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三毛田
2025-08-02 22:44:47
1073文字
Public
1000字4
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72 072. 親愛のキスなんて
72日目
求められるとは思わなかった
「穹! この間ウチが教えたこと、丹恒にしてみた?」
瞳を爛々と輝かせ、三月は穹へ言葉を投げる。
「失敗した!」
「う?ん。さすが丹恒先生。ガードが固い!」
「二人だけでわかる会話で盛り上がっているところ悪いが、穹の手番だ」
「そう言われても、丹恒が勝つのが丸わかりだろ?」
ボードゲームの盤面を見て、彼は苦虫を噛み潰したような表情に。
「それでも、最後まで足掻いてみるのがお前だと思っていたんだがな」
「そこまで言うなら、やってやる」
闘争心に火が付いたのか、座り直して盤面を進める。
単純であるが、こういうところは可愛らしいと感じる。のは、どうしてだろうか。
「うが~! 負けた
……
」
「でも、結構いいところまでいってたんじゃない?」
俺たちの盤面をすっと見ていた三月は、そう言って穹を慰める。
「うう
……
丹恒キスしてぇ」
「何でだ」
訳が分からない。勝負に負けたのは彼なのに、何故俺がそんな罰ゲームのようなことを。
思わず険しい表情を浮かべてしまう。
「うわぁん」
「穹、それは」
「苦い!」
「俺のカフェオレだ」
一歩遅かった。俺が止めるより先に、穹は俺のカフェオレを口につけて泣きそうな表情に。
勝負に負けてへこんだところに、これ。
確か、どこかの星の言葉で『泣きっ面に蜂』というものがあった。今の彼の状況を示す言葉として最適。だが、それは口に出さない。
さらに面倒なことになるだろう。
「それで?」
「頬にキスしてください」
「それでいいのか」
情けをかけるために声をかけてみたら、そんなことを口にし。
俯いていたので、顎を持ち上げてからそっと頬に唇をつける。
「ひゃあぁあっ」
自分からねだったのに、悲鳴を上げて真っ赤になって床に転がった。
「よかったね、穹」
この状況を作り出した原因の三月は、ニコニコしながら穹の頭をそっと撫でて。
「じゃ、ウチはこれで」
逃げるようにパーティ車両を去っていく。
「あ、あの丹恒先生」
「なんだ」
「お、俺もしていいですか?」
「なにを」
「頬に、キスをです」
「
……
好きにしろ」
諦めたように告げれば、目を輝かせ。勢いよく抱き着いた後、頬にキスしてきた。
「丹恒先生、俺のコートを」
「罰ゲームを決めたのはお前だろう?」
「これ、丹恒のサイズに合わせてあるから、腰回りキツイんだけど」
「自業自得だ」
バニーガールスーツに身を包んだ穹は、涙目で股間を隠そうとしている。
今日も今日とて、ボードゲームで負けた彼は自分で仕掛けた罰ゲームに引っかかっていた。
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