恋の目覚めのキスはまだ/リョ桃
少し挑発的な表情の
既視感が目について、コンビニの中、少年漫画誌の写真グラビア表紙の前で桃城の足が止まる。まじり、目を細め、くちびるをむぅっと思考にひねらせて、わずか顔を寄せれば、なにか、気付きそうだった、のだけれど。
「
……へぇ。桃先輩、そーゆーコが好みなんスか?」
「うわわっっ
…!! バッカ、そーゆーんじゃねぇって! なぁ~んか見覚えあるよなぁ~?って、思ってただけだっつーの!」
「
…ふぅーん」
いつも通り飲み物売り場に直行したはずの越前が、リザーブされた
指定席を来ない桃城に気付いて踵をわざわざ返したは歴然。もの言いたげに、不服そうな、その小生意気なまなじりを見て、ああ、見覚えの正体はこれか、と、合点する。そして同時に。どくん、と、なにか不穏にバクつく胸に、なにか、なにかが萌芽しそうで、桃城は、そろり視線を逸らした。どくつく胸を押さえた。だのにひょいと容赦なくのぞき込んでくる王子様が、恋の目覚めのキスをするまで、ああ、あとどのくらいかかるろう? 桃城は、それを今はまだしらないのだ。
――ま、好みのタイプがどんなでも、オレが全部、ねじ伏せるけど。
飲み物売り場に向かい直すセンパイの背中を見上げながら、王子様は口端をにたり上げ、つんと、澄ましたどう猛なこねこのはなさきでそのあとをとことこ追い、当然のままに横に並ぶのだった。
終
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