限界馬鹿夢女
2025-08-02 19:15:28
3284文字
Public
 

ヤツユリ回 序章

タイトル通りです
取り急ぎ🫨
この後の話からうちよそガッツリですよろしくお願いします。

🍑ちゃんをお迎えする日はもう決まってます。



 ⚠️読みにくい







 おなか……すいちゃった……

 みんな、どこ……

 “もも”、ここだよ……

 さみしい、くるしい

 こわい

 たすけて


 “きちきぎす”


 “ましましら”




 “いいねいぬ”



 もも、ここだよ……



 ひとりぼっちは、こわいのは、




 もうやだ……






 ▫︎






「あっつ〜……

 俺はユリ。
 そしてここはキタカミの里。

 んで、俺の隣にいるこいつは……

「ひっさびさの地元だわ〜」 
「Night、お前、八尺さまっぽいな」
「お?殺るか?クソチビ」

 キタカミ出身のNight。



 先日、俺の番である“ヤツフサ”が『クソガキさまのために桃とりんごを使ったスイーツが作りたい』と言っていたので、『サプライズで最高級の桃とりんごを買ってこよう!』と俺は閃いた。

 キタカミの里の奥地には、どうやら『みついりりんご』という最高級のりんごが無人販売されているらしい。

 で、俺は最高級のりんごを求めてキタカミの里にやってきた。

 と、いう訳で。

「いくらその道中までの道のりを俺が知ってる&俺がランクマ対戦で活躍してるからってよ、自分の恋人とのイチャラブのためにこの俺をこき使うなよなクソチビ」 
「うっせーよでかいきんのたま、でかいきんのたま持ちという特大デバフ持ちなのにランクマで活躍してるお前にしか頼めねえんだわボケ」 
「おま……っ、褒めるなよな……😉」 
「チョロいよな本当に」 

 こいつのこういうところは可愛いと思うんだ。
 なんでモテないんだろう、こいつ。
 サナ族の好みってわけわかんねーな。

「で、その桐箱はなんだよ、チビ」

 俺が手に持っていた小さな箱にNightは気がついたらしく、大きな手で軽くトントンと箱を叩く。

「あぁ、これか……へへ、見るか?」

 この小さな箱の中身は、おそらくヤツフサがとても喜ぶものだ。



「見てくれよ、『まぼろしモモンの実』」



 時は遡り俺がパルデアに引っ越すより少し前のこと、俺の父の元に果樹園通販のハガキが届いた。
 そのはがきには『数年にひとつだけ実るまぼろしモモンの実、予約販売』と書かれていた。
 俺の父は研究職で、仕事の関係で滅多に家に帰れないからと家に帰ってくる時はその果樹園から取り寄せた美味しいフルーツをたくさん抱えて帰ってきていた。
 俺と妹のスズランは特にその果樹園のモモンの実が大好物で、俺の父はその果樹園からモモンの実をたくさん取り寄せてくれていた。

 そして、俺がパルデアに引っ越す少し前にこのはがきが届き、俺への餞別として父がまぼろしモモンの実を予約してくれていた。

「そしてついにそれが俺の元に届いたってわけ」
「はー、つまり父親がモモンの実を大量に買ってたからまぼろしモモンを買う権利を貰っていて、それを無事に購入することができて届いたから、それを今回自分の番に調理してもらおうとしてるってことか」
「そういうこと」


 ヤツフサ、きっと驚くだろうな。
 絶対喜んでくれるはず。

 そして、家族みんなでヤツフサの作ったスイーツを食べるんだ。


……へへ」

 自然と笑みが溢れる。


 その瞬間、

「もも……

 ふと、小さな子の啜り泣く声が、聞こえた。


……!Night、今ちいさな子の泣き声聞こえなかったか?!」
「え?いや俺には聞こえてないけど……物音に敏感な俺に聞こえないってことは気のせいだr」
……!こっちだ!」
「は?!おいチビ!」



