夢子夢子この日私は
…何故か知り合いからもらったプロレスのチケットを持ち悩んでいた。
「どうしよう
…?格闘技なんて
…観た事ないし、なんか
…怖いな
…」
そう呟きながらも、足は会場に向かっていた。。
「でもなぁ
……もったいないし
…やっぱり行こうかな
……怖くなったら帰ればいいよね!」
よく考えたら、一道にあげれば良かった
…と思った時には、すでに会場に入った後だった。
「フェニックス兄弟、3回目の防衛戦
…この赤毛の人がマッドフェニックスで、青毛の人がナイトフェニックスっていうんだ
…」
入り口でもらったチラシには、二人のレスラーが威嚇する様なポーズで写っている。
二人とも、なかなかのイケメンだ。
会場には数人の女の子がアイドルさながらに、彼らの入場をキャッキャッと待っている。
「席、後ろの方だけど
……意外と人入ってるなぁ
……」
会場に入ると、リングサイドはほぼ満員で最前列にはカメラを構えた報道陣が陣取っている。
すると、突然照明が消えた。
「ようこそお越し下さいました!今夜は、熱い夜になりそうだ!!最強の兄弟はベルトを死守する事が出来るのか!?」
と司会者らしき男性の声と共に観客の歓声が上がる。
そして、入場口にスポットライトが照らされると
……そこには二人のレスラーが立っていた。
一人はマッドフェニックス、そして隣には双子の弟ナイトフェニックスだ。
彼らは鍛え上げられた肉体を晒しながら、黄色い声をあげる女の子達に向かって「うるせー!」等とファンサをする所か中指を立てている。
「うわぁ
……ヒールレスラーだから演出なんだろうけど
…ちょっと怖いなぁ
…」
二人を見ながら思わず呟く。
しかし、いざ試合が始まると
…意外にも興奮して最後まで夢中になって応援してしまった。
彼らはルチャドールという種類のレスラーらしい。観たことのないアクロバティックな技を繰り出し、反則ギリギリの攻撃で挑戦者を叩きのめしてしまう。
******
「凄かったなぁ。ヒールだから怖いと思ってたけど
…あんなに華麗に技が決まると、凄く格好良かったな」
観戦後の熱が冷めやらず、私は飲み物を片手に会場裏の公園で余韻を楽しんでいた。
会場入口には出待ちの女の子達が、今か今かと彼等が出てくるのを待っていたけど
…人気があるのも頷けるかも。
缶コーヒーを一口飲み、ほぅ
…とため息をついた時
…座っていたベンチの後ろからザッ!と人影が飛び出してきた。
「きゃっ!なに!?」
思わず身構えてしまい缶コーヒーが落ちる。
それに気付いた影の主はピタリと止まり、こちらを振り返った。赤い髪がユラリと揺れる。
「あ?人がいたのか?
…わりぃ!怪我、無かったか!?」
そう言って私の落とした缶コーヒーを拾い、バツの悪そうに頭を掻いているのは
……あのマッドフェニックスだった。
「あ!
…はい大丈夫です。気にしないで下さい!」
私はあまりの驚きに両手をブンブンと振り慌てて答えると、そんな私が面白かったのか、リング上で見た挑発的な笑顔で言った。
「なんだお前w
…変なやつだなっ!」
そして少し考えた後「ちょっと待ってろ」と言い、何かを手に戻ってきた。
彼は私の横にドカッと腰を下ろすと、新しい缶コーヒーを手渡してくれる。
「驚かして悪かったな。面倒な女どもに捕まりそうだったから逃げてたんだ」
そう言うと、自分の分のコーヒーをグビッと飲む。
「そうだったんですか
……。モテるんですね」
私が言うと、彼は怪訝な顔をして心底嫌そうに言った。
「モテる?
