三毛田
2025-07-12 17:48:28
1079文字
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51 051. 悪戯な風が君の髪を浚って

51日目
可愛らしいおでこが丸見えに

「わぶっ」
「きゃっ」
「三月、穹。無事か」
 さすが丹恒先生。しっかりした体幹ですこと。
 俺は風にあおられ、ひっくり返った上着の金具が頭に直撃。
 なのはふらついていたので、丹恒先生が素早く支えていて。
 ずるいと思うと同時に、彼のようなスマートさがないと許されない動きだなと。
「丹恒、風が強いから手を繋いで。お願い!」
「あっ。なの、ズルいぞ! 丹恒、俺とだけ手を繋いで。お願い~」
 丹恒の腕にしがみつくと、一瞬顔を顰めたように見えた。
 でも、どちらかというと困っているように見える。
「丹恒先生。美少女二人に囲まれて嬉しい? あう、あうっ」
 勢いよく腕を振りほどかれ、それから頭を叩かれた。
 本気で叩いているわけじゃないけれど、これが意外と痛いのだ。
「照れてる?」
「もし照れていたら、どうするつもりだ?」
 今度は、俺の頭を叩いた手が顔へと伸ばされ。
「な、なんでもありません……
 そっと距離を取る。
 意外と手が早いこの人は、実は手加減してくれなかったりするので。
「ほら。行くぞ」
「はーい」
「ま、待ってよ!」
「丹恒じゃなくて、俺が手を繋ぐんでもいいか?」
 なのへ手を差し出すと、ちょっとためらった後手を乗せてくる。
 先を行く丹恒の後を、二人で進んでいく。
「んっ」
 ふわっと、黒髪が風に揺らされ。普段は見えない額が現れて、ちょっとドキッとした。
「ここまでくれば大丈夫だろう」
 丹恒の案内で、たどり着いた依頼の場所。建物に囲まれているおかげか、風はさっきよりも弱くなっていて。
「穹、もう大丈夫」
「そうみたいだ。えーと。丹恒、もう一回依頼の内容教えてもらっていいか?」
「ああ。今回の依頼は」
 と、三人で確認していく。
 分担できる作業は分担して、それ以外はみんなで。
 依頼を終えて、依頼人へ報告しに行き列車へ戻る。
「疲れた~」
「お疲れ様」
 いつもは気づいたらシャワー? を澄ませている丹恒だったが、今日の依頼で砂ぼこりを浴びたからと俺の部屋の風呂へと来て。
「さっぱりしたな」
「それはよかった。ほら、飲み物もどうぞ」
「ありがとう」
 パム特製のレモネードを作って渡すと、嬉しそうに飲んで。
 氷が多めのが好きそうだと思ったので、氷を多めに入れて渡したら喜んでくれたみたい。
「丹恒」
「なんだ」
 隣に座ったので、そっとまだ濡れている紙に触れる。
「好きだなって」
「何が」
「お前のおでこ。可愛いなって」
「それは、俺に言うような言葉じゃないだろう」
「ううん。丹恒に言う言葉で合ってる」