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haruka037
2025-08-02 12:15:37
4953文字
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イカルガさんがイケメンすぎて困る
スバイカ。
イケメンなイカルガに翻弄されるスバルの話。
⚠️イ/カ/ス/バに見えますが、ちゃんとスバイカです。逆カプが無理って人は見ない方が良いかも。
イカルガさんと初めての夜を過ごした翌朝。
目を覚ますと隣にイカルガさんがいた。
「目が覚めましたか。おはようございます、スバル」
優しい顔でイカルガさんがオレの頭を撫でる。
「昨夜は大いに盛り上がったので疲れたでしょう。身体は辛くはありませんか?無理せずゆっくり休んでくださいね」
「あ、ありがとうございます
……
?」
思わず疑問形になってしまう。
『あれ?昨日オレ、イカルガさんを抱いたよな?この言い方だとまるでオレがイカルガさんに抱かれたみたいな感じに聞こえるけど、あれ?違ったっけ?』
脳内は大混乱である。
思い出すのは昨日のイカルガさんの乱れっぷりだ。
確かに昨日オレはイカルガさんを抱いた。
オレに縋って可愛い声を上げた彼との甘い夜を思い出して、間違いないと頷く。
「疲れたでしょう。私が朝食を作って来ますよ」
そう言って布団から抜け出したイカルガさんを追いかける。
「イカルガさん」
声をかけてそっと背後からイカルガさんを抱き締めた。
「スバル。くっ付いていられると朝食が作れませんよ」
振り返って苦笑するイカルガさん。
あれ?おかしいな。
いつものイカルガさんだったら、ここで赤面して可愛い反応を見せてくれるのに、今日様子が違う。
「すぐに作るので、良い子で待っていてください」
サラリと頭を撫でて、イカルガさんが優しくオレの腕を解いた。
「イカルガさんってそんなキャラでしたっけ
……
?」
戸惑いの声は、イカルガさんには届かない。
抱き締められただけで頬を染めて恥じらっていたイカルガさんは、一体どこに行ってしまったのだろうか?
戸惑いつつも大人しく料理が出来るのを待っていると、やがて朝食が完成した。
イカルガさんは手際が良い。
流石食べる事が好きなだけあって、食事を作る事に慣れている。
オレの隣に腰を下ろしたイカルガさんが「いただきます」と手を合わせるのを見て、慌ててオレも手を合わせた。
イカルガさんは綺麗な所作で食事を食べる。
今は亡き師匠に教わった事なのだろうか?
「イカルガさんって食事もそうですけど、所作が本当に綺麗ですよね。つい見とれてしまいます」
そう言えばフッとイカルガさんは笑った。
「あなたに褒めて貰えて嬉しいですよ。礼儀作法は幼い頃、師匠に叩き込まれましたからね」
「そうなんですね。オレもイカルガさんみたいに綺麗な動作を身に付けたいです」
そんな事を言いながら食事をしていると、イカルガさんがくすりと笑ってちょんちょんと自分の頬を指さして来る。
「スバル。頬っぺたにご飯粒が付いていますよ」
「えっ?ホントですか?どこだろう」
頬っぺたについているご飯粒を探してペタペタと顔を触るが分からない。
苦戦しているオレにイカルガさんが苦笑して顔を寄せた。
「ここですよ」
スッと伸ばされた手がオレの頬に触れる。
イカルガさんは取ったご飯粒を自分の口の中に入れてしまう。
「スバルはそそっかしいですね」
そう言って優しく目を細められてドキドキして顔が赤くなる。
「顔、赤くなってますよ。可愛い」
そう言ったかと思えば、顎を捉えられてキスされる。
「っ...!?」
不意打ちのキスに驚いて、ますます顔に熱が集まった。
「スバル。顔が真っ赤ですよ」
愛おしそうに微笑まれて、心臓がバクバク音を立てる。
イカルガさんは本当にどうしてしまったのだろう?
