しさ半分と初心すぎて面白かった頃を思い出して寂しさ半分の気持ちになった。
しかし返事はもちろんイエス以外はあり得ない。
「喜んで!!」
「うぉっ!」
笑顔で抱き着くドラルクをロナルドはしっかり受け止める。
「私も愛してるよロナルドくん!」
「!おう!」
お互いに愛を伝え合い幸せそうに笑い合う二人。
『ドラルク様、ロナルドくん、おめでとー!!』
「ジョン!ふふ、ありがとう」
「ジョンもこれからもよろしくな」
「ヌン!」
そこにジョンが混ざり、その晩にっぴきはいつまでも幸せそうに笑い合っていた。
ハッピーエンヌ♡



おまけ
「ところでいつ転化するんだ?まさか今すぐじゃないだろう?」
「おう、とりあえず現役引退してからだな。予防接種の事もあるし」
「なるほど。そうなるとあと十年か二十年後くらいか……
「だなぁ」
「もし引退する前にめちゃ強吸血鬼が現れてやばいことになったら?」
「そういう緊急事態の時はその場で噛んでくれ」
「ふむ、それはいいがきちんと書面で残しておいた方がいいな。あと君が持ち歩けるように意志表示カードみたいなものもあった方がいいだろう」
「あー臓器提供の奴みたいな?」
「まぁそんな感じだな。そこはお母様に手伝って頂こう」
「そうだな。でもその前に挨拶行かなきゃだよなぁ」
「ふふ、頼んだぞダーリン♡」
「おう!任せとけよハニー♡」

数カ月後、忙しいミラと何とか予定を合わせて栃木のドラウス邸を訪れた二人。
予想通りドラウスの「貴様のような奴にドラルクは渡さん!!」からの茶番(ドラウス本人は真剣)が始まったが、ロナルドがドラウスと一戦交えている間にドラルクとミラが書類を完成させたためロナルドとドラルクは二人にお礼を言って仲良くいちゃつきながら帰っていった。
ちなみに対ドラウス戦はいつもの『嘘は言ってないけど』的なアレでイイ感じにロナ戦に書かれ、大人気エピソードになった。
おしまい