2025-07-20 16:55:06
8065文字
Public 小説
 

族長バルザイとの会話 後日談


アルタンとシゲンとの会話、その後のステップについての補足
前の話

◆出てくる人達






「はい、次は口を開けて」
 寝台から身を起こしたアルタンは言われたままに口を開け、シゲンは喉の様子を確認する。
「問題ありませんね、感染症の類ではないようです。熱も下がりましたしもう大丈夫でしょう」
 アルタンが目を覚ましてから二日が経った。ファティマの看護の甲斐あってなのか、それともバルザイの一件が解決し心理的負担が減ったからなのか、アルタンの体調は平常に戻っているようだ。
「いつも世話をかけてすまない」
「まああなたは昔から打たれ弱いところはありましたが回復力が高かったですからね。とはいえ今後は重々自衛して下さいよ? もうあなたの体を調べるのは御免蒙りたいですからね」
……本当に申し訳ない……
 叱られ、族長らしからずしょぼんと小さくなる様子に、シゲンはため息を吐いた。
「出会った当初のふてぶてしさはどこへ行ったのです。あなたは誰に対しても警戒心が薄くて優しすぎます。付け入られる隙を与えないように振る舞うことも大事ですよ」
「あの頃は族長を継いだばかりで余裕がなくてな……村を守るためにも横柄な態度を取っていたんだが、本当は弱い人間なんだ」
「まあ、それは節々から感じられていましたが……とはいえ陛下もあなたのそういうところに救われていた面がありますからね」
……あいつが?」
 意外な人物の話題が浮かび、アルタンは目を丸くしている。シゲンは長話になりそうな気がして、側にあった椅子に腰かけた。
「そうですよ。あなたと会った後はえらくご機嫌で気持ち悪いくらいでしたからね。ちょっとは外野の気持ちも考えて頂きたかったですが」
……そうか」
「良いガス抜きになっていたんでしょう。あの人も抱え込む癖がありましたからね。似た者同士が何とやらです」
「ふふ、似た者同士か」
 嬉しそうに笑う様子にやれやれ、とシゲンは肩を竦めた。ふいに兼ねてより考えていたことが連想され、体調も問題ないようなので流れのまま口にしてみることにした。
「似た者同士と言えばバツーさんですかね。彼、意外にも参謀の才能がありそうなので、ここを発つまでにしばらく指南させて頂こうかと」
……ああ、俺もそう思っていたんだ。そうしてもらえると助かる」
 これまでの交渉でもバツーには幾度も助けられていた。喧嘩慣れしていたため脅し文句などには怯むことがなく、不利な条件を出されても鋭い勘で穴を見つけ出し反論する。これは両親共にシャーマンの家系であるファティマとの血縁関係もあるのかもしれない。
 気が短いという最たる短所が鳴りを潜めたバツーは、元々備え持っていた優秀な面が目立ってきていたのだ。
「それに人の相を見抜く嗅覚はあなたより優れているようです。あなたはお人好しで危機管理能力が薄いので、バツー殿が威嚇して下さってやっと良いバランスになるでしょう」
「耳が痛いな……なあ、シゲン殿。族長はバツーの方が向いていると思わないか?」
 青天の霹靂。思わぬ言葉にシゲンは一瞬固まった。
「俺はバルザイのような腹黒い相手はどうも苦手でな。バツーの方がうまいこと対応してくれる。その方がこの村にとっても……
「仰ることも分かりますが、帝国にとってはあなたが族長を務めて頂く方が有り難いんですよ。あなたほど操りやすい人は……おっと口が滑りました。あなたほどの適任者はいないんです。公明正大でかつての皇帝の戦友であり、帝国と唯一公文書のやりとりができる貴重な人材ですからね。それにバツーさんはあなたを差し置いて族長にはならないでしょう。あなたのことをとても評価されている。他の村人からも、それは痛いほど伝わってきましたよ」
 本音が出たフリをするシゲンなりの優しさに思わず笑みが零れた。この軍師は昔から薄情な素振りを見せるが、根底にある優しさをアルタンは兼ねてより感じ取っていた。
「それにね、ここまで同盟を押し進めたあなたがここでほっぽり出してどうするんです。アズィーザ様のためにも、やるなら最後まで責任を持って下さい。私も最終確認させてもらった楽しみな同盟なのですからね」
 ステップ統一のための部族同盟。アズィーザのため、そして今は亡きアキリーズの望みでもあった和平の実現。シゲンの激励で当初の意気込みが思い返され、アルタンは体の奥底から力が漲ってくるような感覚を覚えた。
