夜明 奈央
2025-07-21 05:42:48
1753文字
Public 久々綾
 

久々綾(女体化) 夫婦水入らず

現パロ 小学生くらいの娘がいるくくあやの久しぶりの2人きりお家デート
2025年7月19日初出

 目を開けると、画面にはエンドロールが流れていた。いつの間にか寝てしまっていたらしい。もぞもぞと身を起こすと、枕にしてしまっていた隣の兵助さんも気がついた。
「あ、起きた?」
「うん」
「ふふ、ぐっすりだったよ」
 今日は娘が友達と遊んでそのままお泊まりだと言って出掛けていったから、久しぶりに兵助さんと2人きりだった。「じゃあデートしよう!」と誘われて、今日はお家デートだった。毎日一緒に過ごしている家でデートなんてバカみたいだと思ったが、ポップコーンを買い込んでピザを並べ、隣り合って映画を見るのは正しく〝デート〟だった。
 続け様に3本も見たら流石に疲れてしまったのか、内容は面白かったはずなのにすっかり眠ってしまった。
「犯人、誰だった?」
「探偵の助手」
「あー! 動機は?」
「昔、両親を見殺しにされた恨み」
「なるほど」
 眠ってしまう前までの記憶を辿る。確かに両親が小さい時に亡くなったとか言ってたかもしれない。
「そろそろいい時間だし、お開きにしようか」
 時計を見ると17時を過ぎたところだった。夏は陽が落ちるのが遅いから時間の感覚が鈍る。普段なら夕食の支度を始める頃だったが、朝から間食を続けていたからちっともお腹は減っていない。たぶん兵助さんだって同じだろう。そう思うとまだ動く気にはなれなくて、兵助さんに体重を預けて右腕を両手で抱え込んだ。
「今日は甘えんぼさん?」
 揶揄うみたいに頭を撫でられる。ぐりぐりと頭を押し付けると、小さく笑われた。なんとなくそれが面白くなくて口を尖らせる。
「だって今日はデートなんでしょう?」
「そうだね、デートだ」
 つむじに冗談みたいに小さく口付けられる。顔を上げると、間近に兵助さんの顔があった。デートならここはキスするところだ。目線だけでキスを強請ると、唇にも躊躇いがちなキスが降ってくる。
 兵助さんが一瞬迷ったのがわかった。そりゃそうだ。子育てに奮闘している間にいつの間にかそういうやり取りは減っていって、たぶんこんなのは10年振りくらいだ。明確に「やめよう」と話をしたわけでもないから、最後がいつだったのかもはっきり覚えていない。
 すぐに離れてしまったのが悔しくて自分から唇を寄せる。舌先で唇を舐めるとあっさりと口の中に侵入を許されて、ねっとりと舌を絡め合う。性急さのない、熱を高めるばかりのキスだ。
「ねぇ、」
 続きを期待して甘えた声で呼びかける。途端、罰が悪そうに目を逸らされた。
「ゴムがない」
 それはそうだ。あまりに使わないから処分した記憶がある。例え残っていたとしても10年前のものなんて使えたものではないだろう。一瞬もう相手にしてもらえないのかと不安になったが、そうではなさそうなことに安堵する。
「じゃあじゃんけんで負けた方が今から買いに走るってことで」
「わかった」
「「じゃーんけーん、ぽん」」
 負けたのは兵助さん。いそいそと出掛ける身支度を始めるのが可愛くて笑ってしまう。確か学生の頃にも似たようなことがあった気がする。すっかりお父さんの顔になったと思っていたけど、忘れたわけではないらしい。
「あ、そうだ。ドラッグストア行くならついでに食パンも買ってきて。あと牛乳と料理酒とめんつゆと、あとなんだっけ?」
「多くない? ってか重いのばっかじゃん」
「だから頼んでるんでしょう」
「もう荷物持ちするから一緒に行こうよ」
「えー、外暑いからやだ」
「それは俺も一緒」
「じゃんけんで負けたでしょ」
「でも今日デートなんでしょ?」
 そう言われるとちょっと迷ってしまう。1人でお留守番してたって、どうせそわそわ落ち着かないのはわかっているし。
「手を繋いでくれるなら考えます」
 ちょっとくらいごねられるかと思ったのに、何の躊躇いもなく目の前に手を差し出されるので掴む以外の選択肢はない。
「行き帰りだけね。カゴ持ってる間は無理だから」
「ふふふ。こんなのママ友に見られちゃったらどうしよう」
「いいんじゃない? 悪いことしてるわけでもないんだし」
 握った手に力を入れて引っ張り上げられる。なんだか楽しくて、勢いのままに抱きついた。2人きりの時間はまだまだたっぷりある。出発するのは、もう少し後でいい。


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