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haru_haru0704
2025-07-19 17:38:54
5686文字
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アイス!虫とり!お化け!?プール!
哥舒臨×忌炎&カカロ×忌炎(風味) 全年齢
前世(鳴潮世界)ではただの友人だった3人だけど・・・?
「おい、カカロ。アイスが食いたい」
夏の昼下がり、買い出しに向かう途中。忌炎の耳に、聞き慣れた名前が飛び込んできた。
思わず歩みを止める。
「勝手に食えばいいだろう」
「金くれ」
「図々しいな・・・」
その2人は、コンビニの前で会話をしていた。彼らはちょうど忌炎に背を向けるようにして立っており、顔を見ることはできない。
2人とも白っぽい髪色をしていて、片方は忌炎よりやや背が低く、もう片方は小学生くらいの背丈だ。
忌炎が声をかけようか迷っていると、彼らはコンビニの中へと入ってしまった。ひとまずその後を追ってコンビニに入店する。
「で、何がいいんだ」
「どれにしようかな~」
2人はショーケースを覗き込み、アイスを物色している。忌炎は、彼らの顔が見える位置にさりげなく移動した。
やはり、見覚えのある顔──
「あ!忌炎!?」
小さい方の人物はパッと顔を上げ、忌炎の名を呼んだ。大きい方の人物もつられて忌炎を見る。
やはり、大きい方はカカロだ。そら色の瞳に、精悍な顔つき。額にあった音痕は、大きな傷跡へと姿を変えていた。
そして、小さい方の彼は・・・
「・・・哥舒臨、さん?」
忌炎は半信半疑といった様子で首を傾げた。
哥舒臨の面影は確かにあるのだが、哥舒臨にしては何というか・・・可愛い。可愛すぎる。昔の気怠げな雰囲気もまったくない。快活でやんちゃそうな子供だ。
「おー!お前も記憶あるんだな!てゆーかお前でかくないか!?」
「えっ、あっ、はい、今大学生です」
話し方も、以前の彼とはかなり違う。困惑しながら返事をした忌炎を見て、カカロは苦笑した。
「久しぶりだな、忌炎。俺は高校生、哥舒臨は小学生だ。こいつも記憶はあるんだが、すっかりクソガキになってしまった」
「だれがクソガキだ!」
「お前だよ」
カカロと哥舒臨のやりとりも、昔と比べると違和感しかない。まあ、普通の高校生と小学生だったらこんなものなのかもしれないが。
忌炎が何と言うべきか迷っていると、哥舒臨はアイスの物色に戻ってしまった。
「ガリ○リ君か、スーパー○ップか・・・なやむな~」
哥舒臨は少し考え込んだ後、「あ!」と声を上げた。
「忌炎、お前もおれにアイスをおごれ!そしたら両方食える!」
「ガリ○リ君とスーパー○ップ両方食べたらお腹壊しますよ・・・」
「思考回路がクソガキすぎる」
「うるさい!おれは昔からこういうやつだ!ほしいものは全部手に入れる!」
哥舒臨はガリ○リ君とスーパー○ップを手に取ると、ぴゅっとレジに走っていった。そうすれば、カカロと忌炎は店員に迷惑をかけるまいと金を出すはずだと思ったのだろう。
たしかに、こういう強引なところは哥舒臨らしいかもしれない。
忌炎とカカロはやれやれと溜息をつき、哥舒臨を追いかけた。
イートインスペースに入り、3人はアイスを食べながら会話する。
「・・・で、2人は今世ではどういう関係なんだ?」
忌炎はスーパー○ップを哥舒臨と半分こして食べつつ、尋ねた。
対するカカロはガリ○リ君を哥舒臨と半分こ・・・というか奪い合いながら答える。
「血の繋がらない兄弟だな。母親が再婚したんだが、再婚相手の子供がこいつだった」
「おいガリ○リ君よこせ!食うな!」
「はぁ・・・もう少し可愛い弟がよかったな・・・」
カカロと哥舒臨のやりとりに、忌炎は思わず笑ってしまった。最初は違和感が強かったが、少し慣れてきた気がする。
何にせよ、これは喜ばしい再会だ。積もる話だってある。
忌炎は哥舒臨の口にアイスを放り込んでやりながら、まずは何から話そうかと思案した。
*
奇跡的な再会から3日後。
なんやかんやあって、忌炎はクワガタ取りに付き合わされることになってしまった。理由はもちろん、哥舒臨が「クワガタとりたい」と言い出したためである。
「ふわ・・・」
時刻は朝の4時。
夏休みでもきちんと早寝早起きをしている忌炎だったが、さすがに4時は眠い。ぼんやりとしながら待ち合わせ場所で待っていると、少しして2人が現れた。
「おはよう、忌炎」
「ああ、おはよう。哥舒臨さんも」
「ぅ~~ん・・・はよぉ・・・」
カカロと挨拶を交わし、哥舒臨にも声をかける。彼は眠気に抗いきれていない様子で、目を擦りながらふにゃふにゃした声で答えた。
