ミノル
2025-07-14 00:19:47
2093文字
Public しんらぶ/二次創作
 

君の匂いの話

しんらぶ/ ふさこま(房こま) /こまきちゃん視点/海で遊んで嗅ぐ話/ ※口調がだいぶ迷子
◆別ゲームのキャラ同士によるクロスオーバー作品です。都合のいい捏造いっぱい。苦手じゃない方だけご覧ください。

奇しくもしんらぶカレンダーに水着こまきちゃん描いたせいか、夏の連隊戦に縁者が実装されたので、なんか書きたいー!の気持ちで手を付けたら思ったより四苦八苦しました。こまきちゃん、もしかして素はタメ口だったりする…?そして信房くんの方言は期待しないでください。
あと多分おてて繋いで現れたふさこまに、眉間に皺が寄った何とも言えない顔で出迎えるしたらちゃんはいる。(ぽっと出の男に親友を取られた気持ち)(そしてそれを信濃に愚痴ってた)

「やったぁ! またわたくしの勝ちですよ~!」
 スライディングで獲得した木の枝を座ったまま掲げ、声を弾ませる。
「ふは~! こまちー、はっやぁ~!」
 少し遅れてふわふわ金髪のお兄さんが走ってきて、膝に手をつき大きく息を吐てから隣に並んだ。
 したらちゃんとは違う金色の髪が、お天道様の光を受けてキラキラと輝く。

 このひとは古備前信房さん。
 この夏、本丸にやってきたばかりの――わたくしの刀『信房作の太刀』の刀剣男士さんです。
 『信ボーって呼んで』と言われたので、『信ボーさん』とお呼びすることにしました。

「かけっこは得意ですから!」
 自慢の足を褒められて、えへへ~と胸を張る。
 信ボーさんに褒められると、なんだかいつもより跳ね回りたい気持ちになってしまいます。ボスに褒められた時にちょっと似てるかもしれない。

 今日はお屋敷の真剣少女と、本丸の皆さんで星賀浦へ海水浴へ来ています。
銘々が海で泳いだり海の家でごはんを食べている中、わたくしと信ボーさんは砂浜でビーチフラッグ競争をして遊んでいました。旗はないので、最初は信ボーさんが自分の刀を旗の代わりにしようとしたんだけど、したらちゃんに怒られてたので、代わりに砂浜で拾った流木の枝を使っています。あ、因みにしたらちゃんは、さっき信濃くんとかき氷を食べに行きました。

 空は快晴、太陽の光はちょっと強いけれど絶好の海水浴日和で、少女も男士も、一般のお客さんたちも楽しそうにしています。
 刀が錆びやすくなるので、海風が苦手な真剣少女は多いけど、みんな海で遊ぶのは好きなんですよね。
 わたくしも砂浜を駆ける感覚は好きなので、とっても楽しみにしていました!

 でも今日は、潮の香りもいつもより心地よく感じる。なんでだろう?

「ふふ、まるでわんこみたい」
「わんわん!」

 お手、なんて差し出された手のひらに自分の手を重ねると、ぐいっと引き上げられた。

 立ち上がって、少しだけ距離が近づく。

 ごつごつした、自分とは違う肌の感触。
 すっぽりと覆ってしまうくらい大きな体が、影を作ってわたくしを覆う。

 ふわりと鼻をくすぐる匂いに、無意識に顔を寄せた。

「こまちーだいじょ……こまちー?」
 くんくん。
「あの? こまちー?」
 ふんふん、くんくん。
「え、ホントなに、あのちょ……
 ふんふんくんくんふんふんふんくんくんくんすはすはすはすは。

「こまちー、ステイ! ステイ!!!」
「はっ?!」

 彼の言葉に、我に返る。

「あわわすいません! ありがとうございます!」
「いや、謝らなくていいんだけど……突然どげーしたん?」

 夢中になっていた自分に、信ボーさんは困ったようなお顔で聞いた。

「えへへ、つい信ボーさんの匂いを嗅いでしまいました!」
「えっなしてなして~? 俺そんなに匂いする? 何の匂い?」

 自分の肩口に顔を近づけて確認する信ボーさんに対して、わたくしは意気揚々と答える。
「はい、海の匂いがします!」
「ほんて? それは嬉しいかも」
「あとお日様の匂いと、砂の匂いと、汗の匂いと、それからお漬物の匂いもします!」
「おぉ、けっこう盛りだくさんだね」

 わたくしは他の娘よりも鼻がいい。
 だから匂いで失くしたものを探したり、迷子を探したりするのも得意なんです。
 親しいひとなら、匂いで誰が来たかだって分かるんですから。

 そこであっと気付く。

「そうか、だからですね」
 信ボーさんが不思議そうな顔でパチクリとまばたきをする。

「今日はいつもより海の匂いが気持ちいいなって思ってたんですけど、これって信ボーさんの匂いだったからなんですね!」

……
「信ボーさん?」
 疑問が解決してすっきりしたわたくしとは反対に、信ボーさんは悩んでいるような顔で黙ってしまった。
「お嫌でしたか?」
 不快にさせてしまっただろうか、とわたくしがシュンとなっていると、信ボーさんが慌てて否定する。
「あっ?! 嫌じゃないよ、こまちーが海の匂い好きになってくれたの超うれしー!」
「ホントですか?」
「ホントホント」
 そう言ってわたくしの頭を撫でる手に対して、目をつぶって身をゆだねる。

 信ボーさんに撫でられるのは好き。

 信ボーさんがわたくしに触れる手つきは優しくて、心地いい。
 撫でられるだけでも走り出してしまいそうになるくらい、嬉しくなる。

……これじゃ俺が波に飲まれちゃうのが先かもね」

 小さくつぶやかれた言葉の意味が分からなくて、首をかしげる。
 信ボーさんはニコニコと笑顔のまま、撫でていた手を下ろした。
 離れていく手が、妙に寂しい。

「さて、そろそろ休憩しない? 俺おにぎり作ってきたんだけど」
「おにぎり! 食べたいです!」
「じゃあ信ノン達にも声かけてこよ」
「はい!」
 目を輝かせて返事をすると、どちらからともなく手を取って駆け出す。
 もう一度触れた手に心を弾ませながら、わたくしはしたらちゃん達の所へ行くのだった。