sarayasu312
2025-07-31 19:08:23
1127文字
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ふたつのグラスとうたた寝さん

好き状態の志波主。勝己視点。家デートときめき会話後。めちゃ短文。見えない部分はこういう家だったらいいな、という妄想なのでなんでも許せる人だけ読んでクレメンス。主人公の名前にくわえ勝己の呼び方も自由に変えられるぜ。志波くん呼びしたい方は使ってね。

小波小波小波勝己小波勝己小波 喋っていてふと気づく。小波のグラスに茶がふたくち残っていた。氷もすっかり溶けて透明な層になっている。
 丁度良かった、一度こいつから離れて頭をリセットする口実にできる。
「何か飲み物取ってくる」
「いいの?」
「気にするな。……茶、スポドリ、カヌピス」
「か、カヌピス!」
 途端に遠慮がなくなる所が子供っぽいというか、でも嬉しいというか。
……ククッ」
「あ、なんで笑うの!」
 もう一度気にするなと繰り返し、二人分のグラスを持ってそのまま部屋を出た。
 シンクですすいでひっくり返し、外側だけ軽くタオルで拭く。冷蔵庫から今朝開けたばかりのカヌピスを取り出した。

***

 自分の部屋なのにノックするのも変に感じる。 でも一応、小波は女だから。オレが頭働かせてできるのなんてこんなことぐらいだ。
小波?」
 反応はない。未だに鈍いところがあるから、おおかた他の何かに集中していたんだろう。
………あ」
 あいつはローテーブルに向かったポジションのまま、後ろのベッドに頭と腕の一部だけ乗っけて眠っていた。一緒に住んだらこういう寝顔、毎朝隣で見ることになるんだろうか。
 くたりと力が抜けて、ほんの少し唇が開いていて、この上なく無防備で。柔らかくつやめく、“ハードル”の時に味わった感触を想起させる桜色。
 わいてきた衝動をぐっと抑えた。

「ふあ!」
 一・五リットルのペットボトルとグラスふたつを置く。その音でさすがに目が覚めたらしい。
「ねてまひた」
「見りゃわかる」
 カヌピスを注いで渡してやったら眠気の残る声でありがと、って呟いた。両手で持ってこくこく飲んでる姿はまさに小動物だ。
「ベッド、座ってみてもいい?」
………ああ」
 了承したのはまずかったかもしれない。そばに立ったまま目の前の光景に見入っていた。
「だって、お部屋にいるとずっと勝己の匂いがするんだもん。心地よくってつい」
 ゆっくりとした所作で座るもんだからベッドの軋む音がやけに大きく感じた。この部屋で、オレが暑くて服脱いだとして。そしたら、小波……
 ことばにするのもはばかられる映像と、さっきしたやりとりが脳裏に浮かんで思わず頭をぶるっと振った。
勝己?」
「なんだ、その……他人ん家で居眠りこくな」
「あたっ」
 苦し紛れにつんと額をつついてやった。虎穴に堂々入った上で爆睡するなんて実に小波らしいけど、オレの気持ちも考えてくれ。
……取って食われるかもしれねえのに」
「えっ、なぁに?」
「教えない」
「いじわる〜……
 これ以上は何も言わない。
 いつかオレとこいつの間に、さらなる何かが生まれたらにする。