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mikaya25
2023-01-02 13:33:07
3586文字
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姫はじめがしたい!(お題:正月)
現パロルシサン。姫はじめがしたいサンちゃんの話。
リベンジがしたい。
誰かに復讐したい訳じゃない。再挑戦の方だ。俺はルシフェルさんとの仲を発展させたいのだ。つまりは姫はじめがしたい。それが何故リベンジなのかというと、俺はクリスマスに大きな失態を演じているからだ。
クリスマスイヴはふたりきりな為、あわよくば食事後ベッドインできるのでは、と俺は興奮し浮かれていた。11月に同棲を始めてからえっちな雰囲気になったことはなかったが、流石に今日はいけるのではないかと過信して。結果ルシフェルさんの買ってきたワイン(多分お高い)を飲んだ俺はぶっ倒れて吐いた。酒を飲んだのは実は始めてで、まさか自分がこんなに弱かったとは。ルシフェルさんはぐったりする俺にスポーツドリンクを飲ませ、ベッドにありったけの毛布と共に運んだ後、吐瀉物の処理もしてくれた。ふらふらトイレに向かった俺の介助すらしてくれたのだ、頭が上がらない。翌日土下座せんばかりに謝る俺に、「当たり前のことだよ。むしろ君の酒の強さを測らずに飲ませてしまってすまなかった」と言ってくれたルシフェルさんは天使である。いや本当に、白銀の髪の上に輪っかが見えたような気がした。そんな彼に、あの時実はセックスしたかったんです、などと言えるものか。だがえっちなことをルシフェルさんとしたい欲は消えない。それに、恋人らしいことをちゃんとしないから、流石のルシフェルさんも気持ちが離れ始めているのではないかという不安もある。
ゆえに、リベンジ。姫はじめだ。
付き合い始めの頃のルシフェルさんはワーカホリックなところがあり、なかなか休みを取らなかったのだが、今ではずっとましになったと思う。だから昨日の31日はのんびりふたりでおせちを作った。年越し蕎麦も食べて、今はカウントダウンも1時間前に終わり、お屠蘇代りの珈琲タイムである。そう。もう年は越してしまった。何故だ。時間が過ぎるのが早すぎる。
珈琲を淹れなおす名目で席を立つ。同棲する時に俺が持ち込んだ、というか捨てようと思っていたのにルシフェルさんが気に入った為リビングに鎮座するこたつ(ソファセットは別にあるため、リビングの見目を悪くしていると思う)は大きくない。だから普段はくっついて座らないのだが、珈琲を淹れ直した俺は天板にカップを置くと、「ありがとう」と青い目を細めてにっこり笑うルシフェルさんの隣へ滑り込んだ。
「サンダルフォン
……
?」
「
……
ちょっと、寒くて」
戸惑ったふうの彼に、ベタベタな嘘をつく。意気込み過ぎて熱いくらいなのだが。エアコンの温度を上げようかなどと言われる前に、擦り寄って訊いてみた。
「こういうの、嫌ですか?」
「嫌な訳ではないよ。ただ、今日は
……
」
「?!」
どうしよう。もぞもぞとルシフェルさんが身体をひねる。くっつくのすら駄目なのか。愕然としていると、こちらを見た彼は慌てた。
「君と密着するのが嫌なのでは無いよ」
「じゃあ、どうして、」
「それは
……
」
ルシフェルさんは言い淀んで目を逸らす。俺は不安が倍増するだけだった。
実は数日前からそうだ。抱き合うこともキスも最近していない。だから俺は余計に姫はじめをしなくてはと思ったのだ。
そもそも、同棲しているのに寝室が別だから、こんなふうにリビングで誘わなくてはいけない。もしかして最初から、ルシフェルさんとの同棲は破綻していたのではないか。それにクリスマスイヴに吐くような奴で更に落胆したとしたら。
嫌な想像に頭がぐらぐらする。でも俺は彼しかいない。ルシフェルさんが好きなんだ。一緒にいたい。
「お、俺、ルシフェルさんと姫はじめがしたいんですけど!」
ぎゅっと目を瞑り俯いて声を上げる。いや、離れたくないと言うべきだったかもしれない。ふたりの関係の危機に、もう姫はじめとか言ってられない事態だと思うのに。
「それは明日では?」
「
……
はい?」
しかしルシフェルさんの応えは、想定外のものだった。顔を上げると、彼も困ったような不思議そうな表情をしている。
「一年の始めに姫飯を食べる時、という元の姫はじめが2日だから、俗説の性行為を始める方も2日の夜だと思っていたのだが」
「俺の知ってる姫はじめは、その年初めてのえっち、なんですが
