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むかいえ
2025-07-19 23:54:13
3070文字
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シャアム
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この後ちゃんと修正された
少女体型アムロ22歳女性のある日の出来事。シャアム♀(クワアム♀)。
別にロリコンではないんだけどそう見えるだけ。
ロリ巨乳でもない。敢えて言うならバランスの良い美乳。
どうして自分は女なんだ。どうして男に生まれてこなかったんだ。それはアムロ・レイが15歳の頃から抱く、己の性への諦観だ。
性差を強烈に意識したのは、恐らくア・バオア・クーでの戦闘時からだろう。ジオンの赤い彗星、シャア・アズナブル。奇妙な因果で結ばれてしまった、討ち果たすべき宿敵。互いのモビルスーツが大破し、縺れ込んだシャアとの白兵戦の最中、アムロは自分が女の身であることを心底恨んだのだ。
そもそもが剣術の素人で、さらには性差による根本的な膂力や体格の違いもある。そんな状態でアムロの持つレイピアの切先が、相打ちに近いかたちでシャアのヘルメットを貫いたのは、ほとんど奇跡と言ってもいい。
平均より低い背丈、増えない体重、細っこくて頼りない手足。15歳の時点でもアムロは周囲の同輩たちより一回り小柄だった。歳を幼く見られるのにもすっかり慣れている。
セイラやマチルダのようにすらりと背が高く、凛とした女性の姿に憧れていた。年月を重ねればそのように成長していくのではないかと期待していたけれど、結局アムロの身体は15歳の頃からほとんど変わらなかった。女性と称すより少女という表現が似合う容貌に、鏡を見るたび辟易とする。
軟禁されていた時期にトレーニングに勤しんだりもしたが、筋肉がついても身体自体はどこか薄っぺらいままだ。太りにくい性質や実年齢より若く見られることなどは、世の女性から羨まれるものなのかもしれない。しかしアムロにとってはコンプレックスに他ならない。
ーー特に、その気持ちをより強く自覚させた男には、この姿を見られたくないとすら思っていた。
「
……
」
「
……
」
エゥーゴの支援組織カラバ。その空中拠点として運用されているアウドムラの中、アムロは現在、クワトロ・バジーナと名乗る男に抱え上げられていた。
当然、混乱しきりである。どうしてこうなったのだろう。
そもそも二人は偶々通路で出会い、行先が同じだったから連れ立って歩いていただけだ。会話という会話はほとんどなく、無言で歩いていた。気まずさでつい早足になっていたアムロは、差し掛かった階段で躓き、下り方向に利用していたのもあって、僅かにバランスを崩す。ぐらりと揺らいだ彼女の身体を、咄嗟にクワトローーシャアが抱き寄せたのがここに至る一連の流れだった。
しかし、この時点では抱き上げられていなかった。
抱き寄せられた際に背中にクワトロの温もりを感じ、慌てて礼を言うために振り向いたアムロの身体を、むんずと捕まえたのだ、この男は。そうしてぺたぺたと彼女の腰回りを触り始めた。紛うことなきセクハラである。
普段のアムロなら激昂してもおかしくなかったのだが。この時の彼女は軟禁生活のせいで精神がべこべこに凹んでいたことや、予期せぬシャアとの再会などもあり疲弊していたため、思考が追いつかずにされるがままだった。
「アムロくん、君
…
なんだ、この細さは
…
」
「え?は?ちょ
…
」
「ちゃんと内臓は詰まっているのか
…
!?」
「つ、詰まってるけど
…
!?」
などとバカみたいな会話をした。
クワトロは背が高い。15歳の頃もアムロと身長差があったけれど、さらに7年経って体格も良くなっているように思う。アムロが首をそらして見上げなければ、彼の顔も見えないのである。きっとこの男の身体に覆われてしまえば、小柄なアムロなど綺麗に隠れてしまうだろう。
「ふむ、失礼」