「しっかりしろ。お前がクワガタ取りたいって言い出したんだぞ」
「ねむいんだからしかたないだろ~・・・」
カカロは哥舒臨の腕をくいくいと上に引っ張った。腕にはほとんど力が入っていないようで、くにゃんくにゃんと引っ張られるがままになっている。
カカロは溜息を吐くと、哥舒臨の手を忌炎に差し出した。
「昨日餌を仕掛けた場所まで、俺が先導する。忌炎、こいつがはぐれないように見ていてもらえるか?」
「ああ、わかった」
「ん~~・・・」
忌炎は哥舒臨と手を繋いだ。
・・・小さくて、柔らかい手だ。古傷も生傷もない。夜帰将軍だった頃の名残なんて、そこには少しも残っていなかった。それだけ、今世が平和だということなのだろう。
忌炎はじんわりとした感動を覚えながら、歩き出したカカロの背を追った。
「クワガタ!カブトムシもいる!」
「あまり取りすぎるなよ。世話が大変だし」
餌を仕掛けた木には、クワガタとカブトムシ、それからたくさんのカナブンがいた。木がたくさん生い茂っているとはいえ、公園から少し歩いただけの場所でここまで虫が集まるとは驚きだ。
哥舒臨は肩にかけていた虫かごを開けて、体の大きい個体を何匹か選んで捕まえている。興奮して目が覚めたのか、先ほどとは比べ物にならないほど元気である。
「大漁だ~!ついでにカナブンもつかまえとこうかな」
「カナブンはいらないだろ。かっこよくないし」
「たしかにかっこよくない・・・」
カナブンもメタリックでそこそこかっこいいのでは?と忌炎は思ったが、口に出すのはやめた。下手なことを言って、哥舒臨に駄々をこねられても困る。
ある程度虫を捕まえ、そろそろ帰ろうかという雰囲気になった時。哥舒臨が「ん?」という声を上げた。
「なんか・・・あっちの方の木にでかい虫いないか?」
カカロと忌炎は、哥舒臨が指さす先を見た。鬱蒼と木が生い茂っていて暗く、あまりよく見えない。
「ちょっと見てくる」
哥舒臨は小走りで奥の方の木に向かった。カカロと忌炎もその後を追う。足元にも草が生い茂っていて、少し歩きづらい。
「あれー?いないな・・・見まちがいかな」
「なんだ、人騒がせな」
「はは、まあそういうこともあるだろう。哥舒臨さん、そろそろ帰りましょう」
「ん~・・・」
哥舒臨は納得していない様子で、周囲をきょろきょろと見回した。そして、頭上からわさわさと生えている蔦性の植物を捲り上げる。
植物の向こうには──朽ち果てた鳥居がある。更にその奥には、長い黒髪で顔が隠れた人間のようなものが立っていた。
「・・・う゛わ゛ーーーっ!?」
哥舒臨は叫び声を上げ、勢いよく後ろに飛びのいた。その様はまるで、きゅうりに驚いた猫のようである。
猛烈な勢いで駆け戻ってきた哥舒臨を拾い上げ、忌炎は元来た道をまっすぐに走った。カカロも彼のやや後ろを走る。
「なんだあいつ!なんだあいつ!不審者!?お化け!?」
「わっ・・・分かりません・・・!」
「どっちにしろヤバい!追っては・・・来てないようだが・・・!」
3人はひとまず元いた公園に戻ってきた。背後を確認するが、不審者もお化けもいない。先ほど見たアレは、いったい何だったのだろうか。
「びびった~・・・もうちょっとここからはなれようぜ」
哥舒臨は右手でカカロ、左手で忌炎の服の裾をぎゅっと握りしめている。よほど怖かったに違いない。
「とりあえず、俺の家に行きますか?ここから近いし、一人暮らしだから他に誰もいないし」
「行く!行きたい!」
「助かる。うちだと、母さんと父さんがまだ寝てるからな」
じゃあ行きましょうか、と忌炎は哥舒臨の手を引いて歩き出した。
さっきは動揺して大きな声を出してしまったが、今はまだ多くの人が寝ている時間帯だ。声量を落として、ひそひそと会話する。
「それにしても、哥舒臨さんがあんなに動揺するとは・・・以前は、怖いものなんて何もないような態度でしたが」
「そりゃあ昔は、共鳴能力も武器もタッパもあったからな・・・でも今はひょろっちいガキの体だぞ。こわいに決まってる」
「今は俺1人にすら勝てないもんな」
カカロはからかうように言った。
哥舒臨は昔と比べるとかなり子供っぽくなってしまったが、カカロも昔より少しやんちゃになっている気がする。
哥舒臨はむきー!と可愛らしく怒り、忌炎に引かれていない方の手をぶんぶんと振り回した。カカロがすっと距離を取ったせいで、その手は何にも当たらずに空を切る。
「くっそー、バカにしやがって!カカロよりも忌炎が兄ちゃんになってくれたらよかったのに!」
「俺ですか?元上官が弟になるのは、ちょっと嫌だな・・・」
「なんだよもー2人して!おれに失礼だぞ!」
「すみません・・・」
哥舒臨は頬をぷくーっと膨らませている。可愛い。可愛いのだが・・・やはり、どう取り扱うべきなのかが忌炎にはよく分からなかった。
