三毛田
2025-07-24 22:00:41
1073文字
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63 063. キスの一歩手前

63日目
何度もそこまで行くのに

 ああ。
 今日もまた駄目だった。
 チャンスは何度もあったのに、俺が意気地なしだから物にできず。
 いい雰囲気だと思っていたのに、スマホにメッセージが届いて台無しになった日。
 滑って転びそうになった俺を、丹恒が正面から支えてくれて。顔が近づいて事故ちゅーをしそうになったところだ胸にダイブ。
 こちらに関しては、柔らかな胸が抱きとめてくれたのでダメージはなかったし、役得だった。
「穹。大丈夫だったか?」
「うん。丹恒の陰で、怪我はないから」
「そうか。それはよかった」
「も、もう一回胸に触れてもいいですか?」
「何故?」
 改めて問われると、答えに窮する。
 素直に告げると、それはそれで引かれるだろう。
 だけど、誤魔化したら誤魔化したでバレたら蔑んだ視線を向けられる。そんな気がして。
「あの、その……丹恒の柔らかな胸がすごくよかったからですっ」
 どうしようか考えた結果、素直に告げることにした。
 恐る恐る丹恒を見ると、引いた眼をこちらへと向け。
 その後に、ため息。
 ああ、駄目だと思っていたら、頭を抱き寄せられ。
「わぁ……
 思わず声が出てしまう。
「なんだその声は」
「ふ、不満じゃないんです! 嬉しいのと、びっくりしたのとで出た声なんです!」
 嫌だったのか。という声も聞こえたので、慌てて弁明。と、ほっとしたような吐き出された息。
 背中に腕を回して、しばらく丹恒の胸を堪能。
「も、もういいだろうっ」
 俺が離れないことに焦ったのか、ベリッと俺を引きはがす。
「あうあう」
 胸は堪能できたので、今度はキスできたらいいな。
 それからしばらくは、特にハプニングというかラッキースケベみたいなことは起きず。
 俺が胸に触れたいと告げると、呆れつつも手で触れさせてくれたり顔を埋めるのを許してくれて。
「ふんふふふん、ふんふ~ん」
「穹、今日はご機嫌ね。いいことがあったの?」
「姫子。この後丹恒と出かけるんだ!」
「あら。デート?」
「俺はデートだと思ってる。けど、丹恒はそう思ってないだろうな」
「あんたのアプローチも、あまり伝わってないみたいね。頑張りなさい」
「ありがとう。あ、丹恒!」
 クッキーの乗った皿を差し出されたので、数枚掴んでから現れた丹恒の元へ。
「もういたのか」
「駄目?」
「いや。待ち合わせ時間よりも早く来ていることは、いいことだ」
「褒められた! クッキー食べる?」
「一枚だけ」
 手を差し出したので、そっと彼の口へと押し当てる。
 ちょっと不満そうにするものの、素直に食べて。