「そうだな……少し勇気が出たよ。ありがとう、シゲン殿。……ついでのようであれだが、少し相談したいんだが良いだろうか」
「はい、何でしょう?」
「移動式の学校を作りたいと思っているんだ。色んな部族の所へ行ったが、そこで本を読み聞かせると皆喜んでくれてな。大人も一緒に聞いてくれるんだ。だから皆も本が読めるようになるように、大人達がまず文字を覚えて、それを教えられる集落を作れたらと……そこで暮らすことで生きる術を学ぶことにもなるし、居場所の無くなった子供達を受け入れることもできる。そんな開かれた場所を作りたいんだ」
 ふんふんと頷きながら、シゲンは即答した。
「それは妙案ですね、連絡員を派遣するにしても受け入れ場所をどうするか考えあぐねていたんですよ。帝国の暮らしに慣れた者はいきなりここで生活しにくいでしょうから。彼らも慣れるまでそこで常駐できるとありがたいのですが」
 提案が受け入れられた様子に、アルタンは安堵の表情を浮かべる。
「ああ、それにどこの部族にも属さない組織にすれば、同盟結成の後もそこに集って話し合いが出来ると思う。特定の部族に権力が集まると他部族からの反感も買うだろうしな。それに連絡員がそこにいれば、会談内容もすぐ報告できる。俺がステップ中を駆けまわっていてはいつまで経っても終わりそうにないからな」
 学校を作ることは大賛成だったが、シゲンは引っかかる点があった。
「それは分かりますが……あなたはそれでいいんですか? 現状、ステップの頂点にいるのはあなたです。それを手放し第三者へ利権を譲ると言ってるのも同じことですよ」
 どこの部族にも属さない――それは発案者であるアルタンにも、同部族の者にも何の見返りもないことを示唆していた。
「権力とかには興味がないんだ。俺ももってあと二十年かそこらだろう、そんなものはあの世へ持っていけないからな。それに色んな本が読めるようになって、戦いよりもそちらの方が向いてる気がしているんだ。年を取っただけなのかもしれないが」
 武術も馬術も何でも器用にこなす彼だが、帝国での勉強熱心な姿勢はシゲンも感心していた。アバロンで生まれていれば文官として活躍する人生もあっただろう。
「そちらの方が子供達に多くのものを残せる気がする。だから同盟条件にそれぞれの部族から一名ずつ出してもらって、少しずつ資材も出してもらって集落を維持してもらうよう追加したいんだ。……どうだろうか?」
 シゲンは髭を撫でながら考えを纏め、帝国にとっては何ら問題ないであろう結論に至った。けれどもその上で憂慮すべき点があった。
「そうですね、結成後に内容を変更しては折角実を結んだ関係もまた拗れる可能性もある。はなから加えておく方が後々楽でしょう。しかし帝国からも資材を提供するとは言え、彼らに財産を差し出せというようなものです。バルザイ殿のような輩がまだいるかもしれませんし、果たして皆さん同意してくれるかどうか……
「まあそこは俺の頑張り所という訳だな」
 肩を竦め、承知の上だと口角を上げる様子にシゲンは呆れ果てた。
「それはそうですが……全く、あなたはどうしてこうも苦難の道を進もうとするんですかね。豪胆過ぎてまともな思考とは思えません。とは言えこれが成し得られれば帝国にとっても大変有り難い、文もそこへ飛ばせばそこからステップ全土へ連絡網が作れるでしょうし……早速草案に加えてもらっても?」
「ああ、実はもう加えてあるんだ。バルザイの所で子供達に読み聞かせしている最中に閃いて居ても立っても居られなくなってな。早速で申し訳ないがこれを確認して頂きたい」
 どこから取り出したのか、さっと差し出された文書に、シゲンは額に手を当て嘆息した。
「はあ、あなたという人は……あんな目に遭っていたというのに何と強かな……どこかハクヤクを彷彿とさせますよ。しかしゆっくりしようと思っていたのに、ハクヤクの論文もあるし何でこうも……
「光陰矢の如し、善は急げだろう?」
……優秀な弟子が一人増えてしまいましたね。もう良いですよ、ここを発つまでこき使ってください」
「ふふ、その分宴を存分に楽しんでくれ」
「あ、宴と言えば馬乳酒出ます? あのちょっと酸っぱいやつ。私あれ結構いけるんですよね。道中楽しみたいので一本包んで頂けると嬉しいのですが」
「勿論だ。アリエスやガマ殿の分も持っていってくれ。保存が効くか心配ではあるが」
「いや、二人はいらないと思いますよ……
 