*
哥舒臨は忌炎の家に着くなり、「お前の部屋暑すぎるぞ!」と勝手に冷房を強くした。こういうところには昔の面影が残っている。というか昔もほとんど同じようなことをされた経験がある。
忌炎は2人のために、冷蔵庫で冷やしておいた麦茶をグラスに注いだ。グラスの中で氷がぶつかり合い、カランカランと涼しげな音を立てる。
グラスを手渡すと、哥舒臨はそれを両手で持って、んくんくと飲み始めた。あまり勢いよく飲むと腹が冷えそうだが・・・まあ、言っても聞かないだろう。
「今日はありがとう。付き合わせて悪かったな」
カカロは麦茶のグラスをゆらゆらと揺らしながら苦笑する。
「いや、楽しかったよ。前世からのよしみだ、これからもまた何かあったら誘ってくれ」
「・・・ん」
軽く微笑むと、カカロは視線を彷徨わせた後、小さく頷いた。なんだか彼らしくないシャイな反応だが、一体どうしたのだろうか。
忌炎が不思議に思っていると、あっという間に麦茶を飲み干した哥舒臨が元気に手を挙げた。
「おれ次はプールに行きたい!」
「プールか。・・・いいな」
「もちろん付き合いますよ」
そう答えると、カカロと哥舒臨は顔を見合わせて笑った。その様子にふと、前世の彼らが残像退治の計略を巡らせていた時のことを思い出す。
・・・なぜ今、思い出したのだろう。
「かんしゃしろよ~カカロ。お前こういうの苦手だろ」
「・・・助かる」
「ええと・・・何の話だ?」
「人を遊びにさそうのが苦手だって話だよ、なっ兄ちゃん」
「ああ、その通りだ」
「なるほど・・・?」
確かに、前世では遊びに誘われたことなど一度もないような気がする。お互いの立場からすれば、当然と言えば当然なのだが。
「楽しみだな~プール!」
哥舒臨はテーブルにグラスを置くと、ソファに登ってごろんと横になった。ふんふんと鼻歌を歌う彼を背後に、カカロと忌炎は取り留めのない会話を続ける。
***
カカロと話している内に、いつの間にか哥舒臨は寝入ってしまっていた。ぷぅ、ぷぅ、と間の抜けた寝息を立てている。
忌炎は哥舒臨の体にそっとタオルケットをかけてやると、小声でカカロに尋ねた。
「俺たちも寝るか?生憎、ベッドはひとつしか無いんだが」
「ベッド・・・2人で一緒に寝る、のか?」
「嫌なら無理にとは言わないが」
「いや、その・・・別に嫌ではない」
嫌ではないと言いながらも、カカロの様子はどこかおかしい。そわそわと落ち着きがなく、視線もやや逸らされている。
まるで、何かを意識しているかのようだ。だが、いったい何を──
「・・・ああ、分かった!そういう事か」
「な、なんだ?」
「今のお前は高校生だからな。思春期でいろいろと意識してしまうんだろう?」
「えっ・・・あ、ああ、少しだけな。体に引っ張られて。でも大丈夫だ、何もしないから。一緒に寝よう」
カカロは図星を突かれて恥ずかしかったのか、頬を赤らめている。
思春期の頃は他人との距離感に敏感になるから、たとえ前世からの友人相手でも緊張してしまうのだろう。ところで、『何もしないから』とはどういう意味だろうか?
忌炎が口を開こうとした瞬間、後ろから哥舒臨のむにゃむにゃした声が聞こえた。
「おれもいっしょにねるぅ~・・・」
振り返ると、哥舒臨は半開きの目をくしくしと擦っていた。一応起きてはいるが、かなり眠たそうだ。
「仕方ないな、俺が連れてってやる」
カカロはタオルケットごと哥舒臨を抱き上げた。
そのままベッドまで移動し、哥舒臨を間に挟んで寝転ぶ。シングルベッドだから、3人で寝るとかなり狭い。
「はは、狭いな」
忌炎が笑うと、哥舒臨もふにゃふにゃと笑った。カカロもやや気まずそうに笑っている。
「んふふ・・・きえん、おやすみ」
哥舒臨はそう言うと、むちゅぅぅうっと忌炎の頬にキスをした。
彼の唇とほっぺたは、まるでマシュマロのように柔らかかった。あと、ちょっとだけよだれが付いた。
「はい、おやすみなさい」
その様子を見ていたカカロはしばし迷ってから、おずおずと口を開く。
「・・・俺も、していいか?おやすみのキス・・・」
「構わないが・・・何というか、外国的だな?」
「ああ、ほら・・・うちの母さん、外国の生まれだから。そういう・・・アレだ」
「そういうアレか」
忌炎が頷くと、カカロはそっと彼の頬に口付けた。ちゅ、と可愛らしいリップ音が響く。
「・・・おやすみ、忌炎」
「ああ、おやすみ」
ぷぅ、ぷぅ、と再び聞こえ始めた寝息を聞きながら、忌炎は目を閉じる。
今日という1日は、まだ始まったばかりだ。この二度寝から覚めたら、次は何をしようか──。
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