もしや時空が歪んで別世界のイカルガさんと入れ替わってしまったんじゃないだろうか。
そう思う程に、目の前の彼はいつもと違う。
「本当にイカルガさんですよね
……
?」
もしかしたらタヌキか何かに化かされているのかも
……
。
そんな事を思いながらイカルガさんに訊ねると、彼は可笑しそうに笑った。
「私でなければ誰だと言うんです。昨夜あれだけ熱い夜を過ごしておきながら、酷い人ですね」
そう言ってイカルガさんは寝巻きの胸元を寛げて自分の胸を愛おしそうに撫でた。
「ここに、あなたが沢山、痕を残してくれたんじゃないですか
……
」
イカルガさんの胸にも首筋にも、確かに沢山の鬱血痕がある。
それは昨日の夜、オレが付けたものだ。
という事は目の前にいるイカルガさんは本人だと言う事になる。
だとすると益々訳が分からない。
付き合ってから、これまでずっとオレが有意に立って来た。
だから初めて身体を重ねた時も、オレの方が男役だった訳だ。
それなのに、今日のイカルガさんは余裕たっぷりでオレの方が翻弄されている。
悔しい。
何とか有意に立ちたい。
せめて皿洗いくらいして、オレが役に立つ男だと証明したい。
「イカルガさん。後片付けはオレがしますから
……
」
イカルガさんが食事を終えたのを見て慌てて立ち上がって近寄ったのが不味かった。
椅子に足をひっかけてしまい、バランスを崩してしまう。
「おっと、大丈夫ですか?」
イカルガさんに支えられて転ばずに済んだ。
思ったよりもガッシリとした身体付きなのが、服の上からでも分かる。
イカルガさんは付き合い始めた頃に、オレの為に鍛えていると言ってくれいた。
今も鍛えている彼の身体は引き締まっている。
彼の胸に飛び込むような形になってしまったけれど、危なげなく受け止められた。
包容力のある彼の身体に包まれていると酷く安心する
……
。
優しく頭を撫でられて、思わずイカルガさんの背中に腕を回しそうになってはたと気付いた。
あれ?これ逆じゃない?
つまづいたイカルガさんをオレが格好良く支えて「大丈夫ですか?」って訊く所だよね?ねぇ、そうだよね!?
誰にともなく問いかけてイカルガさんを見つめると、彼はオレを見てフッと笑った。
「スバルは本当に危なっかしいですね。転んで怪我でもしないように気をつけるんですよ」
イケメンだ。
ここにイケメンがいる!
「返事は?」
「ふぁい
……
」
イカルガさんにドキドキしすぎて変な声が出た。
そんなオレに優しく微笑んで、イカルガさんが啄むだけのキスをする。
「スバルは本当に可愛いですね」
可愛いのはイカルガさんでしょ!!
どうしちゃったの!?
攻守交代ですか!?
叫び出したくなる気持ちを抑えてイカルガさんの顎を捉えた。
「可愛いのはイカルガさんでしょう?」
そう言って顔を近付けると、スルリとイカルガさんが身を躱す。
「皿洗いがまだ残っていましたね。片付けて来ます」
「イカルガさぁん
……
」
思わず情けない声を上げてしまったオレは悪くない。
今日のイカルガさんはどうあってもオレを優位に立たせたくないらしい。
それならこっちも勝つまでやるだけだ。
「やってやろうじゃないか
……
」
一人闘志を燃やすのだった。
「全然駄目だー
……
」
龍神社の囲炉裏の前にある机に突っ伏して一人静かに涙を流した。
今日は畑仕事を放ってイカルガさんにベッタリくっ付いていたのだけれど、あの人は何をしても余裕たっぷりだった。
村人がいる所で、そっとイカルガさんにハグをする。
人前で触れられるのは顔を真っ赤にして嫌がるイカルガさんの事だ。
きっと今も顔を赤くしているだろうと思ってその顔を覗き込むと、イカルガさんは柔らかく微笑んでいた。
「どうしたんですか?スバルは甘えん坊ですね」
そう言って頭を撫でられる。
「えっ?それだけ?」
それにはさすがに拍子抜けした。
一緒に里の見回りをしているうちにお昼になった。
いろは茶屋で昼食をとる事にする。
イカルガさんはいつものメニューを頼んだけれど、オレは新作のお団子を頼んだ。
「んっ、イカルガさん。これ美味しいですよ。食べてみてください」
そう言って食べかけのお団子を差し出す。
所謂あーんだ。