 ――補足――
 
 アルタンはその後部族同盟結成に全てを捧げ、ステップとカンバーランドの和平協定締結に大きく貢献した。
 ステップ初の部族同盟は会談が度々行われたメネン平原にあやかり、メネン部族同盟とも呼ばれる。
 また犬猿の仲であった両国初の和平協定はその後二五〇年に渡り平和をもたらし、長城で分かたれた両国代表の熱い友情に、人々はこれを『二星の奇跡』と呼んだ。
 アルタンは協定締結を見届けた後、全ての力を出し切ったというように静かにこの世を去った。妻であるファティマもそれを追うように亡くなった。
 バツーはアルタンの死後も族長代理を務め続けたが、皆の推薦を断り族長には就こうとしなかった。その生を終えるまで、変わらず狼のような鋭さで村を守ったが、子供達を見守る眼差しにはその険がなかったという。

「はい、次は口を開けて」
 寝台から身を起こしたアルタンは言われたままに口を開け、シゲンは喉の様子を確認する。
「問題ありませんね、感染症の類ではないようです。熱も下がりましたしもう大丈夫でしょう」
 アルタンが目を覚ましてから二日が経った。ファティマの看護の甲斐あってなのか、それともバルザイの一件が解決し心理的負担が減ったからなのか、アルタンの体調は平常に戻っているようだ。
「いつも世話をかけてすまない」
「まああなたは昔から打たれ弱いところはありましたが回復力が高かったですからね。とはいえ今後は重々自衛して下さいよ? もうあなたの体を調べるのは御免蒙りたいですからね」
……本当に申し訳ない……
 叱られ、族長らしからずしょぼんと小さくなる様子に、シゲンはため息を吐いた。
「出会った当初のふてぶてしさはどこへ行ったのです。あなたは誰に対しても警戒心が薄くて優しすぎます。付け入られる隙を与えないように振る舞うことも大事ですよ」
「あの頃は族長を継いだばかりで余裕がなくてな……村を守るためにも横柄な態度を取っていたんだが、本当は弱い人間なんだ」
「まあ、それは節々から感じられていましたが……とはいえ陛下もあなたのそういうところに救われていた面がありますからね」
……あいつが?」
 意外な人物の話題が浮かび、アルタンは目を丸くしている。シゲンは長話になりそうな気がして、側にあった椅子に腰かけた。
「そうですよ。あなたと会った後はえらくご機嫌で気持ち悪いくらいでしたからね。ちょっとは外野の気持ちも考えて頂きたかったですが」
……そうか」
「良いガス抜きになっていたんでしょう。あの人も抱え込む癖がありましたからね。似た者同士が何とやらです」
「ふふ、似た者同士か」
 嬉しそうに笑う様子にやれやれ、とシゲンは肩を竦めた。ふいに兼ねてより考えていたことが連想され、体調も問題ないようなので流れのまま口にしてみることにした。
「似た者同士と言えばバツーさんですかね。彼、意外にも参謀の才能がありそうなので、ここを発つまでにしばらく指南させて頂こうかと」
……ああ、俺もそう思っていたんだ。そうしてもらえると助かる」
 これまでの交渉でもバツーには幾度も助けられていた。喧嘩慣れしていたため脅し文句などには怯むことがなく、不利な条件を出されても鋭い勘で穴を見つけ出し反論する。これは両親共にシャーマンの家系であるファティマとの血縁関係もあるのかもしれない。
 気が短いという最たる短所が鳴りを潜めたバツーは、元々備え持っていた優秀な面が目立ってきていたのだ。
