たくとろ
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ワンライ「教室」

フライング作成
1h45min

もしもあの日…

さん……さん!」

誰かに呼ばれている。起きないとでも、眠い

コ!なきゃ!!おこよ!!……コ!」

名前呼ばれてるそうだ起きないと

「リコ!!」
「んんアン?あれここどこ?」
「寝ぼけてるの?教室だよ」
「きょうしつきょうしつ教室!?」

そう、彼女は今セキエイ学園の教室にいる。しかし彼女はその状況を飲み込めない。周りはみんなクラスメイトで、先生が修羅の顔でリコを見ている。彼女はセキエイ学園の中でもかなり厳しい教師だ。
授業後、先生にこっぴどく叱られたリコは席に戻るとため息をついた。

「それにしても居眠りなんて珍しいね」
「うんでもなんかおかしくてねえアン、私昨日まで冒険してたはずなんだけど
「何言ってるの?リコはもう一年以上学校にいるでしょ?」
「え?うそだってロイが来てそれで
「ロイ?懐かしいねー。テラスタル研修以来会ってないけど今頃なにしてるのかなあ」
「え?」

アンと話して分かったこと。まず、ロイは学校に来ていない。二人がバトルしていたことを話しても、全く覚えがないと言われてしまった。日付はちゃんと記憶にある昨日の続きで、状況だけ見ればおかしいのは完全にリコの方だった。夢でも見てたんじゃないと言われ、リコは自分の心に自信を失くした。ライジングボルテッカーズのアプリは動いていない。マスカーニャたちにロイが来てからの話をしても、なんのことか分からない様子で、パゴゴはボールから出てこない。カルボウも手持ちにいない。まるで、一人だけ違う世界に来てしまったかのようだ。リコは俯いたまま屋上に向かった。あの日みたいな風が吹く。

「ロイ

顔を上げたら、あの声が聞こえる気がする。そう思って空を見回すも、そこにロイはいない。迎えに来てくれる元気な笑顔はここにはない。
予鈴が鳴ってリコは教室に戻った。次の授業はバトル学だ。前半は講義、後半は実習を行うらしい。しかし、そこで目にしたのは信じられない光景だった。

「えー、これがエクシード社から今度正式に発売されるストロングスフィアだ。今回は特別に、本校にサンプルを使わしてもらえることになった」
「ストロングスフィア

ラクリウムを使ってポケモンの力を引き出す装置。でもその代償にポケモンを苦しめる。冒険の先で止めないといけないもの。もしみんながこれを使ったら

「楽しみだね〜テラスタルとどっちがいいのかな」
「アンあれは、絶対使っちゃダメ」
「え、どうして?」
「ストロングスフィアなんか使ってもほんとうに強くなんかなれない」

しかし、実習で使われたストロングスフィアはリコの知るそれとはかなり違っていた。ピンクのもやがかかっても、ポケモンはトレーナーの指示を正確に聞く。バトルの後に苦しんでいる様子もない。これじゃ、なんの問題もない。
バトル学が終わって今日の授業は全て終了した。各々寮に戻る中、リコは一人教室に戻っていた。

「私とロイが選んだ道は間違ってたの?そもそも、そんな道私たちは進んでなかったの?」

窓の外から差し込む光は平和そのものだ。もしかしたら何もしなければ世界は平和で、全部必要のないことなのかもしれない。思考を侵されていく中で、リコは一つのことが思い浮かんだ。

「そうだライジングボルテッカーズ

リコはスマホで検索をかける。もしもライジングボルテッカーズの悪名も晴れているなら、それでそう彼女が思ったのも束の間、検索結果として出てきたのは数々の悪事だけだった。

まだ終わってない取り戻さなきゃそうだ、こんな世界おかしい私は絶対、ロイと一緒に決めた。ラクリウムを消してルシアスとの約束を果たす。ライジングボルテッカーズの真実を取り戻す。絶対、この道は間違ってない!!」
「だよね、リコ」

声がした方を向く。教室の入り口にいるのは、ずっと会いたかった人。リコは立ち上がり、彼の元へ走る。

「ロイ!ロイ!」

リコは彼の胸に飛び込んだ。確かに感じる体温がリコの胸の奥底まで伝わる。

「どこにいたの!私ずっと不安で!ロイがいなくてみんないなくて私たちが見てきたものと違ってて
「うんもう大丈夫、大丈夫だよリコ。さあ起きて、リコ」

リコの顔が上がると、ロイの顔がぼやけ歪んでいく。視界が真っ白に染まっていく。

……コ!コ!リコ!!」
「んん

瞼を開いたリコの目にぼんやりと紅い瞳が映る。徐々に視界がハッキリとしていき、紅い瞳が鮮明に見えた。

「リコ、おはよう。やっと起きたね」
「ロイここは?」
「船の中だよ。リコの部屋。あ、ごめん中々起きてこないから入っちゃった。でも机に突っ伏して寝るのはよくないよ。風邪ひいちゃう」

あたたかな、元気な笑顔。ああ、ほんとうにロイがいる。辺りを見回すと、ベッドではまだマスカーニャが寝ている。下を向くと、テブリムとパゴゴの上に乗ったカルボウがいた。

「ロイ私たち、今冒険してるんだよね」
「そうだよ。どうしたの?変な夢でも見た?」
「うんでも、ロイが起こしてくれたから大丈夫。おはよう!ロイ!」

いたいと思う場所で、満面の笑みがこぼれた。