いつもの彼なら恥じらって決して食べようとはしないそれを、イカルガさんは簡単に口にした。
「本当だ。美味しいですね。折角ですから同じものを頼みましょう」
そう言ってイカルガさんはいろはさんに注文していた。
その様子をオレは唖然と見つめる事しか出来なかった。
オレは追い詰められていた。
もう、イカルガさんを照れさせるにはこの方法しかない。
だが、これは諸刃の剣だ。
正直に言ってオレもやりたくはない。
何故なら恥ずかしくて堪らないからだ。
人目がある所でキスをする。
これならイカルガさんも赤面間違いなしだ。
お団子を美味しそうに頬張るイカルガさんに声をかける。
「イカルガさん」
「はい。なんです、ふっ
……
、ん
……
」
触れるだけのキスをすれば、イカルガさんの目が大きく見開かれる。
けれどもイカルガさんが照れる事はなかった。
ちろりと唇を舐められる。
驚いて顔を離すと「夜伽のお誘いですか?今夜が楽しみですね」なんて妖艶に笑んで見せた。
もうこれ以上何をしたら良いのか分からない。
シクシクと泣いていると、声をかけられた。
「スバル。どうかしたんですか?」
「イカルガさん
……
」
泣き顔をイカルガさんに見せると、彼は驚いた顔をして、次いで苦笑した。
「おいで、スバル」
両手を広げたイカルガさんにぎゅうっと抱き着く。
「どうして泣いていたんです?」
優しく頭を撫でてくれるイカルガさんを強く抱き締めて涙声で言葉を紡いだ。
「イカルガさんが悪いんですよ。朝から様子がおかしいから何とか恥ずかしがらせてやろうと思って色々試したのに、何をしても効果がないんですから。どうしてそんな風になっちゃったんですか。いつもの可愛いイカルガさんに戻ってくださいよぉ」
「おや、今日の私は嫌いでしたか?」
「嫌いじゃないですけど、イケメン過ぎて貞操の危機を感じます」
そう言えばイカルガさんは吹き出した。
「ははっ。そんな事を気にしていたんですか」
「笑い事じゃないですよ。オレにとっては一大事なんですからね!」
「そうですね。すいません。実は昨夜、行為の最中にあなたに何度も可愛いと言われるものだから、逆に格好良く振る舞ったらあなたはどうするのかと気になってやってみただけなんですよ」
やりすぎましたね。すいません。
そう言ってイカルガさんはオレの頭を優しく撫でた。
「許しません」
そう返せばイカルガさんは困った顔をする。
「困りましたね。どうしたら許してくれますか?」
「いつものイカルガさんに戻ってくれたら許します」
そう言えばイカルガさんは微笑んでオレに口付けた。
「これで許してくれますか?」
イカルガさんの頬は、うっすらと赤く染まっている。
ああ、いつものイカルガさんだ。
安堵して身体から力が抜ける。
「本当にもう。ヒヤヒヤしましたよ。あ、そう言えば畑仕事がまだ終わってないので手伝ってくださいね」
「ええ、良いですよ。行きましょう」
イカルガさんがオレの手を握る。
「今日はあなたと一緒にいられて嬉しかったです。またあなたに構って欲しい時は今日みたいにクールに振舞ってみましょうか」
「やめてください。オレの心臓に悪いです」
「そんなに不愉快だったんですか?」
「いえ、イカルガさんがカッコイイとドキドキして落ち着かなくなるので困ります」
イカルガさんはクスリと笑ってオレの頬を撫でる。
「ねぇ、スバル。今日は私が攻めてみますか?」
「いえ!それは全力で拒否させて頂きます!」
そう答えれば彼は楽しそうに笑ったのだった。
一緒に二人で畑仕事をして、暗くなった頃に龍神社に帰って来た。
それぞれに湯浴みを終えて布団の上に座る。
「イカルガさん
……
」
ぎゅうっとイカルガさんを抱き締めると、彼はふふっと笑った。
「今日一日耐えていましたが、あなたに触れられると、どうしても照れてしまいますね
……
」
イカルガさんは頬を赤らめてオレを見る。
期待するような眼差しを受けて、思わず喉を鳴らした。
「イカルガさん
……
」
「スバル
……
」
唇が重なる。
甘く激しい夜は、ゆっくりと更けて行くのだった。
終わり
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