「それに人の相を見抜く嗅覚はあなたより優れているようです。あなたはお人好しで危機管理能力が薄いので、バツー殿が威嚇して下さってやっと良いバランスになるでしょう」
「耳が痛いな……なあ、シゲン殿。族長はバツーの方が向いていると思わないか?」
 青天の霹靂。思わぬ言葉にシゲンは一瞬固まった。
「俺はバルザイのような腹黒い相手はどうも苦手でな。バツーの方がうまいこと対応してくれる。その方がこの村にとっても……
「仰ることも分かりますが、帝国にとってはあなたが族長を務めて頂く方が有り難いんですよ。あなたほど操りやすい人は……おっと口が滑りました。あなたほどの適任者はいないんです。公明正大でかつての皇帝の戦友であり、帝国と唯一公文書のやりとりができる貴重な人材ですからね。それにバツーさんはあなたを差し置いて族長にはならないでしょう。あなたのことをとても評価されている。他の村人からも、それは痛いほど伝わってきましたよ」
 本音が出たフリをするシゲンなりの優しさに思わず笑みが零れた。この軍師は昔から薄情な素振りを見せるが、根底にある優しさをアルタンは兼ねてより感じ取っていた。
「それにね、ここまで同盟を押し進めたあなたがここでほっぽり出してどうするんです。アズィーザ様のためにも、やるなら最後まで責任を持って下さい。私も最終確認させてもらった楽しみな同盟なのですからね」
 ステップ統一のための部族同盟。アズィーザのため、そして今は亡きアキリーズの望みでもあった和平の実現。シゲンの激励で当初の意気込みが思い返され、アルタンは体の奥底から力が漲ってくるような感覚を覚えた。
「そうだな……少し勇気が出たよ。ありがとう、シゲン殿。……ついでのようであれだが、少し相談したいんだが良いだろうか」
「はい、何でしょう?」
「移動式の学校を作りたいと思っているんだ。色んな部族の所へ行ったが、そこで本を読み聞かせると皆喜んでくれてな。大人も一緒に聞いてくれるんだ。だから皆も本が読めるようになるように、大人達がまず文字を覚えて、それを教えられる集落を作れたらと……そこで暮らすことで生きる術を学ぶことにもなるし、居場所の無くなった子供達を受け入れることもできる。そんな開かれた場所を作りたいんだ」
 ふんふんと頷きながら、シゲンは即答した。
「それは妙案ですね、連絡員を派遣するにしても受け入れ場所をどうするか考えあぐねていたんですよ。帝国の暮らしに慣れた者はいきなりここで生活しにくいでしょうから。彼らも慣れるまでそこで常駐できるとありがたいのですが」
 提案が受け入れられた様子に、アルタンは安堵の表情を浮かべる。
「ああ、それにどこの部族にも属さない組織にすれば、同盟結成の後もそこに集って話し合いが出来ると思う。特定の部族に権力が集まると他部族からの反感も買うだろうしな。それに連絡員がそこにいれば、会談内容もすぐ報告できる。俺がステップ中を駆けまわっていてはいつまで経っても終わりそうにないからな」
 学校を作ることは大賛成だったが、シゲンは引っかかる点があった。
「それは分かりますが……あなたはそれでいいんですか? 現状、ステップの頂点にいるのはあなたです。それを手放し第三者へ利権を譲ると言ってるのも同じことですよ」
 どこの部族にも属さない――それは発案者であるアルタンにも、同部族の者にも何の見返りもないことを示唆していた。
