三毛田
2025-07-14 22:24:26
1068文字
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53 053. バイバイと手を振って

53日目
また明日

「グレーちゃん、バイバイ!」
「また明日!」
「うん、また明日よろしくな」
 トリビーとトリアンは、大きく手を振った後に未だ巻物から顔を上げないトリノンを引きずるように連れて行く。
 俺も、同じように巻物から顔を上げない丹恒を抱き上げてルトロへ。
 テラスのリクライニングチェアへと下ろし、図書館へ戻って巻物の貸し出しを願い出る。
 雲石市場へ行って、ご飯と飲み物を買う。
 ルトロへと戻って来る途中で、モーディスがハニーケーキを焼いたというのでお裾分けをもらい。
「ただいま〜。丹恒、まだ読んでる」
 テーブルに買ってきたもの、貰ったものを並べていると、キメラが俺のブーツを叩いてくる。
 前に爪を立ててきたので、花園に戻すぞと脅したら、それ以降は肉球で叩くだけにとどめてくれた。
「何もないぞ?」
「クッキー! そのポケットから、クッキーの匂いが!」
「ああ。モーディスから、お前にって貰ったんだった。やるから、外に出ててくれ」
 包みを渡すと、それを咥えてスキップしながらルトロを出ていく。
「ミュリオン。お前はどうする?」
「ご飯を食べたら、アグライアの所へ行くわ。彼女に頼みたいことがあるの」
 声をかけると、姿を見せたミュリオンはハニーケーキをチラチラと見て。どうやら、他のものよりもそれがいいようだ。
 まあ、モーディス作のものは、店のよりも美味いから仕方ないと言えば仕方ない。
 俺も好きだし。
「頼み事?」
「あら。女の子の楽しみを詮索する男の子はモテないわ」
 ぺちぺちと、柔らかな肉球で頬を撫でるように叩いてくる。
「俺は、丹恒にモテてれば十分」
「それもそうね。あなたたちは、そうだったわ」
 俺の頬から手を離し、腰に手を当てて呆れた顔。
 ミュリオン用にご飯を分けて、丹恒をテーブル横へと運ぶ。
「丹恒、あーん」
「あまり甘やかすのもよくないわよ?」
 切り分けたステーキ、サラダ、ハニーケーキと、順番に丹恒の小さな口へと運ぶ。
 そんな俺たちに、ミュリオンは苦言を口にし。
「俺はこれ以上に甘やかされているから、いいんだ」
「そう、ね」
 彼女は複雑そうな表情で、俺と丹恒を見て。
 それから、部屋を出ていった。
「丹恒、寝る時間」
「そうか」
「その前に、お風呂。一緒に入ろう」
「そうだな」
 ようやく巻物から顔を上げた丹恒は、首と肩を回して解した後すっとルトロへ入っていく。
 途中で飲月の姿に変化しながら。
 つまり、今のルトロは俺が入るには冷たいということだ。
「穹? お前は入らないのか?」