……
」
首を傾げていると、さっとスマホを取り出して打ち込んだ彼は「なるほど」と頷いた。こちらにも見せてくれる。そこには姫はじめの簡単な説明が載っていた。いやちょっと待ってほしい。ルシフェルさんの言動からすると、もしかして。
「俗説の方の姫はじめは、君の言う通り今日でもいいのだね」
「あ、あの、待ってください、つまりルシフェルさんも
……
その、したいって、思ってくれてた
……
?」
焦って早口で訊ねると、彼は面映そうな顔をした。少し頬が赤い。色が白いから分かりやすいんだ。
「うん
……
。実は、ずっと君とセックスしたいと思っていたから、姫はじめは良い機会だと思って」
不安がするすると解けていく。ほっとしたやら嬉しいやらで、俺はもう一度ルシフェルさんに擦り寄った。今度は離れることはなく、肩に腕が回された。
「良かった
……
。俺、ルシフェルさんの心が離れてるんじゃないかって
……
」
「サンダルフォン?!そんなことはあり得ないが?!」
ぎゅうぎゅう抱き込まれるのが嬉しくて、笑いながら今までの不安をぶつけた。
「同棲してるのに寝室別だし」
「各自部屋は必要だと思っていたのはあるが、私も別々に寝るとは思わなかったよ
……
一緒に寝ようとは、劣情が透けそうで言い出しづらかった」
「それで手を出そうともしなかったんです?」
「うん。君に対して、いかがわしいことばかり考えていると知られたら、嫌われるのではないかと。でもどうしても君がほしくて」
「もう!嫌いになんてなりませんよ!」
はは、と笑い出すと、頬に手が当てられて、ルシフェルさんの方に顔が固定された。
「本当に?」
こっくり頷くと、彼は囁くように告解し始める。
そこからルシフェルさんの攻撃は始まった。
「クリスマスの時、私のベッドでぐったり横たわる君の姿に興奮したと言っても?」
「えっ
……
?!」
まさかあんな、みっともない姿を見て。これは呆然とせざるを得ない。しかもそんなことを、彼は俺が見蕩れてしまう優しい微笑みで言うのだ。
「姫はじめが楽しみで、その前に襲ってしまわないよう気をつけていたし」
「それで俺は余計不安になったんですけどね」
「上手く出来るか心配で、HOW TOセックスの本は5冊読んだよ」
「5冊?!俺は1冊しか読んでないですよ?」
「四十八手の図解も覚えた」
「初夜にどんなアクロバティックな体位をするつもりです?!」
「防水シーツも購入済みだ」
「濡らす気満々です?!」
「アダルトグッズは嫌いかい?」
「ルシフェルさんに言われたら!拒めない!」
必死にツッコミ続けていると、ルシフェルさんはくすくす笑い出した。俺も一緒に笑う。
「サンダルフォン、君は本当に私が好きなんだね」
「好きですよ。ルシフェルさんも俺が好きでしょう?」
優しく目を撓める、俺の好きな笑顔で彼がしみじみと言うので、嬉しさにちょっと得意げに返した。前より、お互いがお互いと自分の気持ちに、自信が持てるようになっているのがわかる。
「もちろん。愛しているよ、サンダルフォン」
彼の言葉が心と身体に染み渡ってゆく。ちゅ、ちゅ、と頬を啄むキスをされて、うっとりと目を閉じた。しかしすぐに見開いてしまう。服の裾からそろそろと大きな手が入り込んで来たからだ。
「る、ルシフェルさん、お風呂に入ってないですよ?」
「
…………………
、うん」
すごい間があった。いや、始めてのセックスだから、特に身体は綺麗にしておきたいのはわかってほしい。ゆっくり手を引いたルシフェルさんは何かに耐えるように眉を寄せていて、引いた手を俺の癖っ毛に絡めた。
「お風呂で襲ってしまうと体力が削られるだろうから、ひとりで入っておいで。バスボムが買ってあるよ」
それも姫はじめの為に買ったものだろうか。それ以前に襲ってしまうとか、ルシフェルさんは今ギリギリなのかも知れない。ちょっとふたりで入ってみたさはあったような。また今度を楽しみにしよう。
「早めに上がりますね」
お返しに彼の頭を撫でると、その手を取られて手のひらに口づけられた。そして熱の篭った声で告げられる。
「ゆっくりでいいよ。丸1日寝かせてあげられない気がするから」
ぞわり、と背筋を何かが走る。それはどこか怖いのに気持ち良くて、丸1日?! というツッコミも出なかった。
「
……
急いで、洗ってきます」
リベンジは成功。翌々日にはベッドから起き上がれないが満足げな俺たちがいたのだった。
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