「権力とかには興味がないんだ。俺ももってあと二十年かそこらだろう、そんなものはあの世へ持っていけないからな。それに色んな本が読めるようになって、戦いよりもそちらの方が向いてる気がしているんだ。年を取っただけなのかもしれないが」
 武術も馬術も何でも器用にこなす彼だが、帝国での勉強熱心な姿勢はシゲンも感心していた。アバロンで生まれていれば文官として活躍する人生もあっただろう。
「そちらの方が子供達に多くのものを残せる気がする。だから同盟条件にそれぞれの部族から一名ずつ出してもらって、少しずつ資材も出してもらって集落を維持してもらうよう追加したいんだ。……どうだろうか?」
 シゲンは髭を撫でながら考えを纏め、帝国にとっては何ら問題ないであろう結論に至った。けれどもその上で憂慮すべき点があった。
「そうですね、結成後に内容を変更しては折角実を結んだ関係もまた拗れる可能性もある。はなから加えておく方が後々楽でしょう。しかし帝国からも資材を提供するとは言え、彼らに財産を差し出せというようなものです。バルザイ殿のような輩がまだいるかもしれませんし、果たして皆さん同意してくれるかどうか……
「まあそこは俺の頑張り所という訳だな」
 肩を竦め、承知の上だと口角を上げる様子にシゲンは呆れ果てた。
「それはそうですが……全く、あなたはどうしてこうも苦難の道を進もうとするんですかね。豪胆過ぎてまともな思考とは思えません。とは言えこれが成し得られれば帝国にとっても大変有り難い、文もそこへ飛ばせばそこからステップ全土へ連絡網が作れるでしょうし……早速草案に加えてもらっても?」
「ああ、実はもう加えてあるんだ。バルザイの所で子供達に読み聞かせしている最中に閃いて居ても立っても居られなくなってな。早速で申し訳ないがこれを確認して頂きたい」
 どこから取り出したのか、さっと差し出された文書に、シゲンは額に手を当て嘆息した。
「はあ、あなたという人は……あんな目に遭っていたというのに何と強かな……どこかハクヤクを彷彿とさせますよ。しかしゆっくりしようと思っていたのに、ハクヤクの論文もあるし何でこうも……
「光陰矢の如し、善は急げだろう?」
……優秀な弟子が一人増えてしまいましたね。もう良いですよ、ここを発つまでこき使ってください」
「ふふ、その分宴を存分に楽しんでくれ」
「あ、宴と言えば馬乳酒出ます? あのちょっと酸っぱいやつ。私あれ結構いけるんですよね。道中楽しみたいので一本包んで頂けると嬉しいのですが」
「勿論だ。アリエスやガマ殿の分も持っていってくれ。保存が効くか心配ではあるが」
「いや、二人はいらないと思いますよ……
 
 ――補足――
 
 アルタンはその後部族同盟結成に全てを捧げ、ステップとカンバーランドの和平協定締結に大きく貢献した。
 ステップ初の部族同盟は会談が度々行われたメネン平原にあやかり、メネン部族同盟とも呼ばれる。
 また犬猿の仲であった両国初の和平協定はその後二五〇年に渡り平和をもたらし、長城で分かたれた両国代表の熱い友情に、人々はこれを『二星の奇跡』と呼んだ。
 アルタンは協定締結を見届けた後、全ての力を出し切ったというように静かにこの世を去った。妻であるファティマもそれを追うように亡くなった。
 バツーはアルタンの死後も族長代理を務め続けたが、皆の推薦を断り族長には就こうとしなかった。その生を終えるまで、変わらず狼のような鋭さで村を守ったが、子供達を見守る眼差しにはその険がなかったという。




後日談の後日談
18禁 バツー×アルタン

創作ロマサガ2纏めへ戻る