大人しそうな見た目の小柄な男の人だった。こちらを見る目は分かっている、リッパーの新しい女だ、と物語っている。しかし、ジャックの知り合いがこちらのことをそう見るなら、逆にこちらの知り合いから見れば、ジャックは私の新しい男だ。お互い様で、お似合いだとでも言ってくれれば、こちらも笑顔を向けて遣れるのに。
けれど不躾にじろじろ見ることはせず、直ぐにジャックを見た。野暮そうな見た目だが、最低限の礼儀は有るらしい。
ジャックが男に応える。
「何かご用でした?」
「いや、通り掛かっただけだ。」
「なんですおまえ暇なんですか。」
「今はな。」
取り止めのない話を軽く交わして、男の人はこちらに軽く会釈をして去って行った。結局彼と私が会話を交わすことはなかった。残念、かかわったことの無いタイプだったから、ちょっとだけ気になったのに。ま、私がちょっと気を見せていれば、こうは行かないでしょうけれど。そこでふと、違和感があった。こちらにその気が無くても、いつもは。
「ねえ。ジャック?」
「どうかしました?」
「さっきの人、本当に急いだ様子も無かったんだし、もうちょっと紹介してくれても良かったじゃない。」
彼を私に、と言う意味もあれば、私を彼に、と言う意味も有る。
いつもだったら、ジャックの知り合いに会えば、私のことを見せびらかすように紹介される。それはこちらにも言えることだが、新しいバッグを買った時、それが高価で有れば有る程、自慢話は長くなる。私はそれに値する女だ。価値を広く知らしめられるべき女。それをされないなんて。
「ああ……あの小男は別に良いんですよ。」
言ってもジャックは気にもしないふうだ。
「なら、今度改めて私が、自分で挨拶しに行ってあげようかしら。」
更に言っても、ジャックは私のご機嫌を取ろうとするどころか、始終興味が無さそうだった。
そんなジャックの態度は初めてで、多分、本人にとっても相手がそうなんだろうと思うと、なんだか冷めた気分に成った。
どこかに良い男居ないかしら。勿論、この二人以外で。
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