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三毛田
2025-07-20 22:19:57
1068文字
Public
1000字4
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59 059. 舞い散る花びらを泳ぐ
59日目
泳ぐように道を進む
普段の柔らかなものと違い、まるで何かをさらうように強い風。
それは、巻き上げるように舞い上げるように薄紅色をさらい、彼の髪に彩りを添える。
「穹、どうした」
振り返った彼は、いつも以上に美しく。
そのせいで、上手く言葉が紡げず。
「えーと
……
うん。丹恒が綺麗だなって」
「そんなことないと思うんだが」
風が気になったのか、揺れた髪を撫でつけ。
「ううん。丹恒だから綺麗なんだ。それに、桜の花、散ってるなって」
「お前のその理屈は、何度聞いても理解が出来ない」
そう口にしながら、首を横に振る。
「わっ」
「んっ。大丈夫か?」
思ったより強い風に、思わずふらつき。丹恒が慌てて俺を支えてくれた。
「うう
……
」
「春一番はとっくに吹いているはずなんだが
……
」
「何で体幹しっかりしてるんだよ~」
「何でと言われても、鍛えていたからだな」
何が違うんだと思ったが、よく考えたら丹恒は筋トレをちょくちょくしていた。その差か。
「俺も筋トレした方がいい?」
「それはお前次第だ。将来体が衰えすぎないようにするなら、した方がいいだろう」
「じゃあ、丹恒も一緒に」
「俺とお前では、鍛えたい箇所が違うこともあるだろう。だが、そうだな。悪くないあんだ」
俺の提案に、嬉しそうに笑みを浮かべて。
ああ。そういう笑い方が可愛くて好きなんだ。
「丹恒。これからも一緒に居ような」
「ずっと、一生とは約束できないが、それでもいいか」
「それでいい」
突然事故に遭うかもしれないし、病気にかかることもあるだろう。だから、一生一緒。ってことは無理だ。
それくらいは、ちゃんとわかっている。
「この並木の先さ、秋になると金木犀が咲くんだ」
「そうなのか。それは知らなかった」
「丹恒、普段は違う道だもんな」
「ああ」
俺はずっとこの町に住んでいるけれど、彼は高校生になってこちらへ来た。
だから、まだまだ知らないことがたくさんあるだろう。
「丹恒。この町の春夏秋冬の顔、もっとたくさん知って。ううん。俺と一緒に知ろうよ」
「すごく魅力的な提案だな」
ぐう。
丹恒の微笑みの破壊力よ。心に突き刺さるだけじゃなくて、下半身にも突き刺さる。
きっと、彼がここまで心を開いてくれた。その証左になるのだから。
「幸せそうだな」
「えへへ。だって、丹恒が嬉しそうにしてるから」
「それは」
「それは?」
「お前が、穹が、楽しそうだから俺も、自然と嬉しくなる。それだけだ」
それって、口説き文句だと思っていいですかね!?
「丹恒大好き!」
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