零ミリ
2025-07-20 18:18:59
1390文字
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代替肉とおにくの話

むてらん 現パロ 夏の事後 なんでもない日常の話

无諦が藍桐の上から退くと天井の明かりが遮るものがなくなって藍桐の目に直接届く。无諦と藍桐はセックスする時に明かりは消さない。自分しか見れない相手の表情を見たいというのが二人の共通の想いだからだ。後始末(主にゴムの始末)をしている无諦を眺めていると、藍桐は無性に空腹を感じてきた。
「なんか小腹が減ったな」
 独り言としてそう呟くと藍桐は下着だけ身につけてリビングの方へ歩いていく。セックスをするために冷房を強めにしていた无諦の寝室に比べると、もうあとは寝るだけと冷房をつけていなかったリビングは蒸し暑い。とはいえ何か食べて寝るだけなので、藍桐は明かりだけつけて冷蔵庫にまっすぐ向かっていく。冷蔵庫を開けると冷気が裸の肌に直接かかる。冷蔵庫の中身は、晩御飯の棒棒鶏の残り。これは明日(もう今日かもしれない)の昼のおかずなので手をつけるのは後々面倒だ。卵はある。しかし目玉焼きなり茹で卵なり一手間かける気力はない。
「何かあるか?」
 同じく下着だけ身につけた无諦が藍桐の後ろから声をかける。藍桐は冷蔵庫を覗き込んだまま返事をする。
「うーん、あ、魚肉ソーセージがあった!」
 藍桐は冷蔵庫の奥から魚肉ソーセージを取り出して无諦に見せる。少し前に買ったはいいが、使わずに奥に追いやられて外袋も開けずにそのままになっていた。
「无諦も食べる?」
「ああ」
 藍桐は无諦に一本魚肉ソーセージを渡し、二人して魚肉ソーセージの包装を剥がし一口齧る。
「なんかちょうどいいかも!」
「まあ美味いが食べて良かったのか」
「僕も忘れていたしいいんじゃないかな! ああ、でも炒飯に入れる具が減ったかな!」
「そういえば炒飯によく入れているな。別になくても私は構わないが」
 无諦と藍桐が共に暮らし始めて、藍桐が作った炒飯の具に魚肉ソーセージが入っていたことに无諦は少なからず驚いていた。親が食事を作ることが少なく外食や冷食が主だった无諦にとっては、いかにも家庭の味、のような魚肉ソーセージの入った炒飯は見たことがないものだった。家庭で日常的に食べていた藍桐は家庭の味は人それぞれなのだと改めて実感したのだった。
「でも歯応えのある食材が入っていた方が嬉しいじゃないか! またストックを買っておくよ! 食べ終わったしもう寝るかな!」
「これだけでいいのか」
「まだ全然食べれるけどね! でもあまり深夜に食べすぎると、さ!」
「ああ、そういうこと」
 无諦は笑って藍桐の脇腹をつつく。藍桐は身を捩って无諦の指から逃げようとする。
「ちょっと!」
「大学一年生の時より明らかにふくよかになったな」
「ま、まだ標準体型だから! もう、自分が痩せ身だからって! 无諦だってあと五年して三十を超えれば自然とぷくぷくしてくるんだから!」
「はは」
 无諦は藍桐の腕を軽く引き、抱き寄せる。藍桐の後頭部を撫でながら軽い口調で問いかける。
「でも君は私が太ったくらいで去るつもりはないのだろう?」
 无諦の優しい手つきに目尻を下げなが藍桐は満面の笑みで答える。「もちろん! でも一緒に百歳まで生きるんだから、健康に害になるような肥満になったらダイエット頑張ろうね!」
「君のダイエットは厳しそうだ。太らないようにしないとな……
 无諦の言葉に藍桐は无諦の頬に口付けると、そっと身体を離して寝室の方へ足を向けた。