…あんなん、ただのミーハーだろ?ちょっと有名なヤツとヤッて自慢したいだけじゃねーか」
そんな高圧的な言葉に思わず吹いてしまう。
「女の子に追いかけられて、喜ばない男の人もいるんですね」
「好きでもねー女にしつこく追いかけ回されても、迷惑なだけだ」
そう言って缶コーヒーを飲み干すと
「ふぅ
……」
と小さく息を吐いた。
その時、遠くからガヤガヤと数人の女性達が近づいてきた。
「!?
…やべっ!」
彼は急いで立ち上がると、何故か私の手を引いて走り出す。
「えっ!?
……ちょ
…っ
…!」
私は訳もわからず、彼に引っ張られるまま走る。
「
……あいつらに捕まると面倒だから、ちょっと付き合えっ!」
彼に手を引かれてるとはいえ、コンパスもスピードも違うので
…私はよろけて転びそうになってしまう。
「チッ!お前、足遅ぇーな
…仕方ねぇ
…」
そう言うと軽々と私を抱き上げ、全速力で走り出す。
「ひぇ
…速い!
…下ろして!怖いです!」
木々を避け、障害物を飛び越え
…あまりの激しさに私は彼にギュッと掴まる事しか出来ない。
******
暫く走った後、彼はハァハァと荒い息で立ち止まった。
そして私の顔を覗き込んだかと思うと
……プッと吹き出して言ったのだ。
「ひでぇ顔!」
私を抱き上げたまま、ゲラゲラ笑っている。
「ちょっ!ヒドイ!勝手に付き合わせたくせに!」
「あー
…まぁ
…悪かったなw」
と言って
……私を地面に下ろす。
「
……はぁ
……っ
……ふぅ
……」
私は息を整えつつ彼を睨み付けた。
すると彼は面白そうにクックッ
……と笑った後言ったのだ。
「
……やっぱ面白いヤツだな、お前w
…気に入ったぜ。名前は?」
ポンポンと頭を軽く撫でながら、諭すように顔を覗き込んでくる。
「
……夢子」
くそぅ
…ムカつくほどにイケメンだな!
それに冷静になってくると、抱きついた時の彼の逞しさが思い出されてドキドキしてくる。
「
夢子か!覚えとくな
……てか、改めて見ると
…お前、案外可愛いな♪」
そう言うと、彼はニヤッと笑って私の顎に手を当て上を向かせる。
「へっ
……?」
見上げた先には彼の顔があって
……あっと思う間もなく唇を塞がれる。
「
……んっ
……」
そのまま歯列をなぞられ、舌を絡め取られると背筋がゾクゾクとする。そして最後にチュッと音を立てて離れる頃には、すっかり体の力が抜けてしまっていた。
「ふぁ
…っ」
そんな私を見て満足気に笑うと、
「俺はレイモンドだ。これ、やるよ。ご馳走さん!」
手に何かを渡して去っていく。
「あっ
……」
私は、それが何かも確認出来ずに呆然と立ち尽くしていた。
******
暫くしてから我に帰ると
……先程の事を思い出し、思わず顔が赤くなる。
(どうしよう
……あんな事、会ったばかりの人にされちゃった!)
そんな時、手の中に何かある事に気付く。
「
…そういえば
……これ何だろう?」
見るとそれは、小さな袋だった。
中を見ると黒い石の付いたブレスレットが入っていた。
「え?コレ
…高い物じゃない?私がもらっちゃって良いのかな?」
調べてみると
…ブラックスピネルというパワーストーン?なのかな?
彼のブレスレットをつけ眺めながら、今日の白熱した試合を思い出す。
「カッコ良かったな
……」
もう会う事もないだろうけど、影ながら応援していきたいな。
ほのかに残る唇の感触を確かめながら、
家路についた。
以上!お試し夢小説でした😁
好評でしたら、他のキャラ
…もしくは続編あるかも?
希望があればSNSのマシュマロとかに、誰それの読みたい等言って下さい。全部が出来るかわかりませんが
…検討させて頂きます。
お読み頂き、ありがとうございました!
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