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ちゃしぶ
2025-07-19 18:17:54
1627文字
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横浜は夜の12時
趙イチワンドロライ、お題「嫉妬」付き合ってる趙イチの小話。7後。趙さん視点。モブが出てきます。
すでに時計の針はてっぺんを少し過ぎている。
俺は夜半を過ぎても帰らない恋人を思って、少しため息をついた。外出する身支度をする。
恋人である春日君はまだ帰らない。これは一番HDで残業をしているか、帰り道に何かあったかな違いない。LINEで連絡は入れたが、返事はない。既読もつかない。これは手こずっていると予測して、迎えに行くことにした。髪を手早く纏めて後ろで縛り、ひとりごちる。
「と言っても、帰り道、なんとなくしか知らないんだよね
……
」
こんな時のためにコミジュルへ調査を依頼したから知ってはいるものの、それも道の監視カメラがあるところの範囲のみだ。そこから道を外れたらもうわからない。俺は春日君を追って夜の異人町を歩くことにした。
***
「だからよお、俺はその、そう言う事は受け取れねえんだって」
「春日さん私の想い、受け取ってくれませんか
……
?」
「だから、受け取れねえんだって」
「何でですか? 私の事嫌いですか?」
「嫌いとかって話じゃねえって話しただろ? もちろん嬉しいよ、だけど
……
」
「ならなんで? 春日さん、お付き合いしている方いないんでしょう?」
そのやりとりが夜の道端で聞こえた瞬間、何かわからず頭に来た。髪が逆立つ感覚を覚える。俺は視線を声の聞こえた通りの端にやった。そこには見覚えのある髪型の長身姿と、その影に隠れた誰かがいた。俺は訳もわからないまま見覚えのある長身へ背後から歩み寄り、その肩を抱いて、グッと己へ引き寄せる。わかりやすく体がビクリと跳ねた春日君は、突如現れた俺へ恐る恐る顔を向けた。その顔が驚いている。
「春日くゥ〜ん、来ちゃった♡」
殊更声を甘くする。春日君に詰め寄っていた女はわかりやすく顔を強張らせた。
「ち、趙!」
「お、お友達、ですか?」
「そ、そう、友達
……
」
「と〜っても仲良いんだ、俺達♡ 毎週末お互いの家行き来するくらい仲良いの♡」
「ち、趙
……
」
また女の顔が強張る。これは怒りの表情だ。女の嫉妬だ。わかりやすいそれに、俺はにんまりと笑って見せた。そんな俺と女の空気感を春日君は敏感に察知して、オロオロと俺達を見る。
「そうですか。社長、私、これで失礼します」
女は強張った表情をわかりやすく泣き崩すと、さっと身を翻して足早に立ち去った。その背を見送りながら、俺は春日君の腰を抱き寄せる。道端でのそんな行為に、春日君はギョッとして慌てて体を離そうとしたが、俺が許さない。笑顔で甘い声のまま、春日君に至近距離から問いかけた。
「今の女、なに? 春日君、付き合ってる人いないって言ったの?」
「あの、その
……
今のは、一番HDの社員さんだ。残業帰りにたまたまかちあって、
……
その、」
「これだけは言っとくね春日君。好意を持ってる人間ってね、つけ入る隙があるなら諦めきれないものなんだよ。だから、時にはそれが冷酷でも、振り切らなきゃいけない。わかる?」
「う
……
」
春日君なりに考えているのだろう。まるで耳を伏せた子犬のように体を縮こませている。目を伏せた春日君が、俺へ目を上げた。
「悪かった。彼女を傷つけたくなくて、彼女にも趙にも俺、不誠実だった。嘘なんてつくもんじゃねえな」
「そうだよ。苦しむのは、春日君と彼女なんだから。さあ、家に帰ろ。夕飯、作ってあるから」
「おう、ありがとうな。
………
って待て、趙。お前、何でここにいるってわかったんだ?」
「フフ、なんででしょ〜? 帰りにビール買ってこ。さあ行くよ〜」
春日君の手を取って歩き出す。わかりやすく慌てる春日君に笑いながら手をブンブン振った。そして離して、春日君の肩に自分の肩を少しぶつける。
俺も案外直情型で、わかりやすいなと内心苦い思いだ。これが嫉妬か、と一人ため息をついて、春日君と二人夜道を家路に急いだ。
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