nogirota
2025-07-22 12:49:33
1966文字
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【黄金7.0】双頭と英雄の話

継承式後にバクージャジャを追っかけた自機の話。

黄金97レベまでしか進んでないが、今後解釈違いが起こらないと踏んで投下。
今後のバクージャジャの動向によってはなきものになるかも。

7.4済後追記>この話をしなくてもバクジャジャくんは弁償してくれました。更生したね…亡き物にするほどではなさそうなので弊世界線には残しておきます

「おーーい、バクージャジャ!」
継承式も終わりトライヨラから帰りかけていた道中で、背後から駆けてくる音と呼びかける声に、ぎく、としながら双頭の若者は振り向いた。
「お、オマエ
軽い足音を立てて立ち止まったのは、ヘイザ・アロ外つ国ではミコッテと呼ばれる種族の青年。バクージャジャが戦うのを避けてきた、恐ろしく強そうな気配の冒険者だった。
その男が、軽く汗を拭って小柄な体躯で見上げてくる。
「テレポしたわけじゃあないって聞いてさ。追いついてよかったよ」
バクージャジャはすでに王都からそれなりの距離を歩いてきていた。追いかけるなら普通は騎獣に乗るだろうに、軽くひとっ走り程度の気分で追いかけてきたように見える。この男は、やはり規格外らしかった。
「わざわざ追いかけてきてオレサマ達に何の用だ?」
いつも、ウクラマトの後ろで厳しい目を向けてきていた男だ。まさかと警戒心から冷や汗が浮かび、腰に下げた剣へ意識が向かう。
それを分かってか分からいでか、男は気楽な様子で片手を差し出した
「あの時のタコス、弁償してもらってない」
「「タコス?」」
思わず兄弟の声がハモった。
「君が踏みつけたタコス」
思っても見ていなかった事態に困惑する兄弟に対し、冒険者は真剣な顔でバクージャジャを見つめていた。

。。。

「うん、これでちょうど買い直せる」
2人(3人?)して道端に座り、チャリチャリと小銭を数えている冒険者を双頭の弟は横目で見た。
あのそのさ。……あの時は悪かったよ」

気まずい空気に耐えきれなくなったように、ボソリと謝罪を口にする。
顔を上げた冒険者が、君は?と兄を見た。
オレサマも、悪いと、思ってる」

2人の謝罪を聞くと、険しい雰囲気を漂わせていた男は、ふ、と気が抜けたように笑う。
「僕への償いは今ので十分だ。直接大したことはされてないしね。ね、君たちは自分の生き方を見つけにいくんだっけ?」
一方的に事情を知られていることにどことなく気まずさを感じ、つい兄弟2人で下を向く。
おぅ」

「じゃあ、その間に。君が継承の儀で迷惑をかけたり、怪我をさせた人たちにも、謝っておいでよ」
……………
2人とも、どうするべきか悩んでいた部分に踏み込まれ、言葉が出なかった。

「早めがいいよ。ウクラマトと暁のみんなが特別優しいだけなんだ。みんなにも、謝って、償わせてと言って、色々手伝ってきてみたらいいよ」

なんの気ない調子で難しいことを言う男は、勝手に、だけどしっかりと兄弟に語りかけてきていた。

「君たちのさ、気持ちは分からなくもないんだ。君たちはマムークの英雄だったんでしょ。強くいることも、他種族を蹴落とすことも期待されていた。期待通りに振る舞いたいと思うのは当然だと思う。そうして、期待してくれるみんなを陽の当たる土地に連れて行きたいと思っていただけならいいなと思ってる」

今までこちらへ向けていた目線が、ゆっくり空へ上げられた。もうしばらくすれば日が沈むであろう西日に、眩しそうに目を細めて、一瞬の沈黙の後言葉が続く。

「僕はエオルゼアの英雄なんだよね、外つ国では結構有名でさ。その分、たくさん期待されてきた。期待通りに振る舞いたくて、がんじがらめになってた時もあった」

「君たちはまだなんでも選べる。もう一度旅をして。聞いて、感じて、考えて自分の生き方を見つけておいでよ、バクージャジャ兄弟」

言うだけ言って満足したのか、双頭の兄弟に、ニヤっと笑いかけて、冒険者は立ち上がると、兄弟が言葉を飲み込みきれずにいる間に、ぱっと背を向けて走り始めてしまった。

…………聞いて、感じて考えて……あいつも、誰かにそう言われたのかな」
「さぁな」

しばらく小さくなっていく冒険者の背中を見送っていた兄弟は、いくつか言葉を交わすと、トライヨラに背を向けて歩き始めた。

。。。。。。。

トライヨラへの道を走りながら、冒険者の青年は鼻歌を歌っていた。

ふと、沈みつつある夕日に目を止めて歌うのをやめ、ゆっくり立ち止まる。

……人の先に立とうとするのって難しいですね、ヴェーネスさん。助言なんて慣れないことして緊張しました。彼らが、いい方に向かえばいいんだけどな」

「フレイもさ、僕バクージャジャのことは許せそうでよかったよ。また君に抱えてもらって、無理させちゃったら悪いもん」

独り言をこぼして、しばし夕陽を眺めたあと、また道を小走りで駆けはじめる。

「さーて、黄金郷もあと少しで見られるんじゃあないかなぁ?エメトセルク!」

自慢げに、でもどこか寂しそうに、誰にともつかない声をかけると、また、冒険者は鼻歌を歌いながら速度を上げて走っていった。