「は
…
!?」
そんなアムロにとっては大柄なクワトロだが、彼女の腰回りを好き勝手に触った後、今度はおもむろに抱き上げた。
さて、ここで冒頭に戻るのだが、思い返してみても、やはりアムロは何故抱き上げられたのかわからなかった。
身体は完全に浮いている。ぷらりと揺れる足が心許ない。尻の下を通る男の腕は逞しく、鍛え上げられた体幹はアムロを抱えていながら安定していた。腕に座らせるように高く抱き上げられているので、見たこともなかったクワトロのつむじが至近距離で見えた。
「やはり軽い
…
これは平均を下回っているだろう
…
」
「ちょ
…
っと
…
!?わ、おろ、降ろしてくれ
…
!」
「おっと、あまり動くと危ないぞ」
「いや降ろしてくれたら済む話だろ!?」
「ちょうど良いからこのまま行こう」
「何が!?どこに!?やめろやめろ降ろせ!!このっ、シャア!!」
ところで、共用の通路のど真ん中で騒いでいれば誰かしらやって来るもので。
「あの、何してるんですか
……
?」
異様な二人組に声をかけた勇者はカミーユ・ビダンであった。
隣には艦長であるハヤト・コバヤシとカツ・コバヤシもいる。血の繋がらない親子二人は、しかしそっくり同じような表情をしていた。見てはいけないものを見てしまったような顔である。三人より後方には、ベルトーチカ・イルマが見えた。彼女の方はやけに冷えた眼差しでクワトロを見ている。
「ハヤト、この人をどうにかしてくれ!!」
「ええと
……
どういう状況なんだ
…
?」
「いやなに、アムロくんがあまりに細いものだから少し心配になってね。ところで艦長、彼女はちゃんと食事を摂っているのかな?」
「摂ってるよ!!」
「
…
クワトロ大尉、とりあえずアムロを降ろしてあげては。あの
…
ほら
…
アムロは見た目が若々しいので
…
その
……
」
ハヤトがおたおたと助け舟を出す。アムロが自身の幼げな容姿にコンプレックスを抱いていることは彼も知っているので、どうにか彼女を傷付けないような言葉を選んでいた。
「誘拐犯にしか見えないですよ、クワトロ大尉」
しかしそこにズバッと切り込むのは、やはりカミーユであった。ハヤトは諦めたように肩を落とす。
「絵面が完全に事案です
…
」
「うわぁ
……
」
「やだ、ロリコンじゃない」
「待ってベル、私は成人女性だぞ、ロリはやめてくれ」
「つまり合法だな」
「貴様は何を言っているんだッ!?」
すべてクワトロに抱き上げられた状態での会話である。普段より高い視点は新鮮だが、本来敵である男に身を任せている状況は危機感しかない。しかも他者に見られて普通に恥ずかしい。アムロは両手で顔を覆った。
恐らくクワトロは途中から面白がっていたのだろう。そしてアムロを抱き上げたまま、なんと歩き出してしまう。
「あっ、うわっ
…
」
「!」
自分で歩くのとは異なる振動が伝わり、バランスを保つためにアムロはクワトロの肩と頭に抱きついた。
…
咄嗟のことだ。
アムロの頬を柔らかい金髪がくすぐる。ぎゅっと抱え込んだクワトロの頭は温かい。息を呑む音が間近に聞こえた。歩き出してまだ数歩だったが、男はぎこちなく立ち止まる。
「
…………
着痩せするタイプだったか
…
」
ぼそりと落ちた声は存外に響き、周囲の空気が凍った。
「な、な
…
!」
一拍後、意味を理解したアムロは勢いよく手を離した。そのまま両手で自分の胸元を隠す。
クワトロの頭をしっかり抱え込んだので、結果的に胸元を押し付けるかたちになったのだ。アムロの見目は確かに少女めいているが、二次性徴を終えた歴とした成人女性である。
……
育つところはちゃんと育っているので、つまり、まあ、そういうことだ。
「こ、こ、この
…
ッ変態があ!!修正してやる!!」
同じく理解したカミーユが顔を真っ赤にして吠える。彼にとって、アムロは生きる伝説であり憧れの女性なのだ。
拳を握り、猛然と突き進む彼を止める者は、その場に誰もいなかった。
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