 ▫︎





 その声がしたのは、桃沢商店の裏手からだった。

「ここだ……!」

 そっと、声の主を驚かせないように慎重に足を踏み入れる。
 そこには



「ぐず、くすん、ふぇ……


 紫色の着物を着て、大きなポニーテールをした、小さな小さな“幼い子”がいた。



 幼い子を驚かせないように、その子にゆっくり近づいてなるべく小さな声で話しかける。

「なぁ……?どうしたんだ……?大丈夫か……?」
「!?」

 幼い子は俺と俺の後ろにいるNightを見るとビクっと身体を硬直させた。
 俺は後ろに控えていたNightに目配せをし、その場から離れてもらった。
 成人男性がいると更に怯えてしまうかもしれないから。

「あぁ、驚かせてごめん。だいじょうぶ怯えなくていいよ。どうしたんだ?迷子か?怪我してない?」
「ぁ……

 幼い子は大粒の涙を目に浮かべ、言葉に詰まっている様子を見せた。
 見た感じ、4歳、いや、3歳くらいだろうか。
 10歳の俺でも抱き上げられそうな、とても小さな子だ。

 幼い子は「えっと、えっと……」と必死に言葉を出そうとしている。
 すると、その子のお腹が「きゅう」となった。

「もしかして、おなか空いてるのか?」

 俺がそう問いかけると、幼い子はおずおずと小さくこくりと頷いた。

「まっててな、何かあったかな……

 俺は自分のカバンの中を漁って、小さな子でも食べられるようなものが無いか探してみる。
 すると

……“もも”?」

 小さな子はそう言うと、おずおずと俺の持っていた桐箱を指差した。

「あ……

 この桐箱の中身は、まぼろしモモンの実。

 ヤツフサに、プレゼントしたい、大切なもの。

 これだけは、パルデアに持ち帰って家族みんなで食べたかったもの。

 今この子にあげてしまったら、ヤツフサは悲しむかもしれないし俺も後悔するかもしれない。

 でも

「もも……

 今、おなかを空かせているこの子にモモンの実をあげない方が、俺はきっと、この先ずっと後悔してしまうと思った。

 だから



「これ、まぼろしモモンの実っていうんだけど、たべるか?」
……!ももわーいっっっ!」

 花を咲かせたような笑顔を見せてくれて、それを見た俺はとても幸せな気持ちになった。

 モモンの実の代わりに、ヤツフサにはたくさんのみついりりんごを持って行こう。




「おいしいねぇ」

 小さな子は俺の隣に座り、柔らかい笑顔を俺に向けながらその小さな口で口いっぱいにモモンの実を頬張っている。
 俺は「ゆっくりでいいからな」と声をかけながら優しく頭を撫でてやる。
 
 ……こんな小さな子がこんなところで1人なのは、きっと迷子なのだろう。
 この子がヒトの子かポケモンの子かはわからないけど……みついりりんごは後回しで、この子の保護者を探してやらないと。

 小さな子の頭を優しく撫でながらそんなことを考えていると、小さな子は手に持っていたモモンの実を一部割って、俺に差し出してきた。

「はんぶんこ、しよー」
「え?お前が全部食べていいんだぞ?」

 俺がそう言うと、小さな子は照れくさそうに俺にもう一度モモンの実のかけらを差し出してきた。

「ももんのみ、ありぁとう〜!だからね、“もも”、はんぶんこ、したいの〜」
「あ……

 ……
 俺はヤツフサの番で、俺とヤツフサはどっちも男だから、子供は持てないけど。
 きっと、ヤツフサとの間に子供がいたら、きっと、こんな感じの、優しい子なんだろうな。

 と、ふと、そんなことを思った。


……ありがとう、じゃあ、もらおうかな」
「えへへ〜」

 その子からモモンの実をもらおうとした、次の瞬間。



 ロトロトロトロトッッッッ!!!!


 スマホロトムがけたたましく通知音を鳴らした。


「ッッッッッ!?なんだよこんな時に!!誰だっての!!びっくりした🫨🫨🫨……あぁ、びっくりしたな、ごめんn……

 俺は一瞬スマホロトムに目線を移し、その後すぐに隣にいた小さな子に声をかけようとした。



 が



……え?」



 そこにはもう、誰もいなかった。





 ヤツユリ回 



 つづく