三毛田
2025-07-22 22:21:48
1090文字
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61 061. 君は何も知らない

61日目
ずっと知らないで欲しい

 気づいて欲しい。気づいて欲しくない。
 相反する二つの感情で、心の中は入り乱れ。それが職務にも大いに影響を与えている。
「寝る」
 若干のふらつきを感じ、俺の布団で寝転がっていた穹へそう宣言。
「大丈夫か? 具合が悪いなら、パムに薬とか用意してもらうか?」
「なんとなく不調なだけだ。それに、若干寝不足のきらいもある」
「それは自業自得だな。でも、自分から寝るって行動できて偉いぞ〜」
 スマホから顔を上げた穹は無遠慮に、隣に寝転がった俺の頭を撫でて髪を乱す。
 彼は知らない。
 鱗淵境であの姿を見せたとき、その場で深く追求してこなかったことが、どれだけ俺の心を救ったのかを。
 彼は知らない。
 少しでも触れられると、それだけで俺の心臓がうるさくなることを。
 彼は知らない。
 一喜一憂の表情で、俺もまた密かに一喜一憂していることを。
「おやすみ、丹恒」
 耳元で、優しい声色。
 それを子守歌に、気づけば夢の世界へ。
 お前を好きな気持ちを、知らないで。気づかないで。
……
 目が覚めたら、胸の上が重い。後、ちょっと熱い。
 視線を向けると、穹の腕が乗っていた。
 自室に戻らなかったのか。とか、何で隣で眠っているのだ。とか。
 言いたいこと、聞きたいことはたくさんある。
 でも、嬉しさと同時に困惑が浮かぶ。
 抱きしめ返そうかと思ったけれど、今の俺にはそんな勇気などなく。
 口を開けて、ちょっとだらしない顔をこちらへ向けている。ので、そっとその口を閉じてやる。
「ふがっ」
「ふふ」
 夢でも見たのか、ビクンと体が揺れて。それがおかしくて、笑みがこぼれ。
「ひゃんほぉ?」
「ああ、俺だ」
 寝ぼけ眼でこちらを見ながら、俺を呼ぶ。でも、舌足らずだ。
「ふふふ。たんほう、むね、ふわふわ……
 胸に乗せていた腕を動かし、トントンと優しく叩いてくる。
 ふわふわ? 胸が?
 訳が分からず、目を白黒させているとそっと頬を寄せてきて。
 急な彼の行動に、どかそうとかそういう気持ちは吹き飛んでしまい。
「くう……
 穹は再び眠ってしまったようで。
 よくよく見ると、どことなく嬉しそうな表情を浮かべており。
 そんなところも好きだと思いながら、優しく頭を撫でる。
 頭を撫でた後、そっと背中を叩く。
 そのリズムに、俺もまた眠くなってきた。
……
……えへ」
 じっとこちらを見ている視線に気づき、見つめ返すとペロッと舌を出し。
「ふがっ」
 ちょっとイラっとして鼻をつまむ。
「ふっ
 変な声に、思わず笑みがこぼれた。
 やはり